2022 セレッソ

【セレッソ】ガンバ戦:  DFラインの選手が『見る必要のあるモノ』

セレッソ 2-1 ガンバ

2022.7.16 @パナソニックスタジアム吹田

大阪ダービー、劇的勝利!!!

試合終了間際の得点、今期のホーム試合でも同じような形でしたが、その時は追加点。今回は、勝ち越し点!劇的度が違いましたね(笑)かくいうワタクシは、

所用で東京に行っておりましたが、息子とのチャンネル争いに負けてリアルタイム観戦できず(涙)まあ、ドッキリGPも腹抱えて笑ってましたがw 大阪に帰ってきてから、DAZNで観戦し直してました。

そんな試合を振り返ります。

試合内容・雑感

●怪我人続出

この試合の前?後?かで発表がありましたが、原川とタガートが怪我。怪我人続出です。

ただ、今のセレッソは誰が出ても大丈夫な信用はありますよね。前節退場の山中も含めて主力数人抜きでも、それが大阪ダービーでも、不安より楽しみが先にくる印象でした。

●失点

序盤、鈴木武蔵の裏抜けに苦しめられてる感じがありました。セレッソの2トップ加藤+山田のハイプレスに呼応して、DFラインを上げたいセレッソの思惑に釘を打つようなイメージでしたか。セレッソが、ホーム川崎戦で取ったような戦い方だな~という感じを受けてました。

鈴木武蔵、フィジカルごつくて、裏抜け上手な選手、なかなか厄介でしたね。パトリックがサブに追いやられてましたが、それ相応の実力はあるようには感じました。ちょっと外でしたが、ジンヒョンと1vs1になる危ないシーンも演出されてました。

そんな押される展開の中、CKから失点。クォン ギョンウォン(手癖が悪かったし、奧埜への足裏はレッドやろ(苦笑))に合わせられるという。しかも、立て続けのCKの2回目(1回目はバー)でしたよね。ここは、反省すべきところではないかな?という気がします。その次からは徳真をマークに付けてましたが、1回目に合わせられた時点でマークが欲しかったですかね。

●セレッソのガンバ攻略:齋藤未月の背中

ただ、ここからセレッソのエンジンがかかり始めます。飲水タイム前後で大きく変わったかな?と感じたのが、

ガンバ・ボランチ:齋藤未月の背中のスペースの使い方

というかね。

この選手、海外からの出戻り組ならではの前向きに強さを出してた印象ですが、反面、自分の背後への意識が薄い。その背後のスペースを、為田が再三、突けていました。

齋藤の背中のスペースを狙う為田

ガンバもその齋藤の背後をフォローをすべく、為田がそこに降りた際に3CBの一角:福岡が前に出て、為田に付くような対応をとってました。この辺、3CBの利点ですよね。1人前に出ても、2枚のCBがゴール前で守ることが出来ます。

そのガンバの対応の更に上を行ったのがセレッソ。福岡が為田のチェックに前に出たスペースを、今度は翔、或いは山田が狙うという形。

福岡の裏を狙う翔(または山田)

これで、福岡も前に出辛くなっていた印象でした。

相手が空けるスペースを読んで、どんどんそこに選手が入っていく。チクタクバンバンを彷彿させるような、セレッソの攻撃ですよね!

ってか、古いですねw 

話を戻してw 為田以外に、翔も齋藤の背後のスペースを使えてましたね。26分30秒位からのシーン、翔が折り返して徳真がシュートをふかしたシーンも、翔が齋藤の背後を完璧に使えてます。面白いようにそこを起点に出来ていたので、

齋藤の背中、ガッバガバやんw

な感じで見てました。

この辺、齋藤が悪いのか?ガッバ・・・ガンバのチームとしてやり方が悪いのか?までは見る人の視点で変わると思います。逆に言えば、そこを突けたセレッソが上手かったということは言えるとは思います。

この辺、試合通じて斎藤の背後という所は、個人として、チームとして上手く攻略できたところではあったんではないですかね?それがはっきりと形になって表れたのが、同点のシーンですよね。

●山田の同点ゴール!!!!

山田!!!!  ってか、綺麗な崩し(笑)!!!!

一個一個見ていきましょう。まずは、ジンヒョンですよね。ちょうど、前回に記事に書いたのですが、

いくら、為田がフリーになったとして、パスの出し手がそこを見つけて適切なタイミングでパスを出す技術がないと意味がないのです。このシーン、

ジンヒョンが、しっかりとフリーの為田を見つけた!

という所ですね。素晴らしい!!! 

