2021年11月4日、元セレッソ監督にしてセレサポに絶大な人気を誇るロティーナさんが、清水エスパルスを解任されましたね。
結果を出せないと、優秀な監督ですら解任されてしまう。サッカー界でよく知った事とはいえ、やはり色々思う所はあります。取り分け、セレッソに貢献してくれた監督として(個人的にはクルピも・・・ですが)、シーズン途中での解任という結果は大いに寂しいものを感じます。
僕は主にTwitterから皆さんのコメントとかを見るのですが、清水の監督を解任された理由を検証している方も多いです。多くを拝見しましたが、僕自身も思考を整理しようと思い、現在、このブログ記事を書いてます。
この記事のキーとなる所は、ロティーナがセレッソを退任となった時に個人的に立てた、
セレッソ退任理由の仮説
がベースとなります。良ければご参考ください。
セレッソ退任時の僕の立ち位置
2020年11月に、ロティーナのセレッソ退任は発表されました。当時、セレッソのフロントは、セレサポさんの多くから反発を食らっていたと記憶してます。今もそうですかね(苦笑)?
ただ、個人的なロティーナ退任時に、以前のブログの以下の記事で書いたのですが、
ロティーナの退任は、
消極的反対
と言う立場でした。理由は上の記事でも書いてますが、アグレッシブさが足りない。それでも、勝てているから退任しろ!とまでは思わない・・・という感じでした。
ただ、消極的という時点で、フロントがロティーナを選ばなかった理由も理解できるところはある・・・という所は間違いのない所です。その度合いにすると、セレッソのロティーナ退任は、
反対:65% 賛成:35%
位な印象ですね。これ故の消極的反対。ただ、退任賛成も35%はあったというところ。
そして、以降でブログのタイトルの『セレッソ退任理由の仮説』の内容を書いて行くのですが、
ロティーナ退任賛成の35%
の所だと理解してくれれば幸いです。
ロティーナ退任理由の仮説
これも、少し前に書いた記事ですが、
セレッソ・フロントがロティーナ退任を選んだ理由として、
リーグ前半の勝ち点:39
リーグ後半の勝ち点:21
(共に17試合)
リーグ後半にマークされて失速したから。
としました。あくまで、ロティーナが残した結果・数字から、僕が推測した理由です。
ただ、詳細を省いた所がありました。それが、
リーグ後半で失速した理由は?
マークされたから・・・とは書いたのですが、その辺をもう少し詳細に書こうかと思っていました。が、この記事があまりにも冗長化した文章になってしまい(苦笑)、省略した・・・という所です。
今回、その省略した内容を改めて書いて行こうと思います。そこの内容が、『ロティーナ退任理由の仮説』という所になります。
ロティーナのセレッソ退任理由の仮説
ロティーナ退任の時に、立てた個人的な仮説は以下の通りです。
ロティーナのサッカーは、現在の『Jリーグの主流のサッカー』とミスマッチなんでは?
と言う所です。
詳しくは、順を追って説明します。まず、ロティーナのサッカーについて。
ロティーナのサッカー
ロティーナのサッカーの多くを語る所もないかな?と思います。セレッソで見ていたサッカーをざっと挙げると、以下のような感じ。
- まず、守備を安定させること。
- そこから、丁寧に繋いでボールを前に運ぶこと。
- 無理なチャレンジはせず確実に攻めること。
こう理解しています。
それら1つ1つがロジカルに整理されていて、そのロジカルさがロティーナ・サッカーの醍醐味ではありました。そのベースとなっていたのは、まずは『守備を安定させる事』。
そして、注目したいのが次の2項目、3項目、
・丁寧に繋いでボールを前に運ぶこと。
・無理なチャレンジはせず確実に攻めること。
ここが、今回の記事の1つの要点です。
事細かに書けば色々とありますが、今回は『木を見るより森を見るイメージ』で語りますので、ここはこの辺で。次は、Jリーグの主流のサッカーを書いて行こうと思います。
Jリーグ主流のサッカー
個人的に考える現在のJリーグの主流のサッカーは、リーグ優勝した川崎フロンターレ、あるいは横浜Fマリノスと言った所です。また、浦和や今季前半に活躍した鳥栖なんかも、イメージできるところではあるのではないかな?
