セレッソ 1-0 柏
2023.4.23 @ヨドコウ桜スタジアム
何だかんだな勝利(笑)!!!
かの野球界のレジェンド:野村克也監督の名言『勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。』の前者の方な勝ち方(苦笑)色々と言いたい事はあると思いますが、でも、勝てば良いのですww
そんな試合を振り返りますか。
試合内容・雑感
●スタメンの固定化
水曜日のルヴァン杯にて、リーグ戦のスタメンクラスを多く起用した小菊セレッソ。その上での3連戦3戦目、この試合はどういうスタメンになるか?という所を注目していました。
蓋を開けてみると、毎熊、為田以外の9人が固定。体力的な不安はあるものの、落せない試合でもあるので理解の出来るメンバーでしたか。まあ、落してよい試合なんてないのですけど(苦笑)
為田にしろ、毎熊にしろ、ケガを抱える選手。この辺り、もう少しバックアップメンバーの押上げは欲しいかな?と思いますね。
立ち上がり、少し不安定さ、というか、相手の立ち位置に上手くはめられてた所はありましたが、為田のポストを叩くシュートなど、やられっ放しという感じでもない。一進一退と言ったところで、この男のゴール!!!
●毎熊のゴール!!
相手のバックパスのミスを見逃さない真司のカットから、レオセアラ→毎熊のゴール!!!これは、見事でしたね。
真司のパスカットの所は後述しますが、個人的に驚いたのがレオセアラ。
いつ、毎熊を見てたのだろう?
リプレイを見て、首を振った時に見えてるのかな?でも、よくぞ通してくれた!と言う感じでした。
毎熊も、トラップは少しミスったところはあったと思いますが、慌てず騒がずでシュートを打ち切ってくれました。ちょっとしたミスで、慌ててしまってチャンスを逃すこともある。そう思うと、慌てずに対処できたことが地味に素晴らしいなと思います。
毎熊、試合通じて堂に入ったプレーっぷりでしたよね。公式で、好プレー集みたいな動画も上がってましたし。
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— セレッソ大阪オフィシャル (@crz_official) April 23, 2023
これぞ、毎熊の真骨頂👀
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【4/23 柏戦】
プレスバックによるボール奪取から、局面を打開するドリブルや精度の高いクロス、そして冷静なフィニッシュ⚽#毎熊晟矢 選手は今季リーグ戦初ゴール🌸#セレッソ大阪 pic.twitter.com/kH6pMg7GOl
はっきりと、柏の選手に対して『差』を見せつけてる感じですよね。この調子を続けていれば、代表とかもあるんではないかな?と。そう期待せずにはいられません。
●チグハグさを消すポジション修正。
先制したとは言え、チグハグさが残っていたのがセレッソ。柏のパスワークに翻弄されてる様子でした。
その柏の起点となっていたのが、原川の所でしたかね。
柏のボール保持時、3-2-4-1みたいな配置にはなることが多かったと思います。これに対して、セレッソは4-1-4ー1(4-3-3)のブロック。この2つのシステムを交わらせてみると、中央が柏の4枚に対して、セレッソは3枚になることが多かった印象です。
奥埜・真司は柏の『2』のMFにチェックに行くので、原川は両脇2人を1人で見ないといけない。また、柏の1トップのセレッソ2CB裏を狙う動きがあるので、ヨニッチ・鳥海が原川のカバーで前に出れないようなところもあったかと。
結果、原川の両脇のどちらか1人を浮かせてしまい、そこを起点に幾度となく攻め込まれてた印象でした。この辺り、柏にうまく立ち回られてた印象が強かったですね。
レオセアラが柏の縦パスを切る動きをすれば、また違った防ぎ方も出来たと思いますが、レオセアラは基本、相手最終ラインのパス回しをサイドに追いやるプレスのかけ方。後ろの4-1-4のブロックの防波堤の役目はしてない感じでした。
