2024 セレッソ

【セレッソ】名古屋戦:ルーカスフェルナンデスの『型破りドリブル』

セレッソ 1-2 名古屋

2024.4.21 @豊田スタジアム

今シーズン、初の敗戦・・・

うーん、、、鬼門と言えばそうですが、アウェイ名古屋。それでも乗り越えてくれる!と感じられるチームなだけに、悔しさもひとしおです(苦笑)

試合を振り返りますか。

試合内容・雑感

●いつものスタメン

セレッソは予想通りのスタメンという所になりましたでしょうか。

U23アジアカップへの代表選出で、西尾・ハブナーが不在。CB陣にバックアッパーがいない(苦笑)でも、2人とも頑張れ!な所ですね。西尾はやっちゃいましたが(苦笑)

●出てこない前半の名古屋

この試合を見るのに、名古屋の出方をベースに見た方が良いですかね。

新潟戦のレビューで、『引き算』のサッカーの見方を書きましたが、

画面上に映る人数によって、相手の狙いがある程度は分かるという見方、今回もやってましたが、

名古屋、10人全員がTV画面に映ってるな

と言う感じでした。

言わば、永井のカウンター狙い。それ一本の前半。こちらに対して、最大限の警戒を払って・・・という所に見えてました。セレッソから見て、試合を支配していたのは間違いないですが、

若干、ボールを持たされてる感もあるよな・・

というのも感じてました。

ちょっと不気味に感じて、ハーフタイムにポストしたのが以下。

名古屋レベルのチームが、ホームゲームでこんな低調な試合で終わるはずがない。どこかで、前に出てくるはず。そこを凌げるか?

0-0のスコアからもそうですが、前半自重気味で後半から名古屋が前に出てくるのが予測できたので、後半勝負がより色濃くなったのは間違いない所かな?と感じてました。

●前に出てきた名古屋。苦にしなかったセレッソ。

前半に出てこなかった名古屋でしたが、後半も考え方は変わらずカウンター狙い。ただ、

名古屋のDFライン、徐々に上げてるよね。

というのは見て取れました。ボール保持のセレッソに対して、ハメ気味に前に出ようとしてた感じでしたよね。

でも・・・セレッソはそれを苦にせず。前半と変わらない感じで、試合を支配できていたと思います。

やっぱり強くなってるんだなと。正直な所で、この辺で個人的に、

今のセレッソなら、名古屋も怖くない。鬼門突破、行けるかも?

と感じてました。多くのセレサポさん同様の手応えを、ここで持ちました。

その中でも、個人的にお気に入りは(61:08~)のシーン。奧埜とノボリが入れ替わるシーンが生まれてます。これ、痺れました(笑)

ここまで研究されてきて、ノボリー田中駿汰のボランチ位置での組み立てもマークが厳しくなっているのは周知の通り。その対策として、

IH:奥埜と、ボランチ:ノボリがスイッチする場面は必ず生まれる

と思っていました。それをばっちり確認できたなと(笑)

加えてこのシーンでは、ノボリの狭いエリアを通すレオセアラへのスルーパスに、名古屋DF:三國がレオセアラを手で止めてイエロー。ノボリが前に行っても、綺麗に相手を崩せてたのですよね。流石のノボリやなと(笑)

こういうシーンも見れたので、ここは行ける!と言う感じでしたが・・・そう上手くも行かず(苦笑)

●CKから先制を許す。

今シーズン初めて、リードを許す。

セットプレーは、本当に何が起こるか分からないですね。油断ではないですけど、エアポケットに落ちたようなそんな感覚の失点でした。チームとして改善する必要はあると思いますが、見てる側からして語るに値しないというか、ドンマイ、ドンマイ!という感じでした(苦笑)

でも、多くのセレサポさんが気になっていた『リードを許す展開でどうか?』の疑問に一発回答(笑)

●レオセアラのゴール!

