2022 セレッソ

【セレッソ】横浜Fマリノス戦:5秒の壁とキムジンヒョン

セレッソ 2-2 横浜Fマリノス

2022.7.10 @ヨドコウ桜スタジアム

うーん・・・悔し過ぎる引き分けですね。

ただ、色々とツキが無かったな・・・な印象ではあります。前向きな引き分けと言うか。変な表現ですが。

そんな試合を振り返ります。また、前回記事では少し中途半端な形になってしまいましたが、今回はちゃんと書いて行こうと思います(笑)

試合内容・雑感

●上門のスタメン起用、原川・山中の復帰

この試合のスタメンで目を引いたのは、上門のスタメンと、怪我をしてた原川・山中の復帰という所になりますでしょうか。

裏抜け得意の上門のスタメン起用は、ハイラインを敷くFマリ対策ということでしょうね。そして、原川・山中は復帰すれば現時点でそれぞれボランチ・左SBの第一候補という所なんですね。徳真・翔、もっと頑張れ。

序盤は、Fマリの圧力に押され気味でしたが、徐々に押し返しつつ、そして・・・・

●加藤の乾坤一擲の一撃!!!

加藤のミドルシュート!!! 凄かったですね~。更に、

乾坤一擲の瞬間を逃さなかった加藤陸次樹!!!

DAZN実況:若田部アナウンサーの実況が最高でしたね(笑)

ドリブルからのミドルシュートは、なかなか難しいものがあると思います。ボールが前に進んでいく分、ボールに体重を乗せる蹴り方をするのがかなり難しい。これは個人的な経験談ですが、どうしてもインステップには当たらず、足の爪先にボールが当たるような感じになってました。ドリブル・シュートで、あんな加藤のような弾道で打てたことがないです。まあ、もうウン十年前の話ですがw

そこで、どうやって打ってるのか?シュートの際の加藤の軸足を見ると、ボールよりかなり前目に踏み込んでるのが分かります。

おー、あんな感じで踏み込めば良かったのか!

と、今更ながらに納得・勉強になりました(笑)あそこまで踏み込んで、初めてボールが浮かず、体重を乗せることができるんだな~と。本当、お手本のようなミドルシュートだったと思います。

後は、上門のブロックですね。試合後のコメントを見る限り狙いとしてはあったようですが、エドゥアルドがルーズな感じでボールをボランチ:藤田に預けた所を刈りました。上門、速かったですね。2試合連続でアシストが付いた事も良かったと思います。この調子で。

●タガートのゴール!!!

いきなり、飛びますが(笑)タガートの追加点!!!

スローインからの綺麗な崩し。山中(スロー) → ブルーノ → パトリッキ → 毎熊 → タガート。キーとなったのは、

タガートと毎熊の前後のコンビネーション

ですかね。

パトリッキがドリブルで侵入を開始した際、タガートがスッとバックステップを踏んでるんですね。そして、相手CB :エドゥアルドがタガートに釣られて前に出たエリアに毎熊が侵入。このコンビが、素敵ですよね。

パトリッキのカットインからの毎熊の動きに合わせた高速クロスも凄いし(この連続プレー、個人的に大好きですw)、毎熊の落しも完璧。タガートも冷静に決めてくれました。

そして、タガートに釣られたエドゥアルドのきりきり舞いっぷりが楽しいです(笑)タガートに釣られて前に出た後に、自分の背中を通される形のパトリッキのクロスで後ろ向きに。後ろ向きにされたと思ったら次の瞬間、また毎熊に逆方向にボールを落とされて。最終的に、自分がマークしてたタガートに、どフリーでシュートを決められて頭を抱えるまでがセットですねw

また、個人的に嬉しかったのが、毎熊にアシストが付いた事。5月の大活躍以降、相手マークも厳しくなってると思うのですが、好調なチームの中で数字が残せてなかった印象の毎熊でした。ですので、このアシストは大きいんじゃないですかね。

本当、ここまで完璧な試合運びだったと思いますが・・・・不運な展開が。

●タガートの怪我

途中出場でゴールを決めたタガートの負傷退場。個人的に感じるのが、ここがケチのつけ始めでしたかね。

この時点で、セレッソはFW2枚とサイドMF2枚の4枚交代枠を使っていました。最後の交代枠で誰を入れるか?