この辺のチームが見せるサッカーは、そのやり方や精度に違いはあるものの、以下のようなイメージです。
- まずは、人数をかけて攻め切る。
- ボールを失えば、攻めにかけた人数で即時奪回。
- 即時奪回が無理なら、引いてブロックを組む。
ここ、ロティーナのサッカーとは反対で『まずは、攻め切る』ありきなんですよね。
これが僕がイメージしてるJリーグ主流のサッカーです。そして、ここも注目は2項目、3項目の、
・ボールを失えば、攻めにかけた人数で即時奪回。
・即時奪回が無理なら、引いてブロックを組む。
という所。
では、この2つのサッカーが戦うとどうなるか?
ロティーナ・サッカー vs J主流サッカー
まず、『J主流サッカー』がボールを持っていたとします。ここで参考は、以前のブログで鳥栖戦のレビューで書いた『鳥栖のハーフタイム時点での平均ポジション』です。
これを『J主流サッカー』のボール保持時の布陣として見ると、攻撃陣はワイドに広く取り6人で攻め、守備側は4人で中央を固める感じですよね。
これに対して、『ロティーナ・サッカー』も堅守は維持。失点は許さず、ボールを奪い返します。そして、『ロティーナ・サッカー』はその2項目、
そこから、丁寧に繋いでボールを前に運ぶこと。
という所に推移しようとします。所謂、ビルドアップですね。
これに対する『J主流サッカー』も2項目、
ボールを失えば、攻めにかけた人数で即時奪回。
攻めにかけた人数は、ここでは6人です。6人で、前線のハイプレスを開始します。
『ロティーナ・サッカー』 は、ここではセレッソ時代をイメージすると、DFラインは4バック基本。GKも交えたとしても、最終ラインでビルドアップに参加するのは5人。相手は6人。ロティーナ・サッカーのボランチの立ち位置次第な所はありますが、
DFライン付近でボールを保持してるのに、時間的・人数的な余裕を持たせてくれないな・・・
という所になってしまうんですね。即位奪回の目的そのままですよね。
ロティーナ・サッカーの特徴『丁寧にボールを繋ごうとする』は、状況にもよりますが即時奪回の標的になり易く、多人数によるハイプレスの餌食にもなり得る所はあると思います。
仮に『ロティーナ・サッカー』がそこをうまく切り抜け、逆サイドにボールを振って 『J主流サッカー』 のプレスを開放できたとして、次に『J主流サッカー』 は3項目、
即時奪回が無理なら、引いてブロックを組む。
という所になります。
対して『ロティーナ・サッカー』 の3項目は、
無理なチャレンジはせず確実に攻めること。
無理をしないんですよね。故に、『J主流サッカー』はブロックを組めてしまう。ブロックを組んでしまうと、『ロティーナ・サッカー』 程ではないにしろ、守備は強固になるので得点を奪うのが難しくなりますよね。
このような形で、相手を置いて考えると、『ロティーナ・サッカー』は『J主流サッカー』に対しては、
ミスマッチだな・・・
と、いつしか個人的には感じるようになりました。
ロティーナの『自信』とJ主流の『行儀の悪さ』
ここまで書いてくると、ロティーナ・サッカーが劣るように見えるかも知れませんが、そうでもありません。ロティーナ自身、僕みたいな素人が思いつくような事は想定済みだと思います。
相手の即時奪回のハイプレスをかわす位の準備はある・・・当然ながら、ロティーナも『自信』を持ってるところだと思います。
ただ、即時奪回のハイプレスをかわすのに厄介なのが、
J主流の行儀の悪さ
という所になります。即時奪回を狙うチームは、前線のハイプレスがかなり厳しく、
ファールで止める事もいとわない
という側面があるんですよね。
以前から、ブログを読んで頂いている方の中にはご存じの方も居られるかもしれませんが、僕はこの思考が大嫌いで(苦笑)
ファールで、試合がブチブチ切れるんですよね(苦笑)アクチュアルプレーイング・タイム、10年位前は『60分位、確保しましょう!』というような流れがあったと記憶してますが、現在のJリーグは50分台前半が平均なんではないですかね?40分台、つまり試合時間の半分が止まってることもザラにあったりします。
・・・少し話が脱線しましたが(苦笑)
ロティーナ・サッカーがビルドアップ時に、J主流のハイプレスを良い立ち位置・パスワークで掻い潜ろうとするも、
ファールで止められてしまう
ということが往々にしてあるのだと思います。そして、そのファールで試合が止まってる間に、J主流はブロックを組んでしまう。結果、ロティーナ・サッカーの攻撃は手詰まりに。セレッソでも、特に失速した2020年のリーグ後半戦はよく見かけた形ですよね。
