2024 セレッソ

【セレッソ】札幌戦:何故、ミシャさんは田中駿汰をCB起用していたのか?

セレッソ 1-1 札幌

2024.5.3 @ヨドコウ桜スタジアム

引き分け。

セレッソとしては、大きく課題の残る試合でしたかね。老匠:ミシャさんにしてやられた所もあったかな?と感じた試合でもありました。

そんな試合を振り返ります。

試合内容・雑感

●先発に柴山が復帰、クルークスの左WG

スタメン発表、柴山が復帰してきましたね。川崎戦の出来からして、僕個人はかなり期待値が上がった選手。このスタメン復帰は、本当に楽しみでした。

そして、カピシャーバ怪我で左WGには、クルークス。ルーカスとクルークス、どちらがに左に行くのか?という所も試合前にはありましたが、そのままクルークスが左に収まる形でした。

注目は、田中駿汰とルーカスフェルナンデスでしたかね。古巣対戦と言うこともありましたので、イテこまして欲しかった所でした(笑)

札幌で気になったのは、鈴木武蔵ですかね。個人的に他チームの選手の移動は細かく把握しておらずで、鈴木武蔵は札幌に居ったのか?みたいな感じでした(苦笑)

●序盤攻勢も徐々に押し返される

序盤、良い感じで入っていたと思います。相手にチャンスらしいチャンスも与えず、後は決めるだけ!みたいな空気感もありました。

少し角度が厳しかったですが、(11:30~)柴山のシュートや、(17:00~)田中駿汰→レオセアラのシュート、(19:40~)のショートカウンターとか。この辺りが決まってれば、全く違う展開にもなっていたように思います。

何となくですが、この試合にかける意気込みは感じましたけど、

若干、空回りしてたところもあった?

のではないかな?と。名古屋戦の敗退、横浜FM戦の引き分けで迎えた試合で、3試合も勝ちがなくなるのは受け入れ難い・・みたいなところで。

チャンスを逃し続けると、流れは変わります。徐々に押し返され、そして、あまり見たくなかった光景が(苦笑)

●先制を許したシーンに見る問題点

何ともあっけない感じで、先制を許す・・・

このシーンもそうですが、前半15分過ぎくらいからだと思いますが、

札幌のロングボールを、DFラインが弾き飛ばせてないな・・

というところは個人的に危惧しておりました。ここで『弾き飛ばせてない』の定義を言うと、

札幌のロングボールに対する競り合いの後、セレッソMF陣が後ろを向いている状態になる

という所です。

このブログでも何度となく紹介しておりますが、競り合った後にセレッソDFラインーMFラインにボールを留まってしまった状態という所でした。

図示するとこんな感じですね。この時、このエリアで相手がボールをキープしているかどうか?までは定義に含めてません。セレッソMFが後ろ向き/相手MFが前向きの状態は、相手がボールを持ってなくても不利な状態に違いないからです。

なので、DFラインがロングボールに対して跳ね返せずにここにボールが留まると、セレッソMF陣は必ず後ろ向きにプレーする事になるので、チームの推進力が削がれてしまう。ボールがセレッソのMFラインを越えて初めて、

DFラインはボールを弾き飛ばせた

という定義です。

本当は、ヘディングの競り合いでもボールを繋ぐことが理想ですが、競り合いながらヘディングではコントロールは出来ないですよね。繋ぐのが難しいのであれば、シンプルにセレッソMF陣の頭を超えるような弾き飛ばしが求められるというところで。

で、この前半の中盤以降、この札幌のロングボールを本当に弾き飛ばせてなくて(苦笑)ざっと挙げてみても、

  • (19:03~)
  • (23:32~)
  • (24:57~)
  • (26:11~)
  • (26:37~)※失点シーン

10分にも満たない時間で、ロングボールでこれだけやられてしまってました(苦笑)失点シーンでは、鳥海が競り勝つもボールを掻っ攫われ、そこから展開されての失点でした。

この辺、

鈴木武蔵が強かったな

と言う感じでしたかね。鳥海、翔の上手さよりかは、鈴木武蔵の強さが上回ってた印象でした。鳥海とか、最初に強く当たったり、相手より前に入ったりと色々と工夫してるのは凄く見えてたのですけどね。

この辺も含めて、札幌の狙いにセレッソもハメられてましたかね。

セレッソの前線(今回は、レオ・奧埜・柴山。ルーカス/クルークスの両WGはサイドMFまで下がるのが多かったですね)がプレスでボールの出所へ強く行けばロングボールを入れられ、そうでなければ、前回記事の『あちょ挟まれ問題』。その2面を上手く使い分けられていた印象でした。

札幌のやり方が上手かったと思いますし、負け惜しみではないですけど、前述の通りセレッソの選手も硬さがあったようにも感じましたね。

●北野颯太の存在感

後半に入ってもチグハグ感は抜けず、早々にセレッソが動く。颯太、真司、為田の投入(OUT:柴山、奧埜、クルークス)。この交代で、劇的に変わった!とまでは行かないものの、流れを引き寄せ始めた所はあったかな?と思います。

特に、個人的に目を引いたのは北野颯太でしたかね。この試合、現地観戦でしたが、何だか颯太の身体がゴツくなったように感じました(笑)

元々、スピードのある選手でしたけど、スピードそのままに当たり負けしない体になってきたかな?と言う印象はあります。高校年代とプロとの差は、

フィジカル

だと思っています。颯太は、プロ3年目。

身体がプロ仕様になってきてるんではないかな?

