2022 セレッソ

【セレッソ】清水戦:逆足サイドバックの有効性。

セレッソ 1-1 清水

2022.6.26 @ヨドコウ桜スタジアム

勝てたかな・・・でも、よく追い付いた!という感じの試合でしたかね。

冷静に振り返ると、こんな試合もある・・・という印象もあります。一言で言えば、チームは良く戦ったのは間違いないですね。

そんな試合を振り返ります。

試合内容・雑感

●原川スタメン外れ

この試合前の1つの注目だったのが、原川のベンチ外。先の天皇杯でもベンチ外で、どうしたんだろうな?というのは少し思います。清武、原川、奧埜のトライアングルは今のセレッソの生命線。怪我であるなら、軽傷を願いたいですね。

※試合後の小菊さんのコメントより腰痛とのこと。

代わりに入ったのが、鈴木徳真。鈴木徳真も、期待されている選手の1人。原川抜けの清武と奧埜とのコンビネーションがどうなるか?が個人的な試合前の注目点ではありました。

●清武負傷。

まず、最初に書いておきます。相手選手を咎めるつもりはありません。相手選手の方が先にボールに触ってるし、そこに悪質さは感じません。清武が怪我をしてなければ、良いタックルだったと捉えられるようなものだったのではないかな?と個人的には思います(心情的には・・・な所がありますが(苦笑))。

このプレーをあくまで内向きに見て、個人的な視点では、

清武の調子が良過ぎたから起きた出来事

な印象があります。このシーン、CKからジンヒョンのパンチングを清武は自陣PA内にも関わらずトラップ!個人的には、もうそこで既に『上手っ!!』ってなってましたが、さらにそこからドリブル仕掛けて1人抜くというプレー

こんな連続プレー、他のどの選手が出来ますでしょうか? 

もう1度書きますが、相手CKの際の自陣PA内でのプレーです。並みの選手であれば、クリアを選択するような所ですよね。上手い選手であっても、トラップ後の次のプレーは一か八かの縦パスを選択するような場所です。

CKで相手も近くに居て、即時奪回をしてきます。恐れて早くボールを手放したいというのが選手の心理だと思うのですね。

それをボールキープして、前にボールを運ぶプレーを選択する余裕。周囲が見えていて且、技術が追い付くからこそ実現出来るプレーですよね。

先日のWEBニュースかで、自身の『ゾーンに入っている』的な発言のあった清武。それが故に選択したプレーだったと思うのですが、それが裏目に出てしまった印象でした。結果論ですが、簡単にボールを放してれば・・・という思いも少なからずあります。軽傷を願いたいです。

●オウンゴールで先制を許す

これは仕方がないかな。清武の負傷後、ちょっとチームに動揺が走ってた感じでしたが、そんな中で生まれた失点。

また、相手FW:チアゴ・サンタナの動きが上手かったですね。ニアに寄ってからファーに逃げる感じのサンタナの動きに、ヨニッチはマークを外されてるんですね。

マークを外された中で、マーカーを追うのか?クリアに走るか?ヨニッチに一瞬の迷いが生まれたように感じました。その迷いが故に、クリアが中途半端な形になってしまった印象でした。

でも、ヨニッチもチャレンジした結果。前向きなミスだったと思います。それ程、精神的なダメージは無かったかな?とも思います。ただ、このシーンはクロスを上げられるまでの対応は、少し問題だったかな?その辺、少し。

●後半の翔投入

後半開始早々の西尾→翔の交代。個人的に左サイドの修正は必須で、鳥海→翔かな?と予想してたんですが、鳥海残し。鳥海も小菊さんからの信用度が上がってきましたね。

西尾が外の選手に付き過ぎる嫌いがあって、西尾ー鳥海間が狙われてた印象はありました。ブロックを組んだ時に、為田のポジションを少し下げる方法もあったと思いますが、清武負傷後の為田のヒラメキは大きな武器。小菊さん的には、為田のポジションを下げたくはなかったんだろうな~と。

そこで、左SB本職:翔の登場という感じだったかな?と思います。鳥海との間のスペースを消し気味に、上手く対応出来てたと思います。

でもって・・・・この翔投入が奏功します。

●翔のヘディング!!!