(この試合に限らず、1トップ:レオセアラは、ブロックに参加してまでの守備タスクは与えられてないような感じですね。あくまで、相手CBのパスコースをサイドに限定する追い方をしてる所があります。)
ただ、修正はサクッと行われてます。これ、原川の試合後のコメントの通りなのですが、
おっくんが少し落ちて4-4-2っぽく
https://www.cerezo.jp/matches/result/2023042304/
という感じ。奥埜を下げて、真司を上げて。奥埜・原川のダブルボランチっぽい対応ですね。こうすることで、原川の両脇にいた柏2枚に対して、原川・奥埜の2枚で数を合わせてマークするようなところに。
これ、結構、効いてましたよね。前半の終わり~後半にかけて守備が安定してたのは、この対応が上手く言った所ではないですかね。
まあ、前半終了間際にレオセアラのバックパスミスからの大ピンチもあって、そうは見えてない方も多いと思いますけど(苦笑)でも、MF-DF間で起点を作られることは大きく減った印象でした。
●マテウスサヴィオの存在感
柏と言えば、この選手:マテウスサヴィオ。やっぱり、凄かったっすね。自身のミスから失点したので、挽回をするのも強かったと思います。
前半、陸の突破を止めたのを皮切りに、バー直撃のシュート(その前の切り返し含む)、ヨニッチへのプレスからのボール奪取。後半には鳥海のパスをカットするなど、
1vs1が際立って強いな
と改めて強く思わされました。
それ故に、上の4-4-2っぽい変更で中央で起点を作られなくなった・・・と言えど、恐怖感は拭えなかった印象でした。後半途中で引っ込んでくれて、ホッとしてたくらいで。
能力の高さでJリーグのベスト11を選ぶなら、僕はマテウスサヴィオを間違いなく入れます。攻守でレベルの非常に高い好選手。密かに、
セレッソに来ないかな?
と思ってますww
●進藤の安定感
鳥海の全身の疲労という形での珍しい交代。交代直前のCKでは、しきりにアキレス腱・ふくらはぎを伸ばす動的ストレッチを繰り返す鳥海の姿は見えます。暑い日の試合、水分補給等を間違うと、やはり難しさがあるんですね。
ただ、代わって入った進藤。頼もしかったですね。ヘディングの強さは抜群で、試合終盤の相手のロングボールを跳ね返せてました。守備側において、ヘディングで大きく距離を稼ぐのも重要なこと。その点、進藤のヘディングは心強いですよね。
ここ数試合、翔がベンチからも外れてますが、それは翔と同じCB兼SBという立ち位置の進藤の頑張りが認められてるのだと思います。この試合をきっかけに、スタメン奪取なるか?進藤にも注目したいですね。
この進藤の活躍もあり、何とか逃げ切り。色々と見直すべきところはあると思いますが、勝利はやはり良いものですね。
そんなところで、本題。今回は、バックパスについて。
この試合で、1つの見所になってしまったバックパス。マニアックにも、そのバックパスを取り上げてみます。あまりにもマニアックですが、付いてきてもらえたら嬉しいです(苦笑)
相手のプレスを呼び込むバックパス
このブログを読んで頂いてるほとんどの方は、恐らくはサッカー観戦歴が長い方だと思います。そんな方々に質問ですが、応援しているチームの選手がバックパスをした際、
読まれてる!そのバックパスは危ない!
と感じる時と、
バックパスしたけど、全く問題なかったな。
と感じることってないでしょうか?後者については、全く感じるという感覚も出ないとは思いますが。
個人的な視点でも、バックパスは大きく分けてその2パターンがあるように思ってます。それを端的に言い表すと、
相手のプレスを呼び込むバックパス(か、そうでないバックパス)
というところです。バックパスに対して、相手のプレスがかかると『危ない!』となるのは想像が付くと思います。それこそが、『相手のプレスを呼び込むバックパス』というところです。
では、その違いはどこから生まれるのか?を考えられたことあり・・・・いや、ないですよね(苦笑)普通は考えないですw
かなりマニアックな所ですが、今回はその辺のお話を。
バックパスを蹴る地点が『肝』
『相手のプレスを呼び込むバックパス』と、そうでないバックパスの違いはどこで生まれるか?