と言う風に感じてました。

(60:25~)のカウンター、レオ → 颯太 → 毎熊 → ルーカスのシーン(超惜しい枠外し)とか、颯太は上がってくる毎熊をよく見てたなと感じました。

上で柴山に期待感を持ってる旨を書きましたが、この試合の颯太を見て、柴山と同じような期待感を持ちました。一皮むけてきてる感ありますよね。

そして・・・同点ゴールが生まれます。

●レオセアラPK&ルーカスフェルナンデスのドリブル

レオセアラ、6試合連続ゴール!良いですね~(笑)

前節があったのでちょっと不安はありましたけど、落ち着いて決めてくれました。流石です。

ただ、このシーンで一番の注目は、PKを取った

ルーカスフェルナンデスのドリブル

ですよね(笑)

動画を貼りますが、PK前のレオに切り替わる直前、対応した札幌DFは(やってもうた!)という表情で『あ!』と言うてる所が注目ですね(笑)

これ絶対に

相手がブロックに来るのを誘ってる

んですよね。ブロックに来た瞬間に、すっとボールを前に運ぶ。この余裕は流石。

元同僚でも引っ掛かるんやな~

とちょっと痛快でしたよね(笑)

やっぱ見せてくれますよね、ルーカス。既に、セレッソに欠かせない選手になってるなと感じます。


同点に追い付いたまでは良かったですが、以降はスコアを動かせずにドロー。なかなか、難しい試合だったなと思います。

そんな所で、本題へ。田中駿汰を取り上げます。

現在のセレッソでは、アンカーとしてがっつりポジションを確保しております。ただ、昨年までの札幌時代、監督:ミシャさんは田中駿汰を3CBの右で起用してたと言うのは知られた話ですよね。

そんな所で、テーマは記事のタイトル通り、

何故、ミシャさんは田中駿汰をCB起用していたのか?

という所を考察してみたいと思います。

ちなみに、昨年以前の札幌はセレッソ戦しか見てないので完全に推測です(笑)

セレッソでの田中駿汰の評価

セレッソ加入後、桜のアンカーとして目覚ましい活躍中の田中駿汰。セレッソではここまで11節で、開幕戦を除いて全試合フルタイム出場中。唯一、途中で交代したその開幕戦も、後半51分まで出場。既に、なくてはならない存在ですよね。

恐らく、ここ10年位振り返ってみても、はっきりと、ここまで大当たりだ!と言える補強は無かったのではないかな?と思いますよね。それ故に、セレサポの心をガッチリ掴んでいると思います。

僕個人も、

凄い選手、来たな~

という所は感じてます。本人は海外に行きたいと思ってるだろうけど、セレッソで長くやって欲しいなと(笑)

そんなここまでの田中駿汰について、皆さんは点数をつけると100点満点でいくら位でしょうか?

個人的に点数をつけると、少し厳しくなります(笑)僕の場合、

90点(100点満点)

と言う感じですね。はっきりと、高望みの部類に入って来る感覚はありますけど、

めっちゃ満足してる。

でも、あちょなら、もっと出来るでしょ!?

という感じですね。

前述の通り、高望みの部類の残り10点分ではありますが、『もっと出来るでしょ!?』と正直に感じてる所に少し触れてみたいと思います。

あちょの残り10点分

この残り10点を感じたのが、実は先日の川崎戦の1シーンでした。そして、その1シーンは、川崎戦レビューで『メインのお題』で取り上げたシーンでもありました。

その時の記事はこちらです。

この記事で取り上げた1シーンは、

川崎戦:(62:22~)からの田中駿汰のFK

で、この時、

ノボリ―田中駿汰で連続で3往復のパス交換が行われた

という所でした。

こんな図も書いてます。

この時の記事のテーマが、

ブロックの内か?外か?

と言うものでした。相手ブロックの内でパスを受けたら、相手は内に絞る。そこからボールをサイドに展開すれば、相手の絞る矢印とは逆向きになるので、揺さぶりの振り幅が大きくなる・・みたない話題でした。

で、この時の田中駿汰とノボリのパス交換は、どちらかというと『ノボリ主導』に見えるパス交換でした。

サッカーの上手い選手のパスにはメッセージが込められると言いますが、この時、

川崎のFWはチェックに来ないので、ブロック内で前を向ける。あちょ、前を向いて仕掛けろ!

