2023 セレッソ

【セレッソ】川崎戦: 2PKの駆け引き。

セレッソ 3-0 川崎

2023.9.2@ヨドコウ桜スタジア

川崎戦、勝利!!!!

上位進出に向けて、大きな壁となりうる川崎。前半、危ないシーンも多々ありましたが、ハンビン中心に凌いで、後半の早い時間の先制点から、中押し、ダメ押しと理想的な展開。良かったですね(笑)

今回のレビューは、だいぶ遅れましたが(苦笑)旬というものもありますが、気にせずw少しセレッソの試合も空くという事もあって、遅ればせながら書いてみますね。宜しければ、お付き合いください。

試合内容・雑感

●川崎戦の見るべきポイント

前半、本当に苦しい展開でした。やっぱり、この辺、川崎は上手いですね。川崎が3バックだったとか、諸々あるのですが、ここは【林】ではなくて【森】視点で見てみます。つまり、大きく俯瞰で見た場合のこの試合の流れ・・・という所の話。

川崎のボールポゼッション時、セレッソのDF4枚に対して、川崎は5枚が張り付いて来る感じですね。川崎の数的優位ということになりますよね。

逆に言えば、この状態において、川崎側の後ろ:5枚に対して、セレッソのFWーMF:6枚になる。なので、セレッソの数的優位という所。

僕の主観ですが、ここ数年のセレッソと川崎の試合を【森】レベルで見れば、ほぼほぼこの図式になってる感じです。ちょうど、この試合のハーフタイムに以下のようなツイートをしたのですが、

このツイートの趣旨がまさにこのことで、川崎戦(鬼木体制の・・・と言うべきかな?)の試合を見るポイントは、

セレッソのファイナルサードまで、川崎にボールを運ばれるか?その前に、決着をつけられるか?

という視点になりますかね。勿論、これだけで試合が決する訳ではないのですが、川崎戦の大勢を見るのには十分な見方だと思います。

で、セレッソの前側6枚に対して、川崎は5枚。と言うことは、

セレッソのオフェンスは、必ず1人がフリーの状態になってる

のですね。上のツイートでも書いた通り、DAZN観戦でも余裕で分かる位、

クルークス、ずっとフリーやんけ!!!

という感じで見てました。

『密度』という言い方が個人的にしっくりくるのですが、川崎は単純に前の密度が非常に高い。故に、そこで決着をつけようとする。ただ、裏を返せば、前の密度が高い分だけ後ろの『密度』は低くなる。セレッソは『密度』の低いエリアを狙い、DF4枚で踏ん張る。

ここ、小菊セレッソの戦い方にいつも覚悟を感じます。川崎が前線に5枚来ても、4-4-2のブロックを崩さない。DF4枚で対応しますからね。毎回、素晴らしいな~と思います。

ちなみに、先制点、2点目と、そのクルークスが起点になりましたのでね。良いツイートしたな!と自画自賛しておりますw

●川崎のフリーの定義

最終的に勝てたとは言え、前半はかなりしんどい展開。上では、【森】レベルで試合を見ましたが、【林】レベルで見ると、川崎の凄さもよく分かります。

川崎の特徴の一つと言えば、パスワークとなると思いますが、そもそも彼らのフリーの定義が他チームとまるで違うのはありますよね。例えば、以下のような状態で、川崎2人、セレッソ4人の状態だったとします。

数的には、圧倒的にセレッソ有利の状態ですよね。下手くそなチームなら、そのまま他にボールを回すような展開。

でも、川崎は違いますよね。4人に囲まれた1人の選手を『フリーだ!』と思える感じで。そこへのパスを選択できる。

そして、ボールホルダーの選手は、

『パス&ゴーで、自分も相手の4人に囲まれたエリアの中に入る』

という選択肢を持ってる感じです。

するとどうなるか?