個人的に、西尾を入れて守備固めに入っても良かったと思いますが、その少し前に投入されていたマルコス・ジュニオールの存在。ここをしっかりと抑えるべく、フレッシュなボランチ:徳真の選択だったかな?という気がしています。

加えて、逆転負けを食らってしまった広島戦の苦い思い出。あの時、1点リードで守備的な交代をしたうえでミドルシュートを決められた。そういう意味で、攻めの姿勢を貫きたかった意図は感じてました。

●3重苦

山中がPKを与えてしまう。その上でVAR後、退場まで・・・。これね・・・厳しいですよね。

PK+退場+失点の3重苦。PKの場合は退場は無かったんではなかったでしたっけ?そういう不満もありつつ、

VARで確認した上で・・という事で、これ以上は何も言えないな。

な気分でした。心情は厳し過ぎるやろ!!!でしたけど(苦笑)

ただ、この要因、どう防げたか?矢印を内向きにして見るなら、

厳しい見方だとは思いますが、山中がPKを与える直前のジンヒョンのキャッチミスかな?

ジンヒョンならキャッチできた

と信じてるが故に、そう感じてしまう所はあります。ジンヒョンがキャッチしていれば、上のツイートの通り、PKも山中の退場もなかったですよね。

ジンヒョンを責めるわけではないですが、厳しく見る所は厳しく見ていきたいですかね。

PKも決められて、2-1。山中は退場して10人で、残り時間、Fマリの攻撃を止められるか?

●同点に追い付かれる

アディショナルタイムに入って、同点を許す・・・ショック過ぎる・・・(苦笑)

ヨニッチが前のアンデルソン・ロペスに釣られたのですよね。で、その裏で、レオセアラに合わせられる。ただ、ヨニッチからして、自分の前でヘディングを打たれるかも?となると、反応してしまうのは仕方がないですよね。

●交代枠のタラレバ

最後のようなハイボールで決められてしまう展開になると、タガートが怪我をした時、

徳真ではなく、西尾やったんではないかな?

と言う思いはあります。西尾が居ればCBの選手が3枚になって、ハイボールも凌げたのではないかな?と。

ただ、徳真が投入された時点で、山中は退場していなかった。その視点で言えば、徳真投入も間違いもないようにも感じます。マルコス・ジュニオールも厄介でしたしね。

色々考えると、本当、タガートの負傷で最後の枠を使わないと行けなくなったのが痛かったな。もっと言えば、FW2枚、サイドMF2枚、どこかの交代を我慢していれば・・・とか、毎熊が足をつってなければ・・・とか、色んな意味で思う所はあります。

まあ、仮に我慢してたとすれば、タガートのゴールは無かったかも知れないな?という思いがあり、変な思考のループに陥ります(苦笑)結果的にそうなってしまった、そういう意味で2重の不運が重なったと見るのが正しいのかな?という気がしてます。

惜しい試合だったが故に、色々と考え込んでしまいました(苦笑)


そんな所で、前回サボりましたメインのお題へ(苦笑)

最近、サッカーを見ててかなり重要だな~と感じているのが、

サッカーにおける『時間的概念』

という所のお話をしてみようと思います。

個人的に、いつかは書こうと思っていた内容でもあります。ただ、時間的概念を文章に起こすのが難しいな~と思っていたのですが、自分自身の文章能力向上のため(そんな大層なもんでもないですけどw)、今回、チャレンジしてようと思います。

主役となるのが・・・我らが守護神:キムジンヒョンです。

サッカーにおける時間の概念 × キムジンヒョン

『速さの貯金』、コアなセレサポさんであれば聞いたことのあるフレーズだと思います。現在、島岡監督の下、セレッソU18が精力的に取り組んでいるテーマですね。プレーを速くすればする程、ゴール前でフリーで余裕のある選手を作れるという概念。

そして、余裕とは即ち、

時間がある

と言うことですよね。このセレッソU18だけでなく、現代のサッカーにおいて『時間の概念』はかなり重要な要素になってきてるように思います。

では、現在のセレッソトップチームにおいて、『時間』と言うところのプレーを1つ深追いしてみたいと思います。まずは、ここで取り上げるプレーの時間の概念において、その基準となる数字を明確にしておこうと思います。

基準となる時間

ここで取り上げるプレーは、ゴールキックのシーンになります。ゴールキックを蹴るのは、基本GK。フィールドプレーヤーは、GKからのパスを受けるため、各々の所定のポジションに散っていきます。

この際、『フィールドプレーヤーで一番、移動する距離が長いのは誰か?』。4-4-2のブロックを中央で組んでいた場合ですが、個人的な感覚では、サイドバックだと思います。距離にして、30~40mは走るのではないですかね?

