2022 セレッソ

【セレッソ】名古屋戦: 難攻不落の5-3ブロック

セレッソ 0-1 名古屋

2022.5.14 @豊田スタジアム

何もやらせてもらえず・・・な敗戦。

本当に何もやらせて貰えなかった印象が強く、それ故に感想も薄い試合で(苦笑)何を書こうか?悩んでますw

でも、まあ書いて行きますか。

試合内容・雑感

●先制点を許したのが全て

戦術的に煮詰まりまくってる昨今のサッカーで、よく言われるのが先制点の重要性というところ。結果的にですけど、この試合も、

先制点を許したのが全てを難しくした

印象ですね。

試合後にツイートしたのが以下です。

この先制を許したシーンが本当に端的で、鈴木徳真がマテウスにあっさりかわされてるんですよね。そこから前向きでボールを運ばれたら、マテウスなら何でもできちゃいますよね(苦笑)

本当にツイートした通りなんですが、マテウス、そしてレオシルバをまるで止められず。だから、有効なカウンターも発動せず・・・でしたかね。稲垣とか、試合のペースを落とすようなバックパスとかも地味に効いてた印象でした。

●2度のオフサイドで救われる

先制を許した後、2度ゴールを決められるも共にオフサイドで取り消しになるシーンがありました。

この2シーンについて、少し前の鳥栖戦のレビュー記事で書いたのですが、

個人的にセレッソの守備を見る際、

ヨニッチ、西尾がどれだけ動かされてるか?

を見てますが、この2シーンは思いっきり片方のCBが動かされてる形になってましたね(苦笑)2つ目のは、かなり前掛かりに行ってた時間帯だったので仕方のない所はありましたが、1つ目のは少し問題かな?と。

その1つ目のシーン、右サイドで陸と毎熊が相手を追い込んだものの、あっさり突破される形になりました。この時、毎熊の背後をオーバーラップした名古屋のCBに対して、毎熊は全くその動きを捉えられてないですかね。結果、局所で陸は2人を相手する形になってしまいました。

磐田戦?でも似たようなシーンがあったと思いますが、毎熊は自分の背後を突かれた際の対応が甘い気はしてます。毎熊、この辺、サイドハーフとしてまだ難しさを感じてそうかな?と感じました。ただ、まだまだ、伸び代という風に捉えてます(笑)

共に完璧に崩されたものの、オフサイド・ゴール取り消しがあったのはラッキーだと思いました。特に2度目の後、

この試合、まだチャンスあるかも?

と思ってましたが・・・

そう上手くは行かないですね(苦笑)

●地味に効いたのがタガートのゴール前フリーで詰め切れず

そして、地味に効いたのが、後半開始直後のタガートのゴール前フリーで詰め切れずのシーンでしたかね。

このシーン、褒めるべきはランゲラックで、パトリッキのクロスを触ってボールの軌道を変えた。タガートも、難しかったとは思います。決めて欲しかったですけど(苦笑)

そして、このシーン、この試合でセレッソが完璧に崩せたシーンでした。そして、これ以降、名古屋は基本的に前から来なくなった印象でした。それが、個人的には痛かったかな?この辺、後述しますが、前に出てこない名古屋程、厄介なものはなかったです。


そんな所で本題へ。セレッソに余りにも見る所が少なかったので(苦笑)今回は、名古屋視点で見てみましょうか。

試合後のツイッターのタイムラインで、ちょこちょこ拝見したのが、

終了間際、負けてるのに何で攻めへんのや!やる気あるのか!

という件でした。この辺について、個人的には、

名古屋が上手いな・・

という捉え方をしてました。

その辺を深掘りして行こうと思います。名古屋のブロックの組み方という所ですね。

崩れない5-3のブロック

この試合のセレッソが難しくなってしまったのは、名古屋のブロックの組み方という所だと思います。

名古屋のシステム的な所で言うと、3-5-2。

名古屋:基本陣形

3-3-2-2と言うべきなんですかね?要は、DF:3枚で、MF:5枚、FW:2枚と言う人数配分ですね。

そして、セレッソが苦しめられたのが、後ろのDF:3枚とMF:5枚の所ですね。名古屋の守備時のブロックがこんな感じでした。

名古屋:守備時のブロック

ウイングバックが、最終列まで下がるようなイメージでしたね。故に、DFーMFのブロックで見れば、5-3の形。

これが本当に硬かった(苦笑)

では、オフェンス側、つまりセレッソの攻撃陣はなぜ苦しかったか?という所。最近の流行?の5レーン理論なんかを持ち出してみます。

5レーン理論のレーン分け

サッカーをよく知られてる方にはおなじみの5レーン。以下のような絵を見た方も多いと思います。

5レーンイメージ

ここで、中村憲剛氏が5レーン理論をどう表現しているか?が分かり易いので、紹介します。

(4バックの場合)ディフェンスラインの隙間は5つある。そこにキレイに立つことで相手の守備のマーキングをずらす。ぴったりくっつかれている状態ではなく、全員が間に立つことで、相手ディフェンスのマークを絞らせない。(5レーンは)攻めやすくする、相手を守りにくくする。そのための分かりやすい言葉なのかなと思います

https://www.jleague.jp/news/article/19944/

言語化の上手い元選手の言葉は、分かり易いですね。

中村憲剛氏の言葉を借りると、4バック想定のその人の間という所。あくまで、『選手と選手の間』のことをレーンという表現になりますね。

レーン:選手と選手の間

(ただ、ここでは便宜上、最初に紹介した絵:フィールドを5分割するような形で説明したいと思います。)