こうなると分かりますよね。局所(上図の水色のエリア)的に見れば、

2vs2の数的同数の状況が生まれる

ということになります。パスの受け手を『フリーだ!』と感じることができ、自らもその選手を利用してフリーでボールを受けられる状況に持っていける。

こういう状況判断と戦術理解、そして、それを実現する技術の裏付け。それら、川崎の選手は本当に優れてるな~といつも驚きます。

ちょうど、この動きがハイライト動画にも収められてましたので、紹介しておきます。注目は、中村憲剛さんの#14を受け継いだ脇坂ですね。セレッソブロック内に縦パスを入れた後の脇坂の動きが、まさに上で紹介した動きでした。

パス&ゴーでセレッソブロック内に自身が侵入する。折り返しのパスが来なくても、足を止めずに侵入を続ける。矢印の根本を狙い、セレッソDF陣が下がる矢印を出したのに合わせて自身が止まり、最終的にどフリーでシュートを打つ。敵ながら、素晴らしい動きやな~と唸らされました。

この辺、パスの受け手がボールを止めると信用があるから、信じてパス&ゴーが出来るのですよね。起点を作ったレアンドロダミアンは、毎熊を背負って起点を作ってますからね。こう言う所、受け手を信用するという視点で見て、『止める、蹴る』の重要性も見えるかと思います。

余談ですが、喜田陽がこういう脇坂みたいな侵入をしてくれれば、より攻撃に厚みが出ると思うのですけどね。現在のセレッソのやり方では、2トップの1人が左右に流れたりするので、中が薄い時があるのですよね。そこをボランチの陽がフォロー出来れば・・・と思ったりします。

・・・陽の事を書いて思い出しましたが、私、セレサポでした(笑)川崎を褒めまくってましたね。まあ、好きなのでね、川崎のサッカー。局所を見てると、やはり面白いです。ただ、代表レベルの選手が多く抜けて、成立させるのも難しくなってるとも感じさせられましたよね。

クルークスが終始フリーだったと書きましたが、川崎の攻撃はぶ厚くもありますが、密度の低い所も生まれる諸刃でもあって。2-3年前の最強時代は、代表レベルの選手が攻撃をやり切れてたからこそ成立してたところはあったと思います。

シュートまで打ち切ってしまえば、後ろでいくら相手の選手がフリーになっていても、そこにパスは出されるはずがない。だから、問題は生まれない。あくまで攻撃的な考えですが、選手にやり切れる実力があれば成立する考え方ですよね。それを代表レベルの選手らが居た時は、可能だったんですね。

それが、ここ数年の抜けた選手に対して、補強がスモール化してた印象もあって。旗手の後釜にチャナティップを充てたり、谷口の後釜が大南(谷口とは違う使い方されてるみたいですが)だったりと。後出しですが、2年位前から選手のレベルを維持できてない感は大ありでした。

選手のレベルが下がって攻撃をやり切れない所が出てくると、結果、戦術的に浮いてしまう駒を使われる。セレッソ戦でしか見てませんが、今の川崎はそんな風に僕の目に映ってます。今の選手がどこまでレベルアップできるか?が川崎の課題のようには見受けてますが、今年に関して川崎の苦戦は予測できた所ではありましたよね。

加えて、今年の川崎はこれからACLもあるんですよね?シーズン終盤での過密日程で、コンディション維持が難しい試合が続くのは容易に想像は付きます。コロナ禍のACLで、コンディションを崩しまくった2021年のセレッソのように・・・ね。なので、

川崎が地獄を見るのは、これからだろうな・・・

とも思ってます。

・・・・知らんけど。まあ、志向するサッカーが好きとは言え、他チームのことなので、そこまで興味もないですw

でもって、改めて私はセレサポでしたw 川崎中心の話題はこの辺で。まあ、今回は『勝者の余裕』というところで紹介してみました(笑)

●先制オウンゴール!!!