あくまで主観ですが、簡単に答えを書いてしまうと、
バックパスを蹴る地点の違い
だと思います。
では、その『地点』とは何か?
これも、そのまま答えを書いてしまうと、
相手ブロック『外』からバックパスを蹴ると、相手プレスを受け易い
で、その反対は当然、
相手ブロック『内』からバックパスを蹴ると、相手プレスを受け難い
というところになります。
相手ブロックの『外』か『中』か?の違いです。
この辺を深堀していきます。
相手ブロック内・外でのバックパスの違い
この試合で、バックパスをミスったマテウスサヴィオに改めて登場してもらいます。セレッソの得点シーン。
セレッソのブロックを4-1-4-1としますと、マテウスサヴィオはセレッソブロックの外でバックパスをしてます。ここで注目は、レオセアラの体の向きですね。
マテウスサヴィオがバックパスをミスって真司に取られた訳ですが、仮にDFへパスが通ってたとすると、このDFにプレスに行くのはレオセアラだと思います。その為、そこに注目を。
バックパスのパス交換の流れから、マテウスサヴィオ→DFとレオセアラの身体の向き(視点)が変わることが予想できますよね。ブロックの外からだった場合、レオセアラの体の向きは、およそ45度程度、変わります。
ただ、もし、この時にマテウスサヴィオがセレッソブロック内に居たとすれば?
この場合、以下の図の通り、マテウスサヴィオのバックパスに対して、レオセアラの体の向きは90度位、回転する必要が出てきます。上のブロックの外側と比べて内側は、方向転換する角度が大きくなりますよね(45度→90度)。
レオセアラからすると、身体の向き・目線を大きく動かされる形になります。その為、プレスに行くにも、一旦、体勢を整える必要があり、プレスに行くタイミングが遅れますよね。
つまり、相手ブロック外からのバックスパスに比べて、相手ブロック内からのバックパスは、
相手のプレスの出足が鈍る
という事は言えると思います。矢印の向きを大きく変えられるためです。
これ、DFにプレスに行く選手ではないですが、真司目線だとより顕著です。ブロック内からのバックパスでは、真司の所からだとより角度が大きくなり、ほぼ反対向きになります(150度くらい)。故に、真司の前方向への出足は大きく鈍らされますよね。
逆に外側からのバックパスは、得点シーンそのままになるのですが、バックパスに対して順方向に近い形でプレスを行うことが出来る(30度程度)。
身体の向き=プレスの向きになってるので、直ぐにプレスに移行できた。それ故に、マテウスサヴィオのミスにも直ぐに反応できたのだと。
このような形で、『危ない!』と思うパスは、ブロック外からのバックパスであることが多いと思います。
この得点シーンの真司が奪ったマテウスサヴィオのバックパスと、大ピンチになったレオセアラのバックパスのミス、いずれもブロック外からのバックパスでした。
ボールは人間よりも速く走ってくれるので、ブロックの外からでもきっちりと蹴れば問題はないのですが、そのパスがショート(マテウスサヴィオ)したり、ズレたり(レオセアラ)すると、途端にプレスしてくる相手に捕まってしまうということに繋がりかねないのですね。
相手ブロックの外からのバックパスは、慎重に・・・ということですね。慎重に行き過ぎると、マテウスサヴィオみたいにショートしてしまうのですけどね(苦笑)
このように、
バックパスは『蹴る地点』によって大きく性質が違ってくるもの
だと思ってます。こういう所、バックパスの『蹴る地点』『蹴る技術』、あまり目立たないですが重要なスキル・考え方だなと思います。
で、この試合で完ぺきだった選手が居ます。それが、
香川真司
です。
真司のバックパス
ここまでお読み頂いて、興味が湧いた方は、DAZNのフルタイム版で振り返ってみてください。(23:30)と(25:45)の真司のバックパス。共に、陸へのパスになってます。