三國のオウン?レオセアラのゴール?(笑)リアルタイムでは良く分からなかったですが、公式記録が覆り、レオセアラのゴールに落ち着きましたw

レオ、良かったね(笑)

でも、このシーンは何といっても、

ルーカスフェルナンデス

のパスカットですよね。このシーンと言うよりかは、この試合は!という感じの凄さでしたけど(笑)

このシーンもそうですが、相手へのプレス/追い方が上手いですよね。一直線で追わないので、相手DFがボールを横にズラしたりしても対応できる。また、この得点シーンのように、ボールがショートすると見るや否や一直線でボールをカットしに行く。この判断が秀逸

でもって、ボールを持つとワクワクしますよね(笑)今や、セレッソの攻守の軸になってるところはあると思います。本当、良い選手が来てくれたな~と思います。ルーカスは、後述します。

リードを許すも、2分で挽回。これは、このまま行ける!という感じでしたが・・・

●セットプレーから決勝点を許す。

何と言いますか。何もない所から、また失点をしてしまったという感じでしたね。。。

山田が競り負けて、田中駿汰がクリアに行けず。鳥海も詰め切れず。。。な、エアポケット再びという感じで(苦笑)

強いて言うなら、最初の競り合いの所、山田にもう少し競って欲しかったですかね。相手がパトリックだとしても、勝てないまでも体を当ててパトリックを自由にさせない競り合いと言うかね。

ボールがゴール前にこぼれると、こう言った『まぎれ』は起こるもので。それに乗じられた感はありましたが、防げるところもあったんではないかな?という思いもあります。

済んでしまったことですので、次に期待ですかね。

●気迫/熱量

この試合、一番、気になったのは、

名古屋の選手の顔つきが、怖いな。

でした。

審判の判定が不安定な所もあったのもあったのでしょうが、それ以上に気合も入ってた。なんでしょう、各選手の顔つきから感じたのは、『この試合、何かタイトルのかかった決勝戦か?』と思う位の、

一戦必勝の心構え

みたいなものでした。良し悪しは別として、開始直後の山中のスライディングなんかもこれの裏返しだと思います。

この前の柏なんかも同様に感じましたが、各チーム、対セレッソでの気合の入り方は昨年とは違うものがありますよね。これら、やはり、

上位チームの宿命

なんだと思います。それをはね退けられてこそのリーグ覇者だ・・・という所なんだと思います。

逆に言えば、それだけ、

今のセレッソが強いという事の証明

でもありますよね。そこは誇って良いのかな?という思いはあります。

負け試合でしたが、セレッソの現在の地点を確認するのに、とても意味のあった試合ではないかな?と思います。ただ、勝負事。これを引きずらない意味でも、次の試合は重要だなと。


そんな所で、本題へ。ルーカスフェルナンデスを取り上げます。

セレサポ内の評価もうなぎ登り中のルーカスで、注目すべきはドリブルですかね。効果的なドリブルは、目を見張りますよね。

ルーカスのドリブルは、スピード・技術、共に高いレベルのプレーであることは間違いないですが、カピシャーバのような迫力満点のキレッキレドリブルという訳でもなければ、昨年までセレッソに居た新井春樹のような図抜けたスピードでぶっちぎるようなものでもないですよね。

でも、はっきりとレベルが違うドリブルをしているのは誰の目にも明らかで。僕は、ルーカスのドリブルを、

『型破り』なドリブルやな~

と感じていたりします。今回、それはいったい何故か?という所を、僕なりに解説してみたいと思います。

キーワードとなるのは、言葉そのままに、

型破り

そして、もう一つ、

守破離

という言葉です。

『守破離』と『型破り』

『型破り』は知っていると思いますが、もう1つキーワードで挙げた『守破離』。『しゅはり』と読みますが、ご存じの方は居られますでしょうか?

諸説あるようですが、武道(茶道/華道とか)から生まれた言葉で、その人の持つ、

武道の修練度

という所ですかね。

個人的なイメージですが、

  • 』:基礎を作る段階(型作り
  • 』:『守』から外れた技を身に着ける(応用
  • 』:『守』『破』をベースに新しい概念を作る(創造

みたいな理解をしています。

※以降、守破離の3文字は、上と同じくかっこ書きで表記します(例:『守』)。

ここで面白いのが、『守』→『破』の段階のところ。『守』は前述の通り、『型作り』ですね。基礎となる技術を固める段階、を作るんですね。その型があって、初めて『破』に行ける。武道の経験がなくとも、普通のスポーツでも似た所はありますよね。応用をするにも、基礎が大事と。

そしてですが、その応用の『破』に移る時に言われるのが、

『型』を持ってるから『型破り』になる

ということ。『守』基礎が出来ているからこそ、 『破』 応用が効く。ピカソの絵なんかがそうですよね。ピカソは基礎も抜群にあって、その上でそれを崩した『型破り』な絵を描く。まあ、絵心皆無なので、僕はその良さを分からないのですがw