先制点を見てみますか。こちらも、試合後にツイートしたのですが、

この毎熊のパスよ!!(笑)試合後に、この試合は特にないもしてない・・・みたいなコメントを残してましたが、しっかりと得点の起点になってましたよね。

密度の高いエリアから、密度の低いエリアへ。このパスが難しいのですね。技術の低い選手や、意識の低い選手にとっては。何気ないパスに見えて、

  • 狭いエリアで味方を見つける状況判断
  • パスを出す勇気
  • 狭いエリアにパスを通す技術

こういった所が必要。これらも選手の資質ですよね。持ってる才能。

戦術論隆盛なところはありますが、その戦術を構成しているのは選手。その資質如何で、出来ることは増減するイメージ。上の川崎のところでも書きましたが、如何に優秀な戦術があったとして、

選手のレベルが高くなければ、その戦術も成立させられない

のですよね。この毎熊のパスは、毎熊が代表レベルあるという説得力のあるプレーだったのではないかな?と。

代表、頑張って!!!

・・・と、ゴールとは少し離れた毎熊の所に注目してみました。オウンゴールは、何となく焦点を合わせるのが難しい(苦笑)

●レオセアラのPKによる2点目!!

クルークスのクロスから、山村のハンド!!!! 

・・・ってか、これもレビュワー泣かせw ここは、レオセアラのPK時のシュートを取り上げてみますか。

個人的に、PKを見る時、FC東京のディエゴ・オリベイラみたいな変則なキッカーでない限りは、

  • PKキッカーの軸足の向き
  • GKの飛ぶ方向

に注目して見ています。実際、ここに駆け引きが生まれてる感はありますね。

サッカー経験者ならお分かりいただけると思うのですが、ボールを真っ直ぐ方向に飛ばしたい場合、

軸足は、まっすぐ踏め!!

とコーチから教えられるのですね。何故なら、蹴り足をまっすぐに振れる選手なら、

ボールは軸足の爪先の向きに飛んでいくから

です。

言い換えると、

軸足の向きを見てれば、ボールがどちらに飛んでくるか?が分かる

のですよね。そして、ここに、

PKキッカーとGKの駆け引きが生まれる

のです。

この理屈、今回のレオセアラのPKを見てると面白いです。以降、右に蹴るとか左に飛ぶとか、左右の方向を書きますが、全て、

キッカー視点の左/右

と定義しておきます。

PKシーンの動画を貼ります。

順を追って書いて行くと、

  • レオセアラは、軸足を右向きに踏んでる。
  • 川崎GK:上福元は、レオセアラが軸足を踏み込んだ後、右に飛ぶ。
  • レオセアラが蹴ったボールは左に飛ぶ(ゴール)

と言う流れ。

GK:上福元、恐らくはレオセアラの軸足を見て反応してるんだろうな~と思わされます。明らかにレオセアラが軸足を右向きに踏み込んだのを見てから、上福元も右に反応してるのが分かります。

上福元の反応の速さ、エグっ!

と言う感じですよね。この辺、GKのレベルの高さを伺えます。

ただ、レオセアラの蹴ったボールは左。完全に逆を突きましたよね。

僕の記載とは左右逆になってしまいますが、ちょうどゴール真裏からの画角が分かり易いですかね。軸足の向きと反対方向に蹴ってるので、レオセアラの腰の捻り具合が凄いです(笑)これも、間違いなく、

PKにおけるキッカーの技術

ですよね。

軸足がしっかり踏めてないと、あれだけ腰を捻った上で安定したキックは出来ない。また、あの腰の捻り方で軸足の踏み込みが弱いと、まず間違いなく蹴った後にコケる。普通に蹴ってるように見えて、恐らく素人にはマネできないキック。そういう視点で見ると、

レオセアラの力強さ、技術の凄さ

も読み取れるかな?と思います。

いやぁ、面白いですね(笑)このレオセアラと上福元の駆け引きは、この試合の1つの見所だったな~と思ってます。駆け引きって、色んな所で生まれてますよね。

そして・・・このPKを前提として、次のPKを見るとまた面白いです。

●りょうのPKゴール!!!

りょうの待望のJ1初ゴール!!!おめでとうございます!!!

