セレッソ 0-1 広島
2023.4.29 @ヨドコウ桜スタジアム
敗戦。。。
『2度あることは3度ある』ならぬ『4度あることは5度ある』となってしまいました(苦笑)
負け試合を振り返るのは辛いですが、、、振り返りますかね。ほぼ、雑感がメインです(苦笑)
試合内容・雑感。
●強い相手がリスペクトを持って臨んできた
以下はハーフタイムにツイートしたのですが、
強い相手に、凄いリスペクトを受けての試合と言う感じ。隙を作らせてくれない。ボール保持時、人に付かれる分、立ち位置の優位性は得にくい。人の優位性と言う所も、フィジカル差で難しい。どう打開すべきかね。
— 土塔えんじ🌸オタク系セレサポ (@dotou_eng_crz) April 29, 2023
レオセアラ、毎熊の強さがまだ前線で起点を作れそうかな?期待したいです。
試合を通じて、この通りだったと思います。
セレッソに対して、大きな『リスペクト』を持って臨んできた
という所を大きく感じてました。
広島の強さは、恐らくはJリーグの中でも一番、セレッソが知っている所だと思います。そんな強い相手が、徹底してセレッソの弱点を付いてきた印象はありました。そうなると、やはり中々上手くはサッカーをさせてもらえない・・・と言う感じでしたか。
ただ、逆の視点で見てみれば、
広島も、それだけセレッソを警戒していた
と言う風に、僕は捉えていたのですね。
話が前後しますが、ゴールを決めたドウグラス ヴィエイラ。ゴール後に、ペットボトル放り投げて、コーナーフラッグをぶっ壊して(苦笑)あれだけ狂喜乱舞するのは、それだけこの一戦に懸けてた裏返しでもあるのかと思います。普段の試合では、なかなかあそこまでにはならない。
それだけ、広島から認められていたのだなとも思っています。対戦成績的に『ライバル』と表現するのはおこがましいかも知れないですが、非常に嬉しいことでもあるなと感じてはおりました。
●為田の2本
決めて欲しかったな(苦笑)特に2本目、何故、シュートを打たない(苦笑)
まあ、判断が早過ぎた感じですね。GKが為田に引き寄せられる前にパスを出してしまって、GKが間に合ってしまった。これが決まってれば、また違った展開になってたとは思うのですが。
●決勝ゴールを許す
決勝ゴールのシーン、この時、右サイドの陸と中原のコンビがおかしい感じでしたね。
ヨニッチの跳ね返しを、奧埜が競り負け(ここ、ファールちゃうん?とは思いましたけど)。そのこぼれ球に対して、中原は止まり、陸が前にプレスに行ってるんですね。結果、右サイド奥がすっぽりと空いてしまって、ヨニッチが釣り出されてしまった。
陸が待つべきなのか、中原がプレスに行くべきだったのか。この辺、
- 中原が試合に入り切れていない
- その上で陸の勝ちたい思いが前に出過ぎた
と言う印象は強く感じましたね。個人的に、中原の試合の入り方が気になりましたね。
かなりハイテンションな試合だったので、途中で入る選手はそれに合ったテンションまで、事前に上げとかんとアカンよね・・とは思います。2000年初頭のスーパーサブ:真中靖夫は、心拍数を爆上げしてから途中交代で入っていたとのこと。
こう言う所、見直して欲しいですね。
最後に、とりあえず、セレッソはサンフレッチェにコーナーフラッグ代の請求はしときましょうw
●広島の基本的な所の拘り
広島の強さ・・・と言う程の事ではないのですが、このゴール後に、広島の強さを象徴するシーンがあったのを書いておこうと思います。
(94:45)~ です。
このシーン、広島の森島がスルーパスを出した後、陸と揉み合って2人がコケて森島のファールを取られたのですが、その後・・・ですね。倒れた森島は、直ぐに切り替えて、ボールをセットしたジンヒョンの前に立ってリスタートを邪魔したんです。ジンヒョンが森島を突き飛ばしたので、覚えてる方も多いのではないですかね?