そして、為田。前述の通りですが、徳真に付いてきた齋藤未月の背中のスペースをしっかりと突いた形でフリーでボールを受けられました。

何気にこのシーン、為田より高い位置を取ってる翔も非常に効いているのですね。翔が高い位置を取ってるため翔に侵入されることを嫌い、福岡が齋藤の背中のスペースのカバーに行けず・・・なんですね。為田がフリーでボールを受けるのに、間違いなく翔が一役買ってます。

もう一回、為田に戻ります。加藤のポストから、為田の倒れながらのスルーパス。あのタイミングでしか通らないから体勢不十分でパスを出したのだろうな~と思います。こういう『プレーをやり切る』という所、最近の為田から責任感を感じてます。

相手に負傷を追わせた上に退場した磐田戦とか、トリニータ下部組織の先輩:清武の怪我とか、それでも信頼し続けてくれる小菊さんとか、置かれてる状況から為田自身、色々と思う所はあるんだろうなと推測します。ただ松田陸とかもそうですが、こういう

『責任感』が見える選手は強い

と思うので、改めて為田に期待しようと思います。

(退場した磐田戦でのレビューで『為田をしばらく見たくない』と書いたので、そのフォローで書いておきます(笑)ちなみに、怪我させた磐田:小川選手も既に戦線に復帰しているようです)

そして、決めた山田ですよね。上のチクタクバンバンではないですがw、加藤がポストで釣った相手CBの裏のスペースを使えてます。トラップからシュートまでも冷静。

ちなみに、この得点シーンの30秒ほど前(50:50~頃)、同じような形で為田がボールを受けようとした際、為田のマークに福岡が前に出てきたシーンがあったのですが、その福岡の裏を突こうとしてたのが山田。直後の似た流れでの得点シーンだったので、翔と同じく山田も、為田がフリーになるのに一役買っていたと思います。

少し書きましたが、加藤のポストとか、陸のオーバーラップとか。この得点シーンは皆がみんな、本当に素晴らしかったので、色々と書きたいのですが、とりあえずこの辺で(笑)

ちなみに、このシーンでもう1つ書きたい事があり、それがメインのお題とさせて頂きます。

同点に追い付いた後、翔の素晴らしい崩しからのシュートや、倉田の危ないシュートとか、オープンな展開になっていき、最後の最後に歓喜が!!!

●パトリッキの勝ち越しゴール!!

パトリッキのスーパーミドル!!!! 痺れましたね。僕は、結果を知ってる状態で見ましたが、それでもゾクゾクしました(笑)

パトリッキのスピードはエグいですよね。試合中も、よーいドン!で、相手を千切ったシーンなんかもありましたし、試合終盤でのあのスピードの選手・・というか、このクラスの選手が出てくるのは相手に取って脅威でしょう。

ヨーロッパ時代は、現役日本代表:守田とチームメイト。という事は、パトリッキも守田クラスの選手だと加入当初から推し量ってました。だから、

早くチームに、日本に馴染んでくれ!

と願ってましたので、ここ最近の爆発は嬉しい限り。個人的にはスタメンで見てみたい所ですが、今の使い方の方が良いのかな?という気もしてきてます。

もうちょっとすれば、Jリーグ内で、パトリッキはJに居た時の三笘のような扱いになるんではないですかね?三笘も、デビューした頃は後半のみでの活躍でしたしね。

清武がトップ下に戻り、乾が退団。不安視させる左MF争いも、為田とパトリッキがハイレベルなポジション争いを継続。素晴らしい流れだと思います。

そして、このシーン、パトリッキのスピードを生かしたブルーノの落しも良かったです。シンプルなプレーですが、前を向いてるパトリッキを使う事で、ガンバの大多数の選手に置き去りを食らわせてます。

また、もう1つ特筆すべきは、北野颯太ですね。右サイドを駆け上がる颯太のスピード、エグなかったですか?パトリッキがドリブル開始した時点で数的同数だったのですが、ドリブルしているパトリッキを颯太が追い抜いて数的優位を作りだしてました。

サッカーの攻撃の基本ではありますが、

ボールを持ってる選手を追い抜く

というプレー、やはり重要ですね。それ故に攻撃に厚みがでる。

颯太がパトリッキを追い抜いた事で、ガンバの福岡(2番)も颯太のパスコースを消しに行ってますし、パトリッキのシュートがその福岡の背中を通る形になってます。この福岡の動きを見てると、ここでの颯太がいかに効いているのかが分かると思います。

ユース時代のプレーを見た事がなく、その由来を知りませんでしたが、

これが『浪速のチーター』か!