(23:30) 真司はブロック内でボールを受けて、相手のプレスを見ながらバックパスを選択。相手は、その真司のバックパスに対してプレスに行けてないですよね。
(25:45) も同様。ちょっとサイドチェンジっぽいプレーにもなってるのですが、ブロック内でボールを受けて、相手の目線が集まった所でバックパス。浮き球のパスで、かなりアバウトなボールの蹴り方だと思いますが、柏からすると逆を突かれてるのでプレスには行けない。揺さぶりにもなってると思います。
加えて、相手ブロック外からバックパスを選択する時も、真司は一旦ボールを止めて、相手の矢印を消してからバックパスを選択。この真司のプレーに、何度もうならされてます(笑)
やっぱ、違いますよね。バックパス1つを取るだけでも、相手の矢印に対して常に逆を取る方向に蹴ることが出来ている。本当、何気ないところですが、真司の凄い技術。僕自身は大きく楽しませてもらってます(笑)
セレッソ初代監督:エミリオさん『ボールがどこにあるか?ボールの位置に注目してくれ』
先日の札幌戦のレビューでも書いたのですが、
相手ブロック内で起点を作ることの重要性というのが、この数試合、痛感している所ではあります。
- 札幌戦:荒野のファールを止める為
- 今回:バックパスで相手プレスを受けない為
と目的は違うのですが、実行することは同じ
相手のブロック内で起点を作る
ということ。
実は、これまでの小菊セレッソは、相手ブロックの外回りのパスが多かったんですね。ご存じの通り、小菊セレッソはサイド攻撃が中心。聞こえは悪くないですが、ボールは基本、相手ブロックの外を回すことが多くて。相手の体の向きを変える、所謂、揺さぶりの度合いは少なかったかな?と思っています。それ故に苦戦する所もあるかな?と。
※ブロックの外を回しても、ジンヒョンと言う最強のバックパスの逃げ道があるので、それはそれでOKなんですけどね。
ただ、この柏戦は、セレッソはロングボールを多用。一発でレオセアラに当てたりするやり方。この手法、パスをつなぐサッカーが好きな人は否定的な見方をする人もおられると思いますが、相手(ここではMF)の体の向きを後ろ向かせるという目的では、シンプルでとても有効な手段だと感じてました。
相手選手の体の向きは、ボールの置き所で決まってくる。それを前提に考えると、自チームの立ち位置の意味が見え、相手をコントロールする方法論、つまり戦術も見えてくるのかと。
ボールの置き所、重要な所ですね。そして、面白いですよね。
最近、サッカーを見ていてつくづく感じさせられます。
実は、『ボールをどこに置くか?』を強く訴えていたのが、セレッソ初代監督:エミリオさん。細かい文言は忘れましたが、攻撃的サッカーで行くのか、守備的サッカーで行くのか?を問われて、
それを決めるのは『ボールの位置』。ボールがどこにあるか?ボールの位置に注目してくれ。
と言う趣旨をエミリオさんが言っていたのを覚えています。当時の僕はアホだったので、これを良く理解できなかったのですね(苦笑)
ただ、相手の出す『矢印』が『ボールの位置』で決まると理解すれば、エミリオさんのこの言葉の重みを今更ながらに感じます。
良いことを言うてはったんやな。
と(笑)
この試合、髙木まひことシェキナベイベーズ解散前で、最後?のスタジアム出演ということになりましたが、ムーブメンタルはこのままセレサポ内で受け継がれますよね。同じように、過去のセレッソの偉人の言葉も、紡いでいきたいなと感じさせられました。このブログが、その一助になれば幸いです。
第4回 さがっそ大阪レポート。
第4回さがっそ大阪のレポートを書きました。こちらも宜しければ読んでやって下さい。
また、興味の沸いた方は、是非、次回の参戦をお待ちしております。宜しくお願いします。