ゴールキック時のサイドバックの移動距離・時間

ゴールキックの際、陸がブワーッと外に開くのをよく見ますよね。あのイメージです。その陸が戦術上の所定の位置(だいたい、ハーフウェイライン手前の大外あたりをイメージ)にくるまでの時間を概算します。

50m6.5秒位の走力で且、8割程度のスピードで走ったとすれば、だいたい5秒位になりますか。ここで、この章題の基準として、サイドバックが所定のポジションに着くまで

5秒、掛かる

という所です。

サイドバックが一番長い距離を走り、それが5秒とすれば、その5秒以内で他の選手は全て所定の位置に付けられますよね。という所で、

基準となる時間を5秒

とします。

インプレーでも同じくらいの時間が掛かる。

上はゴールキック、つまりアウトプレー時を例に挙げましたが、これはインプレーの際も同じような時間になりますよね。ゴール前で守り、所定の位置まで距離はそう大きくは変わらないからです。このため、CBがボールを奪ってから、サイドバックがワイドに開くまでも同じく5秒かかるとします。

インプレー、ボール奪取時のサイドバックの移動距離・時間

インプレーなんで、CBからパスが来ることも想定すれば、視野確保のためにサイドステップやバックステップを入れる必要もあります。そうなれば、もう少しかかるかもしれません。

言い換えると、ビルドアップでサイドバックに良い形でボールを入れるのに、

奪ったボールを5秒以上はキープする必要がある

という所です。良い展開でサイドに繋げるには、周囲の選手とのパス交換やドリブルを交えて、この5秒以上はボール保持しないといけないのですね。

簡単に想像できると思いますが、これが、なかなか大変なのかと(苦笑)

相手も、昨今の流行りの戦術『即時奪回』を狙い、ごんごんプレスを仕掛けてきます。そんな中で、ボール保持を5秒間しないといけない。キープが難しくなって、クリアに逃げるのが標準的なチームの解決方法になってきますよね。

ただ、セレッソにはジンヒョンが居るんですね。ここで、ようやくジンヒョンの登場です(笑)

ジンヒョンの能力の高さ

セレッソは最終ラインでパス回しをする際、ジンヒョンにボールを預けることが出来る特権がありますよね。

ジンヒョンのGKとしての能力の高さは、セレサポであれば誰もが知る所。ただ、個人的に見ていて、最近は、

ジンヒョン、時間の作り方・使い方も上手いな~

と唸っています(笑)

その辺を順を追って、書いて行こうと思います。

3秒はキープするジンヒョン。

『CBがボールカット』→『ジンヒョンにパス』→『ジンヒョンがサイドバックへ展開』という流れを想定します。上の例と同じようなイメージになるので、サイドバックの選手が所定の位置に付くのに、5秒掛かるという前提になります。

この際、パスの部分をそれぞれ1秒とします。

  • CB→ジンヒョンのパス:1秒
  • ジンヒョン→SBのパス:1秒

こうなると、サイドバックが所定の位置に着くまで、残り3秒。3秒間、ジンヒョンがボールキープする必要があります

でも、ジンヒョン、ペナルティエリア内でボールを動かしながら相手の隙を伺う姿、見慣れた光景ですよね? ジンヒョンはしっかりと3秒を持つことができます(当然、例外もありますが)。そうなると、上で設定した5秒をクリアできることになります。

合計5秒クリア

ジンヒョン起点に、良い形でサイドバックに繋げる可能性が出てきます。

これ、本当に重要なプレーだと思います。セレサポにとって既に何気ない光景になってますが、このプレーはサイドバック始め、

味方選手が良い位置を探す時間』をジンヒョンが作ってくれている

という事になると思います。

いわば、

サッカーにおける『貯め』

ですよね。現在のセレッソは、ジンヒョンで貯めが作れてると思います。本当、大きな武器だな~と思います。

加えて、ジンヒョンのもうひとつ、ふたつの能力が、このタイミングで発揮されてます。

『動かし』『見つけて』『パスを通せる』ジンヒョン

ジンヒョンからのパスをハーフウェイライン手前くらいで、為田や奧埜がボールを受けるシーンをよく見ると思います。ジンヒョンは何気なくやってるように見えますが、かなり高度なプレーだと思います。

このプレーを細かく見ると、ジンヒョンは上で紹介した通り『ボールを動かし』ながら時間を作り、フリーな選手を『見つけて』、30~40m位の『パスを通す』ことをしてしまうんですよね。

ボールを動かしながら、30~40mの距離を正確に蹴るのは、かなり難しいと思います。フィールドプレーヤならやってやれないことはないでしょうけど、GKがこういうプレーを出来てしまうのは、はっきりと強みですよね。

加えて、 フリーな選手を『見つける』という能力。ボールを動かしてるので、ボールも見ないといけない。そういう意味で、ヘッドアップする技術も高いんやろな~と思います。

フリーの選手を見つける能力

ここで、ちょっとだけ余談。ジンヒョンがボールを持った時、相手のプレスの掛け方に対して、ジンヒョンのプレーの違いを少し紹介します。個人的には注目してる所で、この辺の駆け引きが楽しくて(笑)