ノボリのパスにはこんなメッセージが込められてるように感じました。

ただ、この時、田中駿汰が前を向いたのは3往復目のパス交換後でした。ノボリが行け!行け!言うてそうなのに、なかなか田中駿汰が前を向いてくれない・・・みたいに感じておりました(苦笑)

ここまで書けば、僕が期待する100点満点の残り10点が分かって頂けると思いますが、

前を向くプレー

という所です。

セレッソの現状のビルドアップ時、田中駿汰は相手ブロック内に立ち位置を取ることが多いです。田中駿汰が相手ブロック内でボールを持って前を向ければ、相手ブロックは必然的に内に絞る。そこから、サイドに展開して・・・で揺さぶりを仕掛けることができる。上でも紹介した、川崎戦のレビューで書いた通りです。

ただ、この3往復のパス交換のシーンが端的でしたが、あちょが前を向けば仕掛けられるというタイミングでも前を向こうとしないシーンを散見するのが個人的に気になってます。頻度的には、1試合に1ー2回くらいですかね。あくまで僕の主観ですが、仕掛けのタイミングを逃してるように感じます。

何度も書きます。高望みです(笑)

勿論、前を向いてくれるシーンも多いですし、前を向いた時に目の覚めるようなスルーパスを出せる視野の広さがあるのも分かります。なので、ほとんど気にならない程度ではあるのですが、

でも、あちょなら、もっと出来るでしょ!?

と期待をせずにはいられないというか・・・(笑)

悪いと感じる所を書いてしまってますが、非難をしてるつもりもありません。逆に期待値の高い選手だからこそ、もっと・・と求める感じですね。

そして、この視点で言えば・・・何となく、札幌でミシャさんが右CBで起用した理由も見えてきませんでしょうか?

何故、ミシャさんは田中駿汰をCB起用してたのか?

ここからは、ミシャさんの田中駿汰:CB起用の考察です。昨年までの田中駿汰をくまなく見てきた訳ではないですので、あくまでセレッソでのアンカー:田中駿汰を見た上での想像ですw

ビルドアップ時なんかそうですが、

CBは基本的には前向きでボールを持てる

のは分かりますよね。図示すると、こんな感じで。

相手のハイプレスにハマらない限り、ボール保持時はCBは前向きでプレー可能で。

対して、上図の田中駿汰/ノボリの通り、DFラインにボールがあればボランチは後ろ向きになります。後ろ向きではボールを前に運べないので、ボールを受ける際に、

『前を向く作業』が発生する

というところも必然ですよね。

そして、11試合見ただけのセレサポでも知る所だと思いますが、

田中駿汰は前を向けばどんなプレーでも出来る

というのは理解できると思います。ならば、前を向く必要のあるアンカーではなく、

CBでプレーさせて『前を向く作業』を省いてあげる

というのが、ミシャさんの田中駿汰CB起用の狙いだったのではないかな?と。

CBで常に前を向いていれば、いつでも縦パスの供給は可能ですよね。なので、田中駿汰をCBで起用して『前を向く作業』を省き、

その視野の広さと技術で、精度の高い縦パスを前線に供給する回数を上げる

と言うことだったのかな?と想像します。

今季のセレッソにおける、翔がこんな感じの使われ方ですよね。田中駿汰ーノボリのボランチラインを抑えられても、CB:翔からのパスがある!という感じで。

その上で、試合内容・雑感でも書いたこの試合の (17:00~)田中駿汰→レオセアラのシュートのシーンのように、前線へ上がる運動量・攻撃的センスもある。それは即ち、ミシャ戦術の要にもなれると。

こう考えると、確かにCB:田中駿汰は、その強みを100%発揮できそうなイメージは湧きますね。あくまで主観ではありますが、セレッソでのアンカー:田中駿汰のプレーから、札幌時代の田中駿汰をこう想像しております。

このような感じで、セレッソでアンカー:田中駿汰が前を向かなかった時に思い浮かべてたのが、

あー、だからミシャさんは田中駿汰をCB起用してたのかも知れへんね。

という所でした。

それでも田中駿汰はアンカーで大成すべき

以前に田中駿汰のプレーをこのゲームで表現しました。

懐かしのブロック崩し。ボールを前に弾き飛ばすことで、相手エリアに相手を押し込む。そうすることで、徐々に相手ブロックを削るという所で、このゲームと共通する所はあると思います。これは、田中駿汰のアンカーとしての守備のイメージですね。

このゲームのように、

田中駿汰はピッチ横幅のカバーエリアが異様に広い

と感じてます。

ミシャさんはこの田中駿汰の運動量を縦方向で使ったようなイメージですが、縦をカバーできる選手は色々と居る(毎熊、長友、酒井宏樹とか)印象です。が、横方向を高レベルでカバーできる日本人選手はなかなか見かけないのですね。だからこそ、

田中駿汰はアンカーで大成すべき

と思います。

本人が望んでることでもありますしね。これも以前のブログで書きましたが、

守破離の『離』です。新しい田中駿汰を作る時ですよね。ならば、アンカーと言うポジションでチャレンジすべき

なので、チャンスがあれば、どんどんと『前を向く作業』をチャレンジして欲しいなと思います。それが、チームの推進力をより生んでくれると思うので。少し厳しめに書きましたが、本当に期待とスケールの大きい選手だな~と感じていて、更なる高みに行って欲しいなと思います。頑張って欲しい!

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