この意図はサッカー観戦をしてる方なら分かると思いますが、
セレッソのクイックスタートを防ぐこと
です。そして、このシーンだけでなく試合を通じて、あの手この手を使って、
広島は徹底的にセレッソのクイックを防いでた
というのはあったと思います。
後述しますが、広島とセレッソのフィジカル差は歴然としたものがありました。だから、引いてブロックを作る時間を作れれば、跳ね返せる自信はある。
だから、その時間を作ることができないセレッソのクイックを絶対に防ぐ。本当に細かい所ですが、ここが徹底されてた印象でしたね。
西川きよしさんではないですが、『小さなことからコツコツと』。サッカーにおいても、重要な事かと思います。
ほぼ、雑感になってしまいましたが(苦笑)そんな所で、本題へ。
強いとはいえ、余りにも相性が悪い広島。あくまで主観ですが、その辺の要因を書いて行こうと思います。
『高さ』は正義:CKの場合
この試合、広島のCKが10個もありました。そして、その内の3-4本は競り負けてしまって。さらにその内の1本(9:00ベンカリファ)は、あわや!!みたいな所まで持っていかれて(ジンヒョンのスーパーセーブ)。
この試合のCKのシーンが典型的だとは思うのですが、圧倒的に、
身長差があった
という所は言えます。セレッソと広島のスタメンのフィールドプレーヤーの平均身長で言うと、
- セレッソ:176.4cm
- 広島:179.4cm
と、ちょうど3cm差。たかが3cm、されど3cm。この差は大きいと思いますね。
平均身長もそうですが、その内訳も。どちらかと言うと背の高くない175cm以下の選手で言うと、
- セレッソ 6人(山中、陸、奥埜、真司、原川、為田)
- 広島 2人(満田、森島)
と、数に圧倒的な差があります。こういう状況なんで、至る所で
『高さ』でミスマッチが起こってる
というのは見て取れてました。
広島のCKの時、キッカーの蹴ってたボールを見ましたか?
全てアウトスイングのボールだった
んですね。
セレッソのCKの守備は、ゾーンとマンマークの併用。ゾーンは高身長組の4人で、ゴール前に張る感じです。ニアサイドから、レオセアラ(178cm)、ヨニッチ(187cm)、鳥海(182cm)、毎熊(179)。広島のアウトスイングのボールは、その4人のゾーンから外れて行くボールになります。
このゾーンを守る4人を外されたら・・・セレッソの守る選手は、上で挙げた6人の175cm以下の選手になります。
身長が低くとも『マンマークで十分な体勢でヘディングさせない』という狙いも十分に理解できますが、さすがに限界はありますよね。ここは、大きくミスマッチがあったなと思う所です。
(逆にこういう所ですよね。広島が、めっちゃセレッソを研究してきてるなと感じさせられた所は。)
振り返れば、昨年のルヴァン決勝の2失点も、CKからの失点(1失点は鳥海のハンドによるPKですが、その時もCK)。広島の『高さ』という所に屈してる所はあるかな?と思います。
(逆に言うと、この試合でもし勝ってれば、ヒーローはヨニッチだったと思います。唯一、高さで完勝してたのがヨニッチで、ことごとく跳ね返してくれてましたよね。)
そして・・・広島の『高さ』の優位性は、これだけではありません。通常の地上戦でも、その威力があります。
『高さ』は正義:地上戦の場合
ちょうど、ハイライトに収められた試合時間(17:05)からのシーンが象徴的でしたかね。ちょうど、手を踏まれた為田が戻ってきた直後くらいのシーンです。
この時の流れを書くと、
- セレッソの左サイドで広島がサイド裏にスルーパス。原川がカバー。そこから、原川がクリアしようとする。も、広島:満田#11に引っ掛けられる。
- 原川が引っ掛けられてこぼれたボールに山中が反応。も、山中は越道に身体を当てられて弾き飛ばされ、越道#32にボールをキープされる。
- 越道#32からベンカリファへのクサビ。その落としを奧埜がカバー。も、野津田#7に引っ掛けられてシュートを打たれる。
と言う感じです。
球際の所・・・ですよね。結局、こういう所のフィジカル勝負でボールを確保できてない。特にその内訳と言うか、上の青の太文字の所、分かりますでしょうか?読んで字のごとく、『引っ掛けられる』『弾き飛ばされる』。『弾き飛ばされる』はそのまま体格差で分かり易いと思いますが、