ジンヒョン+2CB vs 相手FW2枚

ジンヒョンがボールを持って、2CBが両脇に開いた状態を想定します。その時、相手FWのジンヒョンへのプレスが2枚だった場合、

ジンヒョン+2CBへ2枚プレス。

この時、ジンヒョンはじっくり構えてます。来るなら来い!!!みたいな感じですね。

というのも、相手FWが深追いしてくれば、ジンヒョンはスッとCBに渡してしまえば良いだけ。それも相手は分かっているので、相手はジリジリとしかジンヒョンに詰め寄っていけません。

それを見透かして、ジンヒョンは常にドンと構えて、2CBを除く前方の味方8人の動きを見続けてます。フリーの選手を探すのですね。

ただ、相手もジンヒョンへのプレスが2枚とすれば、後ろも8枚。セレッソの前方8枚と枚数が合います。故に、なかなかフリーにはしてもらえない。

ジンヒョンの(味方が1人でもフリーになるのを)待つ・見る時間』と『行きたいけど深追いできない相手のジリジリプレス』。このジンヒョンの時間の掛け方、相手プレスの駆け引き、個人的には大好きです(笑)この時、

前方8枚、(マークを)外せ!外せ!

と願ってます(笑)ジンヒョンにパスコースを空けてあげろ!という感じですね。DAZNの映像では、なかなか映らないのが口惜しい(苦笑)

今年のアウェイ鳥栖戦とかこんな感じでしたね。

ジンヒョン+2CB vs 相手FW3枚

対して、相手FWのプレスが3枚だった場合、

ジンヒョン+2CBへ3枚プレス。

この場合、ジンヒョンはボールを動かしながらフリーの選手を探してます。また、この時、セレッソの前方8枚に対して相手は前に3枚割いた分だけ人数が減って7枚になってるんですね。相手も、無理してボールを追ってるのが分かります。

前方は8vs7、つまり、どこかで1人がフリー或いは2vs1の数的有利になっている所が、必ずあるんです。相手の薄い所が出てくるということですね。

ジンヒョンの狙い目は当然、そこ。だから、この時、

ジンヒョン、(フリーな選手を)探せ!探せ!

となってます(笑)でも、相手もジンヒョンに個別にプレスを仕掛ける位なので、『早くボールを放せ!』というのが相手の狙いですよね。そう易々と、ジンヒョンに隙を与えてくれません。

この『ジンヒョンの時間を削る相手の3枚プレス』と『ジンヒョンのフリーの選手を見つける能力』の対決。ジンヒョンが薄い所を見つけるのが先か?相手がジンヒョンの時間を削るのが先か?という競争。これも、個人的には最高に痺れる駆け引きです(笑)これもまた、大好きです。

ただ、個人的に見ていて、こういう時のジンヒョンが神懸かってるように思います。ボールを動かしながら、相手プレスに追われて時間がない中で、きっちりフリーな選手をジンヒョンは『見つける』んですね。そして、きっちりパスも出す。

今回のFマリ戦とか、札幌戦なんかは、こういう3枚で来られることが多かったですかね。故に、この駆け引きを見れてました。

時間の貯金は『選手の能力』

こんな感じで、『時間』という所をテーマに、ジンヒョンのプレーを取り上げてみました。最初の試合内容・雑感でジンヒョンにダメを出した分、ガッツリ持ち上げてみました(笑)

少し話が逸れますが、昨今のサッカーで『良い立ち位置に立つ』という表現をされることが多いですが、個人的な視点では、

『良い立ち位置』も1~2秒後には『良い立ち位置で無くなってる』

という風に感じます。パッと良い位置に立てたとしても、そこにパスが通らなければ、その1~2秒後には、相手もそこを消してきますよね。そういう意味で、立ち位置と言えど『時間の概念』は重要だと感じます。

また、上のジンヒョンの例でも挙げましたが、パスの出し手が、味方が良い位置に立ってることが『見えていて』、且、そこに『パスを通す』ことが出来ないと、一言で『良い立ち位置』に立っていても意味がないんですよね。

良い位置はすぐ消される/パスの出し手の能力

そういう意味で、選手の能力も必須。ジンヒョンを見てると、当たり前の事ですが。

この上位3連戦、特に川崎戦ですが、何度も、

そんな所を、パス通せるんや!

みたいな驚きはありました。川崎の選手は、そこが『見えていて』『パスを通せる』のですよね。そういう意味で、川崎の選手の能力は高い。

川崎の選手のように出来るようになるために、きっちと『ボールを止める』『ボールを蹴る』という技術は勿論、それで『時間を貯金する』という感覚が要るんだろうな?と感じます。そういう意味でも、U18の育成方針は非常に楽しみですね。(U18は『速さの貯金』という表現ですが、ほぼ同義に捉えてます)

そんな感じで、『サッカーにおける時間』について、今後も注目してみたいと思います。

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