逆に言えば、『守』が出来てない状態で『破』に移った場合、

『型』がないから『形無し』になる

ということ。 『守』 基礎が出来てないと、 『破』 応用も付け焼刃にしかならない。一夜漬けで公式だけ覚えて受ける、中二の数学のテストみたいなもんですねw 公式だけ覚えても、公式の使い方を知らないから問題が解けない。それは、この理屈で言うと『形無し』だと(笑)

これらも諸説あると思いますが、

型破り』という言葉の語源も『守破離』の考え方がベースにある

というのが有力な説のようです。言葉遊びのようですが、とても的を射たワードではないかな?と経験上、思ってます。

僕自身、この言葉を10年位前に知ったのですが、以降、自分が仕事をする上で重要な考え方としてます。新しい技術を習得するのに、

今の自分は『守』の段階なのか?『破』の段階なのか?

よく考えて行動をする。『守』であるなら、もっと努力を。『破』なら、より大きなチャレンジを・・・みたいなね。

なかなか、『離』まで行けないのが悩みです・・・(苦笑)どうでも良いですねw

でもって、この『守破離』の考え方を、ルーカスのドリブルに当てはめてみます。

ルーカスのドリブルの『守破離』

ルーカスの『相手に対して仕掛けるドリブル』を見てると、大きく2パターンあるように見受けてます。

まず、1つ目が、

①対面の相手が前に出てこない場合:

前向きにドリブルを仕掛ける

と言うもの。

ルーカスのこの形、川崎戦の得点の起点になりましたよね。オーソドックスな形です。

続いて、2つ目が、

②対面の相手が前に出てきた場合:

その相手の後ろにボールをチョン出しして、相手と競争する

と言うもの。

相手の矢印はボールと逆向きですね。対峙する相手の逆、裏を突く形。だから、競争になってもルーカスの方が体勢が有利になる事が多い

ルーカスもテクニカルな選手でもあるのでドリブルの手段は色々と見受けますが、狙いを集約するとほぼこの2つだと思います。ルーカスは、この2つを上手に使い分けてる印象です。

で、このプレーの根幹となるのが

トラップ

ですよね。前にも一度触れましたが、ルーカスは非常にトラップが上手いと感じてます。一番目を引くのは、

次のプレーに移行し易い所にボールを置く

というトラップをしてる所ですね。

だから、

①前向きドリブルを仕掛けられるシーンが多い

んだと思います。

そして、対峙する相手は、前向きのドリブルを仕掛けられるのは怖いので間合いを詰めようとします。その場合、ルーカスは

その相手の裏にボールをチョン出しして、相手を出し抜く

ドリブルを行うような感じです。

このルーカスの2つのドリブル、完全に相手の動きに対して使い分けられますよね。対峙する相手にとって、厄介なことこの上ないです。

このルーカスのドリブルを『守破離』で置き換えると、トラップは基礎中の基礎。それをベースにした、

①:前向きドリブルが『守』

という事になるかと思います。

それとは反対に、相手の裏へのチョン出しドリブルは、トラップの足元に置くではなく『足元から外す』ドリブル。だから、

②:チョン出しドリブルは、『守』から外れた『破』

という事になります。

なので、ルーカスのドリブルはまず、トラップと言う『守』つまり、型を持つ。そこから、型:『守』から外れたチョン出し『破』も持つ。だから、

型破り』なドリブルになる。

という事は言えるかな?と思います。

これがトラップが下手、つまり『守』がアバウトだと、こんなプレーには繋がらないんですよね。トラップが下手な選手がルーカスの『破』のドリブルを真似ても、それは単なる『形無し』ということ。中二の一夜漬けの公式覚えと同じです(表現が気に入ってるので、今回二度目の登場w)。

ルーカスのドリブルと『守破離』の考え方で、本当に『基礎と応用の重要さ』を学べるなと思います。

セレッソU18についても触れますか。

サッカーと『守破離』の考え方、如何でしたでしょうか?

