セレッソ 0-1 ガンバ
2024.5.6@パナソニックスタジアム吹田
失ったものが大きい、手痛い敗戦。
色々とショッキングですよね・・・(苦笑)ダービーの敗戦に、キーパーソン2人の負傷に。
振り返るのも気がのらないですけど、さらっと触れておきます(苦笑)
試合内容・雑感
●清武のベンチ入り
この試合のメンバーで言うと、清武の復帰。結果的に暗い話題しかないこの試合で、数少ない良いトピックという事になりますかね。
個人的に面白いなと思ったのは、両チームの下部組織出身がそれぞれ相対するチームに所属していることですかね。セレッソは田中駿汰、奥田、ガンバは一森、岸本と。
長いことサッカーを見てますけど、この辺、シームレスになってるなと感じますよね。
●序盤:セレッソ攻勢
試合開始直後は、セレッソ攻勢。とても良かったですよね。
DFライン3人からノボリ/田中駿汰まで、しっかりとボールを供給できていたので『どうとでもしたるわ!』状態にあったのですが、得点は奪えず。ガンバDF陣に要所を締められてたな・・と思います。
でもって、余裕を持ってボールを回せていた所に思わぬミス。
(24:29~)、ジンヒョンの2セーブで事無きを得たシーンでしたが、自陣PA内で細かくパス交換。ノボリ→翔→ジンヒョン→田中駿汰とパスを回した後に、田中駿汰の所でボールを奪われる。
翔の判断が遅かった所で、ハマったような所はあったかな?という印象でした。ジンヒョンにパスが出た時点で、相手に狙い撃ちされるような形になっていて。ジンヒョンも、大きくクリアで良かったようにも思いますが。
かなりヒヤッとしたシーンでした。そして、その嫌な流れが伝搬し、失点シーンに繋がったように思います。
●失点
もう、本当にミスだけ・・と言う感じでしたかね(苦笑)語るに値しないというか。
以前もブログで書いたのですが、
ミスはミスでしかなく、何も生まない。
と思っています。ミスをして状況が好転することはない。だから、何も生まれない。
逆に言えば、『ミスはミスでしかなく、何も生まれない』ので、
ミスした選手のマイナス評価も生まれない
と思っています。このミスで、毎熊や鳥海の評価も下がらないですよね(何度も同じミスをすれば、流石にマイナス評価にはなりますけどw)。
こういう思想を持っているので、
しゃーない、しゃなーない。切り替え、切り替え!
と言う感じでしたが・・・
予期せぬトラブルにて、事態は好転せず・・・と言う感じになってしまいました。
●毎熊/ノボリの負傷交代
この試合、負けたということよりもショックなのが、この2人の負傷交代ですかね(苦笑)
攻守の要:毎熊と、ビルドアップの要:ノボリと。その両方を失うと、やはり相当きつかったですね。軽傷であることを願うしかないのですけど・・・
ここから、セレッソは大きく勇気を失ったように感じましたね。そこはちょっと残念なところだったかな?と。
●清武の復帰+ブエノ+柴山とのコンビ
この試合で数少ない話題と言えば、清武の復帰という所でしょうか。間、間でボールを受けて、リズムを作る姿勢は健在だったなと。
ただ、清武はインサイドハーフでの起用と言う感じでしたが、同じインサイドハーフに入ったブエノとのコンビは少しゲームの状況と合ってなかった感じでしたかね。
2人共、ボールを触ってリズムを作ろうとするので、ボールを貰う為に相手ブロックの外に出ようとする。インサイドハーフが2人とも下がってしまうので、結果、レオセアラが1人孤立してしまうような感じでしたね(苦笑)
それでも2本程、清武が外から中に入ってきてチャンスを演出したのは流石。ブエノにも、こういう動きが欲しかったですかね。
また、柴山も基本的に右WGと言う感じでしたが、この清武、ブエノの2人が相手ブロックの外に出るなら、柴山が中に入ってレオセアラのサポートをして欲しかったというのもありますかね。恐らく、スクランブルという所のメンツだったと思いますが、チグハグ感があったように思います。。
そんな感じで、敗戦。清武の復帰、奥田の経験値UPくらいしか良い所のなかった試合だったかな(苦笑)?
ここから本題に入りますが、さらっと行きます(苦笑)
この試合の特に後半は、改めて、
サッカーはメンタルのスポーツだな
と感じておりました。こんなにも強く感じた試合は、ここ最近でも少なくなっていましたが。
その辺のお話をして行こうかと思います。
『パスが通り易い位置』と『パスが通り難い位置』の違い
この試合、特に後半の出来を見てて感じていたことは、
勇気が足りてないな・・・
という所ですかね。
この辺、WGの細かい立ち位置で説明をしますと、以前にも書いた記事ですが、
この記事からの引用で、
ウイングの立ち位置で、Aか、Bか?どちらが相手を悩ませるポジションか?