ドンピシャ!!!!!(笑)スーパーセーブ連発の権田でしたが、それを超える翔のヘディング!!!

凄かったですね~、今シーズンで一番、興奮したゴールかも知れません(笑)

本当、今シーズンの翔、個人的に要所要所で出番があるな~と感じてました。基本的に出番はカップ戦ですが、貴重な左CBとして。また、丸橋が手術、山中が怪我がちで左SBの控えとしても貴重な存在。そのユーティリティさから、ベンチ入りを勝ち取ってる印象でした。

理系の人間ながら非理系的なことを言うのですが、そうやって少しずつ積み上げてきた信用が花開く時がくるような気がしていました

後は結果を出すだけ

翔に関しては、そんな印象を持ってました。

今シーズンの翔を見ていると、少しずつでも信用を勝ち取っていくことの重要性というものを感じさせられます。カップ戦から、コツコツと頑張ってきた結果が、この試合で1つ出たのではないかな?という気がしています。翔に風が吹いている、運があるとも感じますが、

その『運』を手繰り寄せるのも本人の『努力』次第

だと思うので、翔にはこれを継続して欲しいですね。

次は、

結果を出し続けること

個人的に、続く上位3連戦でも期待してみたい選手の1人になりました。

●徳真と奧埜の関係性

注目していた徳真と奧埜の関係性、前半は奧埜:前、徳真:後というような関係性でした。これは、原川と徳真をそのまま入れ替えただけの狙いのようには思いました

ただ、清武の負傷もあって、上手くハマらないような感じになったところで、関係性入れ替え。

徳真:前、奧埜:後

に代わってましたかね。

清水のFW裏で徳真がボールを受けられる事が多かったですが、徳真は後ろからの縦パスに対して、しっかりと前向きにボールをコントロールできてたのは好印象でしたかね。翔のCKのアシストもした形になりますし、徳真にも期待したいですね。


そんな所で、本題へ。今回、

逆足サイドバック

という所をテーマにしてみようかな?と思います。右利きなのに左SB、左利きなのに右SBというヤツですね。

実は、前回時に書こうと思ってた内容だったりするのですが、

何故か、ラグビーを取ってしまいまして(苦笑)

今回は、そのリベンジ?です。というか、試合前のスタメン発表から、この内容で書こうと思ってました。半分、決め打ちです(笑)

どちらかと言うと、清水目線になりますかね?

清水の逆足サイドバック:山原

この試合を見てて、一番、思った事は、

清水の左SB、めっちゃ上手いな~

という所でした。その選手は、

29番:山原 怜音

でした。アウェイで対戦した時は左サイドMFをやってたようですが、監督が代わって1段落ちたような形なんですかね。

この試合の清水の狙いははっきりして、

左サイドでビルドアップの起点を作って、右サイドに振って中で勝負する。

と言うような感じだったと思います。その『左サイドでビルドアップの起点を作る』という所で躍動してたのが、そのままこの山原選手でした。

そして、この左サイドバック:山原選手、実は右利きなんですよね。

おー、逆足サイドバックやんけ!

と俄然、僕の中の注目度が上がってしまいました(苦笑)

そんな所で、少し前提を。逆足サイドバックだと何が良いのか?という所を個人的な視点で書いて行こうと思います。

ボール保持時のサイドバックの『身体の向き』と『利き足』の関係性

自チームのボール保持時、例えばCBがボールを持っていたとします。そうなると、サイドバック(ここでは左SBとします)の体の向きはどうなりますでしょうか?