『守破離』の考え方で言うと、クルークスのプレーなんかも分かり易いですよね。

ご存じ、悪魔の左足。クルークスの左足キックは、

『守』の究極形

ですよね。だから、その極上の左足のキックフェイントから右に持ち変えての、

右への切り返し『破』

が利くんだと。

また、ノボリは、川崎で『守・破』と極めて最後の『離』

『離』:新しいものを創造することを求めてセレッソに来たんではないかな?

と言うのも想像できますよね。『離れる』の『離』、ピッタリな言葉ですよね。

こう考えていくと、サッカーも武道ですね(笑)というか、『守破離』と『型破り(及び形無し)』は、本当に優れた修練度の見方だと感じます。

少し本題から外れますが、このサッカー×『守破離』で、あえて触れておきましょうかね。セレッソU-18について。

ここ2年で、2年連続下部リーグへの降格という残念な結果になってしまいました。サッカーのベースになっていたのが、風間理論、所謂『止める、蹴る』と言うヤツですね。

この結果から、一部で相当な批判が挙がってるのも知っております。昨年には、実際にU-18の応援に行かれていた方から直接、その惨状も聞いたりもしました(苦笑)

ただ、これはあくまで個人的にですが、ルーカスのトラップ、クルークスの左足と同じで『止める、蹴る』は『守破離』の考え方では、はっきりと『守』なんですね。風間理論で、『止める、蹴る』と横並びで謳われる『運ぶ』『受ける』『外す』『見る見ない』も含め、理論で出てくるワードはどれもサッカーの基礎中の基礎:『守』だということ。

だから、個人的に風間体制下で、

U-18は『守』を磨きに磨き、極めているんだ

と言う風に捉えてました。そこから、

『守』を極めた彼らが『破』に移行できた際、どんな『型破り』な選手になるのだろう?

とも思っておりました。

このような『守破離』の考え方を踏まえた上で、あくまで個人的にですが、

育成年代で『守』を徹底的に鍛えるのは、後にその選手が『破』に移った時に飛躍的に伸びる。だから、とても大切なアプローチ

と思っていました。

この理論で出てくる選手が、本当に楽しみだったんですよね(苦笑)

そう思っていたからこそ、U-18のここ数年の結果とそれに伴う批判はかなり心苦しく(苦笑)サッカーの育成って難しいですよね。。。個の能力を伸ばすことが、結果に結びつくとは限らない。個を鍛えるのか?結果を出すことで、成長を促すのか?

プロの下部組織として、結果が出なかった以上は体制が変わる事に異論はありません。でも、U-18の体制が大きく変わったとしても、良い所は継続して欲しいな・・・とは思ってます。

U-18で結果が残せずとも、京産大で活躍している出身選手の話も耳にします。U-18出身選手の次のステージでの活躍を、心より応援しております。(勿論、現U-18所属選手も)

(※ここから以降は、更にU-18の余談です。ついでなんで、思いのまま書いてみます。)

ここ数年、U-18の試合は見てないです。その上で、風間体制のミスを推測で言うと

人は理屈では動かず、感情で動く』という所を踏まえず、理屈を押し通そうとし過ぎたところではないか?

という気はしてます。

誰しも経験があると思いますが、やっている事が上手くいかなくなると、理屈は正しくても感情でそれを受け入れるのが難しくなるのが人の性ですよね。そこから、その負の感情に寄り添わず、更に理屈を押し通そうとすると、より強い否定になって返ってくる

何度も言いますが、実際に見た訳ではないです。ただ、風間さんのキャラや伝え聞くU-18のチーム状態から、そんな風に想像できるかな?と思っておりました。

仮にそうだとしたら・・・やっぱり、チーム力は向上しないですよね。この辺、首脳陣の選手の不満・不安への配慮、マネジメントの見直しが必要という所になりますかね。

僕自身がそうなので良く分かりますが、この辺、

理屈人間の良くない所

だと思います(苦笑)そこは、理屈ではないんだと思います。最終的に人と人、感情が先に来る。好きな数学の先生だと、一夜漬けしようとは思わないですよね(笑)

本当、色んな経験・失敗を経て、個人的に『人は理屈ではなく、感情で動く』と言うことを理解しました。理屈人間は、これを理解するのに時間が掛かるw そして理屈と感情、そのバランスが重要だと。そういう意味で小菊さんとか、良いバランス感覚の人だな~と感じたりしますね。

ここは、どちらかと言うと自戒の為に書いてみましたw まあ、いくつになっても勉強ですね。

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