つまり、ロティーナは、
J主流の行儀の悪いハイプレス
が想定に入ってないのではないかな?という気がしてます。まあ、考えてみれば、ファールを考慮しないのなんかは当たり前とは思うのですがね(苦笑)ただ、今のJリーグの主流を見てると、そこ抜きでは語れない位、『行儀の悪いハイプレス』が横行してしまってるのが個人的な印象です。
ロティーナのチームは、非常にクリーンなチームです。ここで言うクリーンというのは、イエロー・レッドの枚数ではなくて、『ファール数の少なさ』という視点です。セレッソ時代でもそうでしたし、数字でも残ってますが、清水でもそうだったようです。
ただ、こういうチームは、逆にJ主流の『行儀の悪いハイプレス』に食われるイメージはあります。故に、ロティーナ・サッカーは、
ミスマッチが出る
そんなイメージを持ってます。
行儀の悪いハイプレスを回避するのに必要なモノ
ここまで①~④までが、セレッソで見ていた範囲での仮説です。
では、セレッソ以外のチームではどうなの?という所。ここでは、川崎フロンターレに登場してもらいます。
川崎フロンターレは、この行儀の悪いハイプレスをどう回避してるのだろう?
という所が次の疑問でした。
特に知りたかったのが、ゴールキックからのビルドアップ時。セレッソ時代のロティーナ・サッカーは、ゴールキックから丁寧に繋ごうとすると、すぐに5人6人とハイプレスに来られて苦しくなるシーンを散見してました。
相手からすると、ファール覚悟でプレスに行って、ファールがなければ儲けもの。ファールを取られても、後ろに下がってブロックを組む時間が作れってしまえるから損はない。いわば、ローリスク・ハイリターンな戦術。そんな戦術に対して、川崎はどう対応してるのか?という所を見たかったのです。
そして、川崎の試合を数試合、掻い摘んで見たのですが・・・・川崎のゴールキック時、
どこのチームも、ほとんどハイプレスに行けへんやん!
見た試合数が少ないので確実とは言えませんが、相手チームがハイプレスに行く姿勢は、セレッソの時と比べてかなり弱かった印象でした。
これは一体、何故なんだろう?僕の中で、新たな疑問(笑)
川崎の選手の技術の高さは折り紙付き。プレスに行っても、かわされるだけ。それ故?とも考えましたが、セレッソの選手も技術は高いですよね。そこは、理由になり難いかな?と考えます。
色々と考えて、そこから最後に行きついたのがロティーナ・サッカーの特徴3項目、
無理なチャレンジはせず確実に攻めること
これではないかな?と。
これは、ほぼほぼイコールで結べることだと思うのですが、
縦に速い攻撃がない
という所に行きつくのではないかな?と。
縦に速い攻撃が手の内にあれば、相手は5-6人もハイプレスに行き辛いですよね。後ろが薄くなったところを、縦に速く攻められるとピンチになるのは自明。ただ、
ロティーナ・サッカーは縦に速い攻撃がない。
J主流がこれを分かっていれば、ハイプレスに人数をかけ易いですよね。
例えハイプレスをかわされても、ファールで止めてしまえばブロックを組む時間は作れる。また、ロティーナ・サッカーは無理なチャレンジしてこないので、その時間も作り易い。
対して、川崎は縦に速い攻撃は恐らくは持ってますよね。だから、ハイプレスにも行き難い。そういう意味で、
縦に速い攻撃が、行儀の悪いハイプレスの抑止力になってる
という所がいえるのかな?と思います。
これは余談ですが、だいぶ上でも書きましたが、これら故にロティーナ・セレッソに『アグレッシブさが欲しい』と考えてました。そうすれば、相手は下がる事を選択肢として出てくるはずですのでね。ここが、ロティーナ退任賛成35%の部分という所でした。
また、この考えがあったので、クルピ体制時のサッカーで『縦に速い攻撃』を標榜したのも、個人的に頷けるところではありました。結果的に、奧埜が評した『縦に速い“だけの”攻撃』になってしまいましたが(苦笑)
仮説のまとめ
長々と書いてきました(苦笑)一旦、仮説のまとめを書きます。
ロティーナ・サッカーは、J主流のサッカーに対して、
- 丁寧に繋ごうとするも、行儀の悪いハイプレスの餌食になる。
- 行儀の悪いハイプレスの抑止力『縦に速い攻撃』がない。
ということが個人的に整理できました。
故に、
ロティーナのサッカーは、現在の『Jリーグの主流のサッカー』とミスマッチなんでは?