と驚嘆しました(笑)ドリブルしてたとは言えパトリッキを追い抜いてます。また、スピードに優れるガンバの藤春が颯太を後追いしてましたが、全く追い付かせずに、ずっとパスを貰える位置で走れてる。よーいドン!の比較対象があったので、そのスピードをはっきりと理解出来ました。

こんな劇的な幕切れ、しかも大阪ダービー。本当に感動ですよね。リアルタイムで見たかった(笑)


そんな感じで、本題に。今回は、1点目のシーンを。

このシーン、セレッソの素晴らしい崩しに何もケチは付けませんが、

ガンバのDFライン、ガッタガタやん!

と思った方は居られませんでしょうか?素晴らしい崩しだからとは言え、シュートを打った山田はVARで確認するまでもなくオンサイドで。しかも、ゴール正面という絶好の所で。

この辺、何が起こったか?を書いてみようと思います。題して、『 DFラインの選手が見る必要のあるモノ 』という所で、ガンバ目線になります。

DFラインの選手が見る必要のあるモノ

まず、テーマとなる所の前提条件を書いて行こうと思います。DFラインが求められる要素という所。

ここでは、特にボール非保持時、更には

相手がビルドアップしてくる時に重要な要素

とします。相手DFラインが、ボールを回してるような所をイメージしてます。

この時に、DFラインの選手が求められる、もう少し言えば『DFラインの選手が見る必要のあるモノ』のが、個人的な感覚では以下のような所。

  1.  ボールの位置
  2.  自分がマークする選手の位置
  3.  オフサイドラインの意識

ボールがどこにあって、マーカーがどこに居て、オフサイドラインはどこにあるか?の3つを確認する必要があります。

最初の2項、『ボール』と『マーカー』を見るまでは、だいたいの選手が出来ると思います。ただ、この3つ目、『オフサイドラインの意識』が入ってくると、

DFとしてのセンスが問われるところ

だと思っています。DFとして対人がめちゃめちゃ強くても、オフサイドラインにギャップを生む選手は監督としては使い辛いですよね。

今回は、そこにクローズアップしてみます。

オフサイドラインを決める人と守る人。鬼の鉄則。

タイトルに『見る』としたのに、上の3項目のオフサイドラインの『意識』としました。そのこころは、DFラインには厳密には、

  • オフサイドラインを『決める人』
  • 決められたオフサイドラインを『厳守する人』

の2種類が居る為、『見る』ではなく『意識』と表現しました。

そして、サッカーをされてた方はご存じだと思いますが、このオフサイドラインを決める人と厳守する人は、もうどんなシステムであろうとチーム内で決められているはずです。

オフサイドラインを決める人は、DFライン上に1人。基本的にはCBが務めます。フィールドプレーヤーの最後尾として、試合状況に合わせてチームを押し上げる、チームを引かせる判断を担うことになります。

ある種、チーム全体をコントロールするのに重要な役割ですよね。前線で起点が出来ないと、DFラインを上げるのは難しい、かと言って下げ過ぎると相手を呼び込む。その匙加減が、チームに及ぼす影響も大きい。

オフサイドラインを厳守する人は、決める人以外のDFラインの選手・・・ですね。DFラインを形成している人です。

古い話で恐縮ですが、トルシエ・ジャパンにおける『オフサイドラインを決める人』:ツネ様とか森岡とか、やはり上手かったですよね。そして、その脇を固めた『オフサイドラインを厳守する人』:松田直樹、中田浩二との統率も見事でした。DFラインの上下動が生命線だったチームの原動力になっていた所はあると思います。

そして、この宮本-松田-中田の統率ではないですが、オフサイドラインを決める人と厳守する人との間に鬼の鉄則があります。

オフサイドラインを『厳守する人』は『決める人』より下がってはいけない。

これ、大原則ですよね。チャレンジ&カバーで流動的になる時もありますが、原則はコレです。これが守れないと、オフサイドラインにギャップが生まれ、相手に隙を与えることになる為です。

今のセレッソでは、恐らくヨニッチが勤めてると思います。『オフサイドラインを決める人』ヨニッチと『オフサイドラインを守る人』陸/西尾/翔の間で、この原則は守られていると思います。

※オフサイドラインを西尾が決めてる可能性もあります。その場合は、当然、ヨニッチが『オフサイドラインを守る人』になります。

このような感じで、DFの選手はこの鉄則を普段の練習から徹底されているはずです。徹底されてる・・というのもヌルいですかね。前述の通りどんなシステムであろうと適用される原則なので、長年の経験値も相まって、