という質問をしました。図示はこんな感じのもの。
この問いに対して、Aは、
A:シュートを狙えるから、相手は困る
という所を書きました。下のような図ですね。そこでボールを受けられたら、相手も動かす事が出来るエリアで。
逆にBは、
B:シュートコースが見えないから、相手はさほど困らない
というところを書きました。
1vs1なら必ず相手を抜けるカピシャーバのようなスペシャルな選手であれば、Bで受けても問題ないですが、そうでない選手であれば、
Bで受けても次の展開に繋がる可能性が低い
と言う印象があります。
また、上の例を別の視点で。
Aに立つ時は相手は困ると言えると思いますが、パスの出し手からすると、
A:パスが通し難い位置
とも言えるんですよね。味方選手が高くなればなるほど、パスコースが相手に近付き、パスカットされるリスクが上がる為です。
逆にBは、パスの出し手からすれば、
B:パスを通し易い位置
と言えますよね。
A/Bを総合して書くと、
A:パスは通り難いが、相手は困る。
B:パスは通り易いが、相手は困らない。
ということ。
では、得点を取りたい時はどちらを選択した方が良いか?というのは、一目瞭然でAですよね。
『虎穴に入らずんば虎子を得ず』という言葉そのままですが、
安全なパスをどれだけ繋いでも、相手は困らない
んですよね。
結論を言うと、この試合のセレッソの選手(特に後半)は、
Bのような【相手が困らない位置】でボールを受けようとする選手が多かった
印象でしたね。
ここでは左サイドの例を出しましたが、それに限らず、多くの場面で安牌なパスに終始する形になってたかな?と思います。後半の停滞感はこのような所だと感じてました。
ただ、前半の最初の方は、しっかりとそういう位置を取れてたのですよね。また、そこにパスを通せていて、だから、ゲームを支配できていたという側面はあると思います。この時の出来からして、
選手の技術の問題ではない
んだと思います。
では、何故できなくなってしまったか?というと、
前半の2つのミスと、毎熊/ノボリの負傷
という所の影響が大きかったんではないかな?と。
2つのミスとトラブルをきっかけに、
選手みんな、味方選手のフォローをする動きを取るようになってしまった
と言う印象が強くなってました。
パスを引っ掛けられて失点した。だから、安全に行く。また、強気にポジションを取りに行くようなノボリや毎熊が居なくなってしまった。
その結果、多くの選手が、
無意識に【パスが通り易い位置】にポジション取りするようになった
と言う風に見えてました。でも、それは上の例で言えば、
B:パスは通り易いが、相手は困らない。
ということになりますよね。相手は困らないから、状況に進展はない。
こうなると、チームも停滞してしまいます。要は、選手の気持ち、考え方・・・つまりは、メンタルという所になってくるのかな?と思います。
メンタルのスポーツ
この辺、非常に難しくて繊細なところだな?と感じます。何と言いますか、
【勇気】と【無謀】/【慎重】と【臆病】は紙一重だ
みたいなことば言えるかな?という気がします。
慎重に行こう!は一つ間違えれば『臆病』になるし、勇気を持って行こう!は時に『無謀』になる。このバランス感覚。でも、今回のセレッソは、
勇気が足りてないな・・・
と、あくまで個人的にですが感じた次第でした。
この結果を受けて戦術論に走る人も居ると思うのですけど、その戦術を構成するのも選手のプレー。なので、
選手のメンタルが安全思考に偏り、それに引っ張られたプレーをしてしまうと、チーム戦術も安全思考に偏る
という事になりますよね。
あくまで主観ですが、昨今の戦術は、ベースとして
パスを通し難い所を立ち位置としている
ように感じてます。パスを通す難易度が高いから、戦術で得られる成果が大きくなる・・・と。
ただ、それが出来る技術を選手が持っていたとしても、メンタル的に臆病になってしまうと、そのパスが通らなくなるのも想像は付きやすいですよね。それは即ち、戦術の精度が下がることを意味します。パスを通せなくなることで、戦術が成立しなくなる。
上の例のA/Bは、1~2m程度の差であるような個人的な感覚です。たった、1ー2歩の差。なので、
選手にその1歩を踏み込む勇気があるかどうか?で戦術の精度も変わる
という印象です。なので、戦術の良し悪しを語るにも、
戦術を構成する選手が、『臆病』でも『無謀』でもないバランスの取れたメンタル状態かどうか?
が重要になってくるのではないかな?と思います。
今回の試合を一言で言えば、多くの選手が動揺して臆病になってしまった・・・というところなのかな?と。それがダービーとも言えるとは思いますが、ミスも含めてトラブルが多過ぎた・・・という印象も強いです。
新風に期待
ちょうど、この試合の前のインタビューか雑誌記事で、
真司くんはミスをしたとしても、次の瞬間には何事もなかったようにプレーをしている。そのメンタルが凄い。
毎熊かノボリが言っていたと記憶しています。
重要なのは、この真司のようなメンタルだと思わされますよね。抽象的な言い回しになりますが、こういうメンタルの持ち主がどんな状況でも常に安定したプレーを行える。この試合を通じて、本当、
サッカーはメンタルのスポーツだな
と強く感じた次第です。
この試合を受けて、ここ4試合で2分2敗。そこそこ良いスタートダッシュをしたものの、そこから次に繋げることが出来てない・・・と言う形になってしまいましたね(苦笑)
毎熊、ノボリの負傷がどの程度のものか?はまだ分からないですが、2人の負傷によって強制的にチームに変化を付けないといけなくなるところは出てきます。
逆に言えば、ここで新しい選手が関わってくることになるというのは、逆に言えば、新風が吹く可能性もあるかな?と思います。
毎熊・ノボリの負傷は『ピンチ』ですが、『ピンチはチャンス』と言えるようなメンタルを持つ選手の出現に期待したい所です。