という仮説を立てるようになりました。
この仮説が正しいと考えると、ロティーナ・サッカーは現在のJリーグにおいて、
ロジック的に手詰まりで、かなり苦しい展開が多くなるだろうな?
という所は感じてました。
そこに、ロティーナ・サッカーの優劣は関係せず、一言でいうと、ただただ『相性が悪い』ということですね。
ロティーナ・清水はどうだったのだろう?
清水のロティーナ退任が発表された後、何故かジンヒョンと権田のフィード能力が比較されて、凄いジンヒョンが持ち上がって権田が叩かれてるのを見かけました(苦笑)個人的には、権田もジンヒョンに劣らず良い選手だと思っています。故に、権田が叩かれるのが不思議に思っていたりします。
まあ、セレサポからすると、ジンヒョン > 権田 ということは信じてますが(笑)でも、厳密に比較するのは難しいですよね。
でもって2020年のロティーナ・セレッソも、そんなジンヒョンが居ても、リーグ後半戦は17試合で勝ち点21しか取れてません。これを1シーズンで考えると、勝ち点42。残留争いペースですよね。そう考えると、ロティーナ清水の不調は、権田単体ではなくてロティーナがセレッソ時代から変わらず厳しくマークされ続けてた・・・と考えるのが筋だと思います。
ロティーナ・清水を2試合位しか見てないので分からないですが、ロティーナもセレッソ時代からやり方を変えてる・・・と考えてました。清水と神戸の試合ですが、
この清水の権田(権田の状況判断の速さが凄いですよね)起点の凄いカウンターを決めたのをハイライトで見て、
おー、縦に速い攻撃やってるやん!
と思ってたからです。
でも、実際は、2020年セレッソのリーグ後半と同じような感じやったのかも知れないですね。
- 丁寧に繋ごうとするも、行儀の悪いハイプレスの餌食になる。
- 行儀の悪いハイプレスの抑止力『縦に速い攻撃』がない。
ロティーナ・清水も上の仮説にそって、現在のJリーグの主流に合わなかったのではないかな?というのが個人的な考え。そう考えると、個人的には今年の清水の成績も納得です。
清水サポさんがこの記事を読むかどうか?は分かりませんが、理由の落し所としては1選手を叩くよりかは健全ではないかな?と感じます。まあ、清水を常に追っかけてた訳ではないので何とも言えません。
実は、権田が本当にめちゃめちゃ酷かったのかも知れませんが(苦笑)まあ、上の動画を見る限り能力の低さは個人的に感じないし、また、Jで酷ければ、日本代表にも選ばれないとも思いますが。
あくまで、ロティーナ・サッカーが今のJリーグの主流のサッカーと相性が悪かった。そういう所の落し所。
取り違えて欲しくないのが、
ロティーナ・サッカーは紛れもなく面白いサッカー
だと言いう事です。それは、プロ・アマ問わず多くのサッカー論者が語っている事で、そこは間違いはないと感じます。ただ、前述『相性が悪かった』と同義になりますが、
それで勝ちきれるかどうか?はまた別問題
という所なんでしょうね。
それが、相手が居るサッカーの面白い所ですかね。
ロティーナ・清水を考え、ロティーナ・セレッソを思い出し、長々と文章を書いてきてしまいました。ロティーナ、次はどうなるんでしょうかね?個人的には、違うJリーグチームで、また違ったやり方のロティーナを見てみたいですね。