ボールを『引っ掛けられる』ことも広島戦は非常に多い
んですよね。
ここを少し深掘りすると、広島の『高さ』は、そのままイコール、
手足の長さ
にも繋がりますよね。当たり前の事ですが、背が高い人は背の低い人に比べて相対的に手足は長くなります。
また、それはそのまま、
間合いが広さに繋がる
とも言い換えられます。それは背の低い選手の多いセレッソに対して、大きなアドバンテージに繋がるかなと。
加えて、広島の
『マンマーク気味に来る守備』が効いてくる
なところですね。間合いの広い選手に、更に間合いを詰められるんです。
背の低い選手にとって、背の高い選手の威圧感は凄いと思います。多くの人がそうだと思いますが、通り道を歩いていて、自分より大きい人に正面で鉢合わせになるような感じになったら、どっちに逃げたらええねん!!となりますよね(苦笑)サッカー選手でも、同じことです。
本当、マンマークで来られた時の間合いの詰め方は、セレッソの選手からすると前に付けるパスコースがほぼないと感じると思います。相手の間合い、つまり相手の足が届くところをパスしないといけないような感じで。
こう考えると、引っ掛けられる事も多くなるのかな?と。
手足の長い選手は股抜きなんかに弱いですが、広島のマンマークはセレッソのビルドアップの立ち上がりで行われます。つまり、セレッソからすると自陣エリア内。自陣エリアで、股抜きなどのリスキーなプレーはなかなか選択できないですよね。
このように、広島の強烈な前からの圧力は、
手足の長い選手の『間合いの広さ』 × 間合いを詰める『マンマーク』
の掛け算で生まれてるように感じます。これに対して、普通にパスやドリブルをしても、
引っ掛けられてしまう
という所かな?と思います。
確率論で言えば、例えば以下のようなパスコースでボールを回すとします。
パスは3回ですね。通常のプレスがそこまで強くないチーム相手で、1回のパスが通る確率を90%程度くらいだとすると、レオセアラまでのパス3回が成功する確率は、
0.9 × 0.9 × 0.9 = 0.729
凡そ、73%。4回に3回は成功できる算段です。
それが、広島相手の場合、その圧力で1回のパスの成功率を80%に下げられるようなイメージですね。
80%でも通れば、確率も高いんではないか?とはなるのですが、そのパスが3回続くと、話が変わってきます。
0.8 × 0.8 × 0.8 = 0.512
と、3回連続でパスを続かせる確率は50%程度に落ちるのですね。2回に1回は失敗と言う形になる。だから、パス1回の確率を少しでも下げれば、パスの回数が増える度に全体の成功率がどんどん下がってしまうんです。ダメージは大きいですよね。
だから、広島の『引っ掛ける』というのは、確率論で言っても有効な手段だと思います。
スカッド的に対策は難しい
では、セレッソはどうすべきだったのか?というのは、試合後にジンヒョンがヒントを言うてくれてました。
もう少しシンプルに背後に走ってくれたら、蹴れたかも知れないけど、つなぐ意識が強く、足元が多くなってしまった。裏に走る場面は少なかったですね。相手のラインも高かったので、もう少し背後の意識をもっても良かったと思います
https://www.cerezo.jp/matches/result/2023042908/
こういう所、必要だったとは思いますね。
広島の『間合い』を詰める圧力の中で、パスを繋げるのは前述の通り確率がどんどん下がってくる。80%で5回繋げる可能性は、30%程度。パスを5回繋ぐだけで30%まで確率が下がるのであれば、裏抜け1発でも確率は同じくらいになるのではないかな?と思ったりします。
こだわりを持つのは重要ですが、割り切りも重要。割り切った考えを持つ選手が居ても良かったかな?という気はしましたね。
そこからの展開次第で、広島の攻略は可能な所も出てくるとは思います。ただ、捉え方にも寄りますが、広島のプレスを攻略して勝ちたいと思うのは人の心ではないでしょうか。
ただ、それをするのに個人的には、
セレッソのスカッド的に厳しい
と思ってます。やはり、フィジカルの所。
