2024 セレッソ

【セレッソ】神戸戦:奥田勇斗の良さを『クライフの言葉』で説明する。

セレッソ 1-4 神戸

2024.5.11 @ヨドコウ桜スタジアム

ショッキングな負け・・・

色んな見方の出来る試合とも思いますが、結果は残酷やな、、、と。切り替えるしかない。

振り返るのもあれなんですけど・・・(苦笑)与太話に逃げつつ、書き綴っていきますかね。

試合内容・雑感

●悪い時間帯での失点

正直ベースで語ると、結果ほどに差はなかったようには思ってます。負け惜しみでもなく、強引に前を向こうとしている訳でもなく・・・です。それだけに、結果が・・・みたいな感じですね。

正直、『ショックで、レビューを書けるのか?』という所もあったので(苦笑)試合後、Xでサラッと纏めてはいました。

この試合を一言でまとめると、

失点した時間帯が悪過ぎたな

という所ですね。特に、

2失点目、3失点目のところ

です。

1失点した後でも、前半の終盤。

まだまだ、慌てる時間帯ではない。落ち着いて返して行こう!

という感じだったと思います。前半はシュートを打てたシーンも多く、悪くなかった展開でしたしね。

そう思った直後に、2失点目。

ちょっと、まずい

とチーム全体が思ってしまうのは間違いのない所ですよね。

それでも不幸中の幸いだったのが、直後にハーフタイムに入った事だったと思います。

いったん頭を冷却して、後半に仕切り直しだ!

と巻き返す準備が出来る時間に逃れたからですね。

で、巻き返しに締め直した後半開始直後に、3失点目。

ヤバい、ヤバい・・・

となってしまうのも必然ですよね。

この2-3失点目の失点した時間帯が、ホンマに悪過ぎたなと。相当、メンタルに来たと思います。自分たちが招いた結果ではあるんですけど、踏ん張るべき所でやられてしまったな・・・という印象は強かったです。

●扇原のキック

で、その2-3失点目がセットプレーでの失点。キッカーが扇原。扇原、キックは流石でしたね(苦笑)

この扇原のキックに対して、DAZN解説の橋本英郎さんが、

ボールが伸びた

と言う表現を使ってました。この辺、一流選手のキックは、

ボールが落ちない

という特徴があるようです。

有名なYoutubeチャンネルですかね。現在、鳥取在籍の田中恵太選手の『独身Jリーガーの日常』から引用します。

3年前と古い動画ですが、ちょうどコロナ禍で暇を持て余してた時に見漁ったw動画の1つです。ここで、プロ選手3人が、

J1の選手のクロスの質

について語ってるシーンがあります。

画面左端の選手がどなたか分からないですが(苦笑)、

落ちないもん、ボールが下に。

と表現し、これに呼応して画面右端の田中選手が、

僕、いつも落ちちゃいますもん

と言っています。

この動画の1シーンの、

レベルの高い選手のキックは、ボールが落ちない

がとても印象に残っていて、この動画を覚えていたのですが、

2-3失点目の扇原のキックは、まさにコレやな

と思い至りました。

2失点目のジンヒョンも、3失点目の奥田も、被り気味ですもんね。予測より、ボールが落ちてこなかった。扇原のキックのレベルの高さが故に、目測を誤ったような感じなのかな?と感じました。

流石、タカ。本当、セレッソで成長を見たかったですよね(苦笑)

●1点を返したことをプラスに見たい

そして、この試合の言いたい事の1つは、

1点を返したことは誇って良い

と思います。

昨年のリーグ王者相手に3失点、しかも前述の通り、非常にタイミングの悪い時間帯での失点でもっと崩れてしまってもおかしくなかった展開だったけど、

気持ちを切らさずに持ち堪えて、少しは気概を見せてくれたな

と言う風に感じました。そこから、あわよくば2点目も・・・みたいなシーンもありましたしね。

最後の最後、得点を奪いに行ってひっくり返されての4失点目を食らいましたけど、むしろ後半の反撃出来た所に目を向けるべきかな?と思っております。

・・・とちょっと強がりながらですが(苦笑)、前向きに考えております。切り替えしかないっすね。


そんな所で本題へ。この試合の数少ない光明、奥田勇斗を取り上げますかね。

3失点目のCKでちょっと被り気味でしたが、小菊さんの言うように、スタメンデビュー戦では100点満点だったんではないかな?と。

平たく言うと、

奥田、ポジショニング良かったよね!