5レーン理論は、これにプラスして、

  • 同レーンに近いポジションの選手は入らない。
  • 隣合っているレーンに入る選手は、それぞれ斜めにポジション取りをすることで三角形を作り易くする。

等の各チームのローカルルールが加わって、戦術として成り立たせているという個人的な理解です。もう少し深く言うと、

個々人のインスピレーションに任せてたコンビ―ネーションを体系的に整理した形

という所が言えるかな?と思います。あくまで、僕の理解ですけど。

当然、小菊セレッソもこの5レーンに乗っ取るような動きは見て取れます。そして、だからこそ、名古屋のブロックにハマったかな?という印象は見ていてありました。

その辺をもう少し。

5レーンに対する5-3ブロック

名古屋が敷いた5-3のブロックを、そのまま5レーンの絵に当てはめてみます。

5レーンに対する名古屋の守備陣形

この絵で一目瞭然だと思うんですが、5ー3の『5』の部分に注目すると、

各レーンに選手1人は立ってる

という形になります。だから、

セレッソの選手が使いたいレーンには、必ず名古屋の選手がいる

という形になってしまうんですね。

ただ、セレッソもこれでは終われないですよね。この形を取られた後、セレッソが狙いたいのはブロックの薄い所。ここで言うと、ウイングバックの前、3MFの脇のエリアですよね。

セレッソの狙い

ここに、セレッソの選手がボールを持って侵入すると、名古屋はウイングバックが前に出て対応。そして、3CBが少し横にスライドするような形を取ってました。

脇を狙われた名古屋の動き

こういう形になると、もうお手上げですよね。5レーンは5人のMFで埋められていて、且、そのレーン間(ボールサイド)も3CBにカバーに入られてしまう。

レーンとレーン間を人で埋められる。

この形、出来るだけ選手目線で名古屋のブロックを見ると、こんな感じになるのかと。

隙間ないですよね。ボールサイドの選手目線だと、パスを通せるエリアは見つけられないかな?故に、勝負パスを配給できない。試合の最終盤、攻め切れない感でイライラさせられたのは、

それだけ、名古屋のブロックに隙がなかった

という見方をしていました。

こうなると、セレッソに残された手は2つ。

  • ブロックの外からドリブルで切り崩す
  • 無理くり、中央に放り込む。

この2つの選択肢くらいかな?と。

でも、ブロックの外からドリブルで1人剥がしても、3CBのカバーリングに合うのは間違いなく。無理くりの中央放り込みですが、名古屋の3CB(丸山:184cm、藤井:187cm、中谷:182cm)に対して、セレッソのFW陣では高さ・強さ勝負で望み薄(ヨニッチを前線に上げても良かったかな?という思いはあります)。

結果、

ほぼ、手詰まりにさせられたな。

という感じになってしまったかな?と思います。フィジカルの強いブルーノがいれば、また違う展開があったかも?とも思いますが、大差なかったかな?とも感じます。

そんな感じで、どちらかと言うとセレッソが不甲斐ないというよりかは、相手を褒めるべき試合なのかも?とは思います。まあ、不甲斐なかったですけどね・・・(苦笑)

こういう展開に持っていかれない為に必要な事。

結果的に、名古屋にこういう手を使われたことが攻めきれなかった、強いてはこの試合の大きなポイントとなったとは思います。

レーンを人で埋められても、縦方向で揺さぶりをかける方法もあると思いますが、縦方向で揺さぶりをかけるのであれば、相手が前に出てきてくれないと意味がない。それなのに先制を許すと、相手は前に出る必要が無くなりますよね。そうなると、縦方向の揺さぶる手段も使えなくなってしまう。

そして、この展開を生んだのは間違いなく、先制点を許したこと。だから、冒頭でも書いた通り、

先制点を許したのが全てを難しくした

という所になると思います。

そして、もう1つ言えるのが、チャンスで決めきる事ですね。当たり前ですけど(苦笑)

タガートのゴール前詰め切れずのシーン、あの時、名古屋はまだ前に出てきてくれてたのですよね。だから、上手く外せたシーンでもありました。あそこで、決めきれなかったので、

前に出ると危ない

と名古屋に警戒心を植え付けただけになってしまったかな?という印象もあります。そこから、前に出てきてくれなくなった。そういう意味でも、決め切りたかったシーンでしたかね。

5-3ブロック

この試合の名古屋を見てて懐かしく思ったのが、都倉が退場した上で勝ち切った2020年のアウェイ神戸戦。

この試合、スタートは4-4-2、都倉退場後は3-5-1という布陣をセレッソは取ってました。少し名古屋とやり方は違う印象でしたが、レーンを人で埋める、レーン間を後ろの3CBのスライドでカバーするという考え方は、今回の名古屋と全く同じ考え方。

この時も、曜一朗の虎の子の一点を守り切った試合でしたが、神戸の出す手出す手を全て防いでいった見事な戦い方でした。今の5レーンが主流のサッカーに対して、横に5枚並べる布陣は、守備面だけ見ると強いと感じますね。

もう少し言えば、4-5-1。全てのレーンに人を立たせて、全てのレーン間でもDFラインで人がカバーできるシステムなので、守備だけ見ればほぼ穴がない。2010年:南アフリカW杯の岡田ジャパンがこんな感じでしたよね。

ただ、南アの代表もそうでしたが、攻撃面を見るとやはり物足りなくなる印象。今回の名古屋のように、リードを奪ってからの戦術であれば、より効果を発揮するなと感じます。そのバランスというか、状況に合わせた判断は必要かと思います。

普段、あまりシステム論とかを語る口ではないですが、たまにそういう視点で見るのも面白いですね。そんな感じで、塩試合ともいえる試合も、視点によっては楽しめるかな?と思います。

・・・はあ、でも、負け試合はやはりキツい(苦笑)

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