当然ですが、普通に考えてピッチの中、内向きになりますよね。視野も含めて書いてます。

内向き、右足が後ろ

そして、身体が内向きになるという事は、

左足:前、右足:後

になります。腰が180度回転しない限り、これも当たり前ですね。

ここで効き足を出します。仮に左利きの左サイドバックだった場合、通常、ボールをキープするのも左足(下図:赤(L))。そうなると、ボールは身体の前側でキープする形になります。

身体より前目でボールをコントロールする

ところが、実際の試合では相手選手のプレスにあったりするので、展開にもよりますが前向きにプレーできる機会はなかなか訪れない。CBからパスが来ると想定すると、どうしても右足:後ろの状態でボールを受けるという形も出てくると思います。

利き足でない右足でコントロールする必要がある

こんな感じで、相手のプレスを考えると、利き足でない右足でコントロールする形になり、かなり窮屈なプレーを強いられる形になってしまいます。

(この辺、アーセナルで冨安にパスを出さないホワイト選手の件で少し話題になりましたが、あまり良いパスではないんですよね。SBが相手のプレスにハマってしまうパスというヤツです)

プロの選手なんで、相手プレスに対して引きながら前向きにボールを受けたり、丸橋とか山中、陸なんかもそうでうですが、上手い選手は本当に上手いのです。ただ、少しでもボールコントロールにスムーズさを欠くと、途端に苦しいシーンに陥ってしまうのもよく見かけますよね。

ただ、この左サイドバックが右利き、つまり逆足サイドバックだった場合はどうか?

相手のプレスを受けても、

相手に身体を入れて、『利き足:右足』でボールコントロールが出来る

んですよね。下図では、相手のプレスに対して、自分の身体を入れて利き足:右 (下図:赤(R))でコントロールすることができます。

逆足サイドの場合、プレスを受けても利き足でコントロールできる。

利き足でコントロールできるということは、そこから視野の方向には蹴り出すことも可能。身体の向きや相手プレスを考えると、まっすぐ縦方向に蹴るのは望めないのですが、斜め前方向には蹴り出すことは可能です。

こういうプレーを左利き左SBが行うと、利き足でない右足でのキックになり、正確性を欠くプレーになるのは想像できますよね。はっきりとした、逆足サイドバックの利点だと思います。

まとめると、

  1.  ボール保持時、サイドバックの体の向きは自然と内向きになる。
  2.  相手のプレスを受けると、後ろの足でコントロールすることも多い。
  3.  後ろの足が利き足になるのは、逆足サイドバック。

と言う形。そこからもう少し言うと、逆足サイドバックの有効性は、

相手プレスを受けても、無理なく(斜め)前方向にボールを送れる

という所を感じてます。

そんな所で、今回の山原選手のパターンを書いてみます。

清水#29 山原選手の逆足サイドバック

清水は監督が代わってよく知りませんでしたが(というか、セレッソ以外は興味がほとんどないですがw)、ビルドアップ時にサイドバックの選手はかなり低い位置を取るようです。

低い位置から逆足サイドバックとして、山原選手は毎熊の縦方向からのプレスに対して、利き足の右でサイドチェンジを行うシーンはいくつか見られました。

面白いのが、反対サイドのサイドバックに陣取るのが、ご存じ『えいちゃん』こと、片山瑛一。セレサポならよくご存じだと思いますし、この試合でもCKでヘディングで合わせられた通り、ヘディングも強い。

山原起点のビルドアップの形

そんな片山を右サイドに持ってくる辺り、山原選手からのサイドチェンジのパスを高さでも競り勝つ狙いはあるのだと思います。背の高いSBの利点ですよね(サイドMFとしてですが、毎熊とかにも見られるプレーです)。

こんな感じで上でも書いた通り、左サイド(山原選手)で起点を作って、右サイド(片山)に振る清水の狙いは見えてました。

ただ、毎熊もバカではないので、その狙いに対して、今度は山原選手のキックしたい方向からプレスに行ったりします。が、毎熊が蹴る方向、つまり横を切った場合、山原選手は縦にドリブルを選択する判断に切り替えてました。

横からのプレスは縦にドリブル

この辺、前述の通りですが、

清水の左SB、めっちゃ上手いな~

と思った所です。上手く、狙いを絞らせてくれなかった印象でしたね。

こういう所、逆足サイドバックを使うに当たっての『仕組み作りの優秀さ』とその逆足サイドバックの『判断の良さ』という所は、この試合の清水で光ってた所だったのではないかな?と感じました。