セレッソは、トータルで小柄な選手が多いんですよね。なんで、大柄な広島相手だと、どうしても局面で引っ掛けられてしまう。間合いを詰められるという視点で、札幌のようなマンマーク気味に来られる相手に弱いのも頷ける所はあると思います。
そういう相手に対しても、個人的にこう言う事はやりたいんだろうなとは感じる所はあるのですけど、ボールを引っ掛けられることで成立させられない・・・そういうもどかしさは毎回感じますね。小柄・・・という所に、要因は少なからずあると思います。
それだけに、この試合で終盤まで粘ったことは、とても評価できるところではないかな?とも思っていたりはします。元々、『スカッド的に厳しい』という概念を持ってるから、そう思うのかも知れないのですが。
あまりこう言う事は書くことはないのですが、強化部の編成はもう少し見直して欲しい所ですね。スカッドの組み方が、『上手い選手』に偏りが強いようには思います。
この辺、今後、セレッソはどうして行くのかな?と個人的には注目しています。
フィジカル重視のサッカーのまん延
ちょうど、香川真司の記事が話題になりましたが、
《独占告白》香川真司34歳が明かすJリーグ復帰の決断と孤独「本当にお前はこれでいいのか…」「岡ちゃんはこの4年間、一番話をした人」(豊福晋)#香川真司 #セレッソ大阪 #プレミアリーグ #マンU #サッカー #NumberWeb https://t.co/gd5mHU2kKN
— Number編集部 (@numberweb) April 27, 2023
この記事内で真司の引用です。
僕がかつて日本でやっていた頃とはサッカーも変わった。実際にJリーグでやってみても、スプリントが強い選手が多い。イニエスタも、キヨ(清武弘嗣)も、そして僕も、この現代サッカーにフィットするかどうかは賭けに近いタイプの選手だと思う。インテンシティやスプリントを重んじる流れとは逆方向にいるし、使いづらいタイプかもしれない。ただ、残念だけど今はそういうサッカーが主流。もはや現代サッカーに「10番」はほとんどいないし、前の選手はスピードとフィジカル能力がないと戦っていけない。
https://number.bunshun.jp/articles/-/857221?page=2
今のサッカーの戦術は、フィジカル能力がないと厳しい。セレッソと広島の試合は、毎回、これを痛感させられる試合になっているように思いますね。
真司や奧埜、陸とか。経験値豊富なんで、身長差、フィジカル差を工夫でカバーしてると感じさせられます。が、工夫しないといけないという時点で、ビハインドスタートなんですね。そう考えると、
フィジカルは正義
というのは個人的に現代サッカーの本質の1つだと感じます。
こんな感じで、広島との差は、
埋めがたい『フィジカル差』という所
に個人的に思っております。だから勝てない!とまでは言わないですけど、スカッドがもう少し変わって来ないと、今後も苦戦は続きそうだなと思っています。
少し余談ですが、今の広島は、実はユン・セレッソと質は同じなんだと思います。当然、戦術、やり方は違うのですが、フィジカルで圧せるところはよく似てる。
ユン・セレッソも、DF:ヨニッチ/木本、MF:ソウザ、FW山村/健勇と、縦軸に180cm以上の高身長の選手を並べられてたのですね。また、ソウザの相方は、身長は高くないもののフィジカルの鬼:蛍でしたしね。
このフィジカル隆盛の流れは、女子サッカーを見れば更によく分かります。なでしこジャパンが2011年にW杯優勝。パスワークでデカい相手を翻弄したのを覚えてる方も多いと思います。
ただ、それ以降、なでしこジャパンのパスワークが世界の標準となって、世界の選手の技術が向上。なでしこジャパンが、パスワークで差が付けられなくなった所はありました。結果、フィジカルで劣るなでしこジャパンは勝てなくなった・・・行った流れはあると考えています。
何だか、風潮的には悲しいモノがありますね。だから面白くないと言う訳ではないですが、ただただ悲しくなる時はあります(苦笑)まあ、広島に負けたのがあるかも知れないですけど、変に感傷に浸ってしまいました(苦笑)
この流れに反して、今のスカッドで、セレッソが勝てれば逆に気持ち良いのですけどね(苦笑)そういう所に期待して、応援していきます。