では、ここでの駆け引きを見てみましょうか。

順を追って書いて行くと、

  • りょうは、軸足を左向きに踏んでる。
  • 川崎GK:上福元は左に飛ぶ
  • りょうが蹴ったボールは正面の少し右に飛ぶ(ゴール)

と言う流れ。

りょうの軸足は、踏み込みが一瞬で分かり難いですが、若干、左向き・・という感じかな?というところ。そして、GK:上福元は、やっぱりキッカーの軸足の向きに反応している感じですよね。しっかりと、左に飛んでますもんね。

それに対して、りょうはインフロント気味にボールを当てて右側にシュート。見事に逆を突く形。このインフロント気味に当てるのも、相当、難しいように思いますね。

レオセアラと反対に腰を開くような形で、軸足の向きと反対に飛ぶようにボールをコントロールしてるイメージ。インフロントの当て方によっては、ミスキックにもなりそうで、これもレオセアラと同じく素人にはなかなかマネできない技術かと。

そんな難しいインフロントでも、あれだけの威力のあるボールが正確に飛ぶ。改めて、プロの技術は凄いな~と感じます。

雑感の最後の最後にですが・・・山村は髭を剃った方が良いと思いまいした。男目線でしか分からにですが、似合ってません?よね(苦笑)?まあ、山村にとっては踏んだり蹴ったり。お疲れ様な試合でしたね(苦笑)

あくまで想像ですw

そんな感じで、川崎のサッカーとPKの駆け引きメインで、雑感を書いてみました。

今回、珍しく1試合2PKと言う形でしたが、それぞれのキッカー:レオセアラ/りょう。共に、軸足の向きとは逆方向にボールを蹴っています。当然、軸足の向きと同じ方向に蹴るのは容易なので、同じモーションで2方向に蹴り分ける事が出来るんだろうな~と。

流石、ストライカー。形を持ってるな~

と思わされます(笑)

最後に書くのは恐縮ですが(苦笑)駆け引きの所は、あくまで僕が見た中での想像です。全然違ってたら、ごめんなさい(苦笑)

ただ、ヤットこと遠藤保仁が『PK職人』と言われてた通り、PKにも技術はあると思います。軸足と逆に蹴るのも技術だし、GKが軸足を見て素早い反応が出来るのも技術。そう言った部分も注目してみたいですね。

ちなみに、『軸足と逆方向に蹴る』の一番凄かったのが、ザックJAPAN時代、ブラジルW杯の最終予選で本戦出場を決めたオーストラリア戦の、

本田圭佑のPK

ですね。

覚えてる方も多いと思いますが、アディショナルタイムのPKを決めたヤツですね。引き分け以上で本戦出場が決まる試合で、0-1で負けてる中でのアディショナルタイムでのPK・・・というシチュエーションでした。

この時の本田は、軸足は右向き、腰の回りも完全に右向きに蹴っているのですが、アウトサイド気味にキックした為に右に飛ばず、中央にボールが行くという超高等テクニックを見せてくれました。

オーストラリアGK:シュワルツァーが、『中央に蹴ることもあるという情報はあったが、雰囲気に飲まれて横に飛んでしまった』というコメントをしてましたが、明らかに本田の軸足を含めたキックモーションに釣られた形でして。

あのシチュエーションで、あんなキックするんや!と、個人的に本田の技術の高さと肝の座り方に驚かされたシーンでした。

本当は、ここに動画を貼りたかったのですが・・・公式動画(テレ朝?)でアップされておらずでして。違法動画っぽいのしか上がってなく(苦笑)今回、ここに貼ることはしませんが、興味のある方は是非見て下さい!

毎度、マニアックな内容ですが、今回はPKメインでお届けしました(笑)そんな所で、少しお知らせを。

第5回 さがっそ大阪 開催予定!!(10月)

こちらは、4月以降の開催となります、

第5回 さがっそ大阪

を開催しようと思っております。10月予定です。諸々調整して、近々、日程を決定しようと思っております。その後、正式に告知しようと思います。

興味のある方は、是非、参加のご検討をお願い致します。ちなみに、前回レポートはこんな感じでした。

実は、この第4回大会に参加した甥っ子くんから、

さがっそ大阪は、次はいつやるのか?

と事ある毎に言われてまして(笑)気に入ってくれたみたいです。その期待に応えるべく?また、企画しようと思っております。

この企画を通し、皆さんと楽しい時間を過ごせたならな・・・と思っております。また、よろしくお願いします!

-2023, セレッソ
-