全体的にセレッソが圧してた試合でしたが、何度も書きますが、山原選手は個人的にとても印象に残りました。本当、判断が良くて厄介やったなと。

ただ、この試合で逆足サイドバック、もう一人いましたよね?そう、

西尾隆矢も逆足サイドバック

でした。その辺も少し、前節について・・・になりますが(笑)

セレッソの逆足サイドバックの仕組み

上の山原選手のプレーの秀逸さ、強いては逆足サイドバックの有効性を書きましたが、まず最初にその有効性に気付かせてくれたのが前節:広島戦の西尾でした。

そのプレーがコレ。ブルーノが最後に惜しいシュートを放ったシーンです。

このシーン、きっちりと西尾は斜め前方の清武にパスを通してます。このプレーを見て、

逆足サイドバックは、ビルドアップの時にこういう有効性があるんだな~

という所に気付かされました。こういう逆足パスをレーン間でジグザクに連続させれば、前向きにボールを持てなくてもボールを前に進ませることが出来るな・・・とすら感じます。

そして、この清水戦でも全く同じような形でパスを通してます。試合開始早々(1:20~)、西尾がボールを持った際、斜め前にポジション取りした為田に右足でパスを通してます

実はこの試合、清水:山原選手が逆足サイドバックと気付く前は、

西尾がボールを持った時に周りの選手がどう動くか?

に注目をしてました。広島戦で見せた西尾のパスが見られるかな?と思っていたからです。注目してる中で試合開始早々にそんなシーンが出た(しかも、奧埜も為田と被り気味に来てた)ので、間違いなくセレッソが準備したものだと思います。色々、準備してるんだな~と。

西尾はこの試合、上手く行かなかったという感じにはなりましたが、広島戦のように良いシーンも演出しています。という事は、西尾がパスコースを見えていて、パスを通せる能力があるからこそ、可能なプレーなんだと感じます。

逆足サイドバック:西尾も可能性を持ってる

というのは感じさせられました。

オプションとしては面白いかなと思います。

サイドバック『右は右』『左は左』で。出来れば『両方』で。

ここまで、どちらかと言うと好意的に逆足サイドバックを書いてきました。ただ、個人的な好みで言えば、

右SBは右利き/左SBは左利き

が良いなと思ってます。なんやそりゃ!というツッコミが聞こえてきそうですけどw

理由は、

前向きにボールを持った時に攻撃の選択肢が増えるから

という所。

逆足サイドバックの選択は、端から『縦の選択肢が希薄』になってる印象なんですね。利き足が同サイドの選手で前向きにボールを受けられたら、逆足サイドバックより確実に『縦の選択肢が多い』んです。

#丸待ってるよ

西尾の逆足サイドバックも、あくまで山中・丸橋負傷離脱の応急処置。翔が出てくれば、それも不要なんではないかな?という気もします。そういう意味でも、今日、翔が結果を出したのは大きいかな?と思います。

鶏が先か?卵が先か?の理論にも通じますが、相手のプレスを受けて『前を向く』と『前を向けないのを受け入れて次の手を打つ』の選択というか。逆足サイドバックは後者で、既に消極的な策なように僕の目には映ってます。

加えて、逆足サイドバックの為に別に仕組みを用意する必要も出てくる。1人で出来る事を、2人でするようなイメージになるんですよね。

逆に、一般的に言われるように、逆足サイドバックが前線に上がり切ってしまえば、カットインからシュートという選択肢も出てくる。その辺、良し悪し、監督の好みの問題と言えるかも知れません。

ただ、もっと言えば、

両方できるのが凄い

という所でしょうけどね。両足遜色なく蹴ることが出来れば、前を向く選択も、プレスで詰められた時に上で挙げたような逆足サイドバック的な選択も持てる。そういう意味で、日本代表の長友は重宝されてるとも思いますし、今日の山原選手のプレーには恐れ入った所があります。

色々と考えさせられる、逆足サイドバックの起用でした。逆に、サッカーは色々と面白いなと思います。

長々と書いてきましたが、最後に・・・・清武が軽傷であることを願ってます。

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