という所ですよね。枝葉を付けてみようと思います。

ええ、試合を詳細に振り返りたくないのでね・・・与太話に逃げますw

クライフの言葉

個人的にサッカーを勉強する際、

プロ経験者の言葉、体験談をベースに考える

と言うことをするようにしています。現役/元を含めて、プロ監督/プロ選手の言葉です。

今回、登場するのは、古くからのサッカーファンであれば誰もが知ってる、

ヨハン・クライフ

です。

今シーズンの開幕前でしたが、清水サポさん(?)が元セレッソ監督のロティーナさんにインタビューされた動画が話題になったのをご記憶の方も多いと思います。

今回の主題と少し離れますが、この時のPart.3の動画のロティーナが言っている事を、今のセレッソに置き換えると非常に面白いです。小菊さんが何を考えて、各選手の配置を決めているのか?が見えてくると思います。

話しを元に戻しますが、この動画はポジショナルプレーの概念をロティーナが語るのですが、(15:28~)で、

この哲学はヨハン・クライフから始まった。クライフのアヤックスから。

とロティーナは言っているのですね。

では、そのクライフは何と言っていたか?をご存じの方は居られますでしょうか?強いては、クライフが作り上げたサッカーとは?

その代表する言葉は、

相手のプレッシングなど、『優れた技術』の前では無力だ

ということ。

これを原則として、

適正なポジションを取る

ということ。

適正なポジションというのは、僕のイメージでは各選手をピッチに広く配置させるようなイメージですかね。広く配置されると選手間が遠くなるので選手間でのサポートを得るのが難しくなるが、

優れた技術があるから、サポートが無くても問題ないよね?

という考え方。

そして、適正なポジションを取れば、

ボールが選手に向かってくる

というところ。

ピッチに幅広く選手の配置が配置され、その場所も状況に応じて決まってくる。他の選手がどこに居るか?が分かれば、パスの出し手もパスを出し易い。前述の通り、選手間は遠くなるが、

優れた技術があり、他の選手がどこにいるか?が分かるから、遠くてもパスは通せるよね?

と言う考え方。

全ては、選手の持つ優れた技術がベースにある。テクニシャンのクライフ、流石の考え方ですよね(笑)

そして、この考え方は、前述のロティーナのインタビュー動画のPart.2で、ロティーナが語ってる事とほぼ同じですね。現代でも通用する考え方、実は30年も前にクライフがそのまま言うてるのですよね。クライフ、天才過ぎですよね(笑)

余談ですが、クライフはアヤックスに1988年退団後に、バルセロナの監督に就任。その思想がそのままバルセロナ下部組織に植え付けられ、メッシ・シャビ・イニエスタの時代に花が開き、バルセロナの最強時代を築いた・・・ということ。

こう考えると、スペインの強さはオランダが源流にあるというのも面白いですよね(笑)クライフが、どれだけ偉大か?という所です。

そんなクライフ、言うなればイタリアのアリゴサッキの大発明:『ゾーンプレス』とは対極にあるサッカーという事になりますよね。ゾーンプレスは、

ボールのあるエリアに対して『人を集める』

対して、クライフは前述の通り、

優れた技術をベースとして『人は動かず、ボールを動かす』。

と言うサッカー。

面白い事に、似たような年代に生まれたサッカーなのに、全く真逆の思想ですよね。

どちらが良いか?どちらも実績があるので、僕には判断がつきません。が、クライフ自身はゾーンプレスを見て、

まるで、小学生のサッカーのようだ

と言う感じでディスってたらしいですw 小学生の校庭で行われるサッカーは、ボールに子供が群がりますもんね(笑)

やはり、天才肌のクライフ。そんなクライフは、自身の監督時代に自分のチームが上手く回らなかった時には、

上手く行かないのは、ポジショニングが悪いか、選手の能力が低いからだ

ということも言っていたようです。やはり、天才にしか感じ得ない領域ですよね(笑)

前置きはこの辺で、そろそろ奥田を出しましょう(笑)

このクライフの話に準えると、とても面白い奥田のエピソードがあります。それが、

2023年 アジア大会決勝:韓国戦

での出来事です。

人が動くのか?ボールを動かすのか?

ご記憶の方も多いと思いますが、当時大学4年生だった奥田も、この大会に出場していました。どちらかと言うと本職でない左SBとしての出番が多かったですかね。

チームも決勝まで上がり、対するのが宿敵:韓国で。そして、左SBとして先発した奥田の、対面に居たのがイ・ガンイン。パリサンジェルマンに所属する韓国のスター選手ということで、奥田にとっては格上とも言うべきマッチアップの相手で。

ただ、あくまで主観ですがこの試合の序盤、

奥田はイ・ガンインを上手く消してた

のですよね。この試合をリアルタイムで見てたので覚えてますが、

奥田、ボール保持時に高い位置とって、イ・ガンインのポジションを下げてるね~。上手い!

と感じておりました。

奥田のマークがイ・ガンインと言うことは、逆に言えば、イ・ガンインがマークするのも奥田になる。と言うことは、日本のボール保持時に奥田が高い位置を取れば、逆にイ・ガンインは位置を下げざるを得ない

そこから日本がボールを失っても、イ・ガンインはまずポジションを上げる作業が必要になる訳で、イ・ガンインが脅威を生み出すにも時間が掛かる事になる。奥田の頭脳プレーというところですかね。

頭の良さが分かるし、決勝と言う緊張する舞台で格上とも言える相手にビビらず、それを決行する決断力もある。

奥田、めっちゃ良い選手やん!