DFの選手なら身体に染み付いているもの

だと思います。DFラインの選手は、絶対にオフサイドラインを意識する・・・という事。

いつもながら、長々と前提を書きましたが、ここでセレッソの1点目をガンバ視点で見てみます。

ガンバの場合『オフサイドラインを守る人』が実は・・・

セレッソ1点目の得点シーンをガンバ目線で見てみます。

素晴らしい崩しなので、動画も貼っておきましょうか。

両サイドの選手が、DFラインの鉄則、

オフサイドラインを『厳守する人』は『決める人』より下がってはいけない。

が守られてないですよね。CBが前に出たのに連動して、サイドの選手は上がるべきなのに上がれてない。故に、山田にそのギャップを使われる形になりました。

この時、ガンバのDFラインに並んだ選手が、右から小野瀬(8番) ー 福岡(2番) ー 三浦(5番) ー クォン(20番) ー 黒川(24番)。この内、オフサイドラインを壊した1人、

小野瀬は『MF登録』の選手

になります。僕の記憶が正しければ、小野瀬はオフェンシブなMFだったと思います。

こういう選手、言わばDFが本職でない選手がDFラインに吸収された時

本職DFの人と比べて『オフサイドラインへの意識』がかなり薄い

という事は言えます。なぜなら、当たり前ですが本職ではないので

オフサイドラインへの意識が『身体に染み付いていない』から

ですよね。

この時、小野瀬は『ボールを確認』しながら、翔に対して守備のセオリー通りに『ゴールとマーカーの間に身体を入れる』という事をしてます。上で挙げた『DFラインの選手が見る必要のあるモノ』の3つの内、ボールとマーカーの2つは見えてる。ただ、最後の1つ、

『オフサイドライン』が見えてない

のですよね。なぜなら、

DFが本職ではないから

という所だと思います。

上でこの3つを見るのはDFのセンスが必要と書いたのですが、こういう部分ですね。センスがない選手がDFラインに入ると、往々にしてこういう事が起こります。Jリーグのプロ選手と言えど、『コイツ、見えてないな・・』と感じさせる選手を見かけます。そういう選手のポジションを調べると、本職のDFではない場合が多いです。

※逆サイド:黒川はSBが本職っぽいので、オフサイドラインを見てないのが別の意味で???なんですけどね(苦笑)

DFと言えどセンスと言うものは必要で、ボール、マーカー、オフサイドラインの3つを把握し続けるのには選手の能力の部分。首振りの技術だとか、空間認知能力(というんですかね?)とか。そういったモノがない選手がDFラインに入ってしまうと、破綻し易いです。

オープンな展開になってくるとそれも緩和してくるのですが、締まった展開でもセンスのなさが故に破綻してしまうことがある。今回のシーンは、その典型的な形だったな~と思います。

とまあ、ここまで相手選手のことをとやかく言いましたが、セレッソ目線でそういうポジションに相手を持って行かせた、

翔、陸のオーバーラップを賞賛するべき

ですね。翔があの位置に立ったからこそ、小野瀬が裏を取られるのが怖くて、ラインを上げられなかった側面はあるはずです。これは、反対サイドの陸にも全く同じことが言えます。陸のオーバーラップも素晴らしかった!

よく言われることですが、立ち位置は大事だな~と(笑)

そして、見る側の立ち位置も。今回、視点を変えてガンバ目線で書いてみましたが、そうなるとセレッソのサッカーの印象も違って見える感じはありました。サッカーはやはり面白いですね(笑)

ユーティリティ性を求められる時代の穴。

昨今、複数ポジションをこなせるユーティリティな選手が重宝されます。時流から、それもよく分かります。

ただ、今回のような感じで穴も大きくなると個人的には思うのですよね。スペシャリストには身体に染み付いたものあるので、精度は雲泥の差があると思います。個人的な趣味ですけど、ユーティリティな選手より、スペシャリストな選手の方が好きですね。

加えて、昨今のJリーグの主流になってるボール保持時に5枚を前線に張り付かせる戦術。セオリー通りに行けば、守る側は5枚(カバーを入れた場合は6枚)で守る必要があります。その場合、基本的フォーメーションが5バック以外の場合、

MFの少なくとも1人がDFラインに吸収される

という事が多くの場面で起こることになります。

そういう意味で、選手にユーティリティ性を求めた場合、DFラインの鉄則、

オフサイドラインを『厳守する人』は『決める人』より下がってはいけない。

という事を、DFラインに入る可能性のあるDFが本職でない選手にまで意識させる必要があるという事ですよね。

ちなみに、セレッソではボランチコンビが下がって守備する時がありますが、原川・奧埜はDFラインに入ってもオフサイドラインを乱さないですね。やはり、能力高いな~と思わされます。

現代サッカーは、本当に頭を使う。アホでは出来ないな・・・と考えさえられる一幕でもありました。そんな所で、今回はちょっとガンバ目線で書きましたが、そこから見ても、今のセレッソの良さが際立った印象でした(笑)

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