と思っておりました。

ただ、そのポジショニングの対策も長くは続かず。前半の中盤辺りから奥田のポジションが下がり始め、イ・ガンインが躍動し始めました。そして、奥田の左サイドからハメられる事も多くなってきました。

この時、その状況から、

イ・ガンインのプレッシャーがキツくて、奥田は守りに入ってしまったのか・・・

と個人的には思っていました。奥田がどうと言うよりかは、イ・ガンインが凄いのかな?と。流石、パリSGやと。

・・・・が、試合翌日?あたりで知ったのですが、実は奥田がポジションを下げた理由は別にありました

奥田の試合後のコメントは、以下の通りです。

最初は高い位置を取ってイ・ガンイン選手を後ろ向きにさせようと思っていた。でも、左CBから『遠い』と言われたので、近づいて並行で受ける形が多くなった

https://web.gekisaka.jp/news/japan/detail/?393546-393546-fl

U23日本代表の左CBが、奥田のポジションを下げさせてたのです。これ、僕もよく覚えてます。左CB→奥田へのパスが通らず、タッチラインを割ったのが2回程あったのですね。だから、この左CBは奥田を下げさせたと。

この試合で、奥田が高い位置にポジション取りするメリット/デメリットを上げると、

  • メリット:イ・ガンインのポジションを下げる。
  • デメリット:日本の左CBと奥田の距離が遠くなる。

ですよね。

対して、左CBの奥田をポジションを下げる要求のメリット/デメリットは、

  • メリット:左CBと奥田の距離が近くなる。
  • デメリット:イ・ガンインのポジションが高くなる。

という事になる。

どちらが正解というのはないと思いますが、メリット/デメリットでどちらが良いか?は一目瞭然だと思います。結果的にこれも上と同じ記事の奥田のコメントですが、

位置取りを下げたのだが、それに伴って佐藤恵允(ブレーメン)も下がってきて「俺(奥田)とケインのところでハマっちゃっていた

https://web.gekisaka.jp/news/japan/detail/?393546-393546-fl

という状況に陥ってしまったということ。

ここまで書けば言いたい事は分かって貰えると思いますが、

イ・ガンインを抑えてた奥田のポジショニングは、味方の左CBの選手によって潰されてしまっていた

と個人的には思ってます。結果、

イ・ガンインを呼び込む形になってしまった

というところ。

ここで今一度、クライフの言葉を出してみましょうか。

上手く行かないのは、ポジショニングが悪いか、選手の能力が低いからだ

このクライフの言葉を借りれば、このシーンは、

奥田の下がったポジションは結果的に適正ではなかったし、左CBのパスを通せない能力の低さでもある

と思っておりました。

僕はセレサポなので、この時、どちらかと言うと奥田に味方。左CBの選手に『遠くても、パス通せよ!』と言う感じで思ってました。戦術の精度は、選手のプレーの精度。何度もこのブログで言っていますが、まさにこういうことで。

ただ、奥田へも『メリットの少ない左CBの要求なんか、突っぱねたら良かったのに(苦笑)』とも思っておりました。まあ、セレサポで身びいきで言うと、この時、まだ奥田はプロ入団前でしたのでね(苦笑)

でも、逆に言えば、ポジションを下げてハメられたことで、

奥田の高いポジショニングが正しかったという証明

にもなったなと。それをプロ入団前の選手がやってのけた事に、とても驚かされていました。

奥田勇斗の良さ

上記のような所で、奥田の良さと言うのは理解していたつもりでした。

だから、このアジア大会の奥田のプレーを見て、

周囲の選手のレベルが上がれば、奥田より輝けるのではないか?

と思ってました。なので、毎熊不在と言えど、右SB:奥田は楽しみでしか無かったです(笑)

期待通り、、、いや、期待以上だったと思います。ここに居てくれ!という所に必ず居ましたし、対イ・ガンインで見せてたポジショニングを対パトリッキでもやってましたよ(笑)

ボールにも良く絡んで、惜しいシュートまで打って(このシーン、決めて欲しかったですけど(苦笑))。

こういったシュートも打てる奥田のプレー、クライフ(或いは、上の動画のロティーナ)の言葉を借りれば、

ボールが選手に向かってくる

というのを実践できているのではないかな?と思います。状況に応じたポジショニングが出来ているからこそ、そこにボールが来るのですよね。

結局、奥田の良さを一言で片付けると、

ポジショニングの良さ

という事になると思うのですけど、その精度は、

クライフの言葉が証明している

と言う風に言えるんではないかな?と思います。

本当に良い選手が来てくれたなと。この1試合でファンになった人も多いのではないかな?僕もその一人ですが(笑)

そんな所で、暗い試合結果ですが、出来るだけ楽しくなるような記事にしてみました(笑)切り替えていきましょう!

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