2024 セレッソ

【セレッソ】2024年総括:CBの下支えと怪我人の多さ

早いもので、今年のJリーグも終了。選手・監督は勿論、サポにとっても、嬉し悲しいストーブシーズンに突入しました。

結果的に、小菊政権下で最後になってしまった今年のセレッソ、勝敗は13勝13分12敗の10位。スタートダッシュがそこそこ良かっただけに、最終的には期待外れな感が強い結果になってしまったかな?という印象です。

この記事は今シーズンの総括として書くのですが、成績が伴わないと

何がダメだったのか?

と、どうしてもこの視点になってしまうのですが・・・(苦笑)

普段のレビューでは、負け試合でもセレサポの空気感が重くならないように良かった面を中心に書くように努めてますが、最後なので個人的な視点でぶちまけ気味にw書いてみたいと思います。ご容赦頂きたくw

いつものごとく長いですがw、お付き合い頂ければと思います。

※この記事を書き始めたのが、シーズン終了直後位からです。そこからダラダラと書いていて、既に加入・移籍が発表されたりしてますが、その辺の情報を知らない想定で読んで頂ければ幸いです(苦笑)

問題点2つ

良かった時期もあったものの、トータルで上手くハマってなかったと言える今年のセレッソ。僕だけでなく、恐らくは多くの方がそう思っていると思います。

個人的に今年のセレッソが上手くハマらなかったと思う要因は、大きく2つ。

  • DFラインの問題
  • 怪我人の多さ

という所になりますかね。この2つを並べると多くの方が想像できるところはあると思いますが、相互に関係しているところもありますよね。

この辺を1つ1つ、紐解いていこうと思います。

DFラインの問題

以前に、Xでこういうポストをしました。

大敗したホーム京都戦でのポストですね。

このシーンが、今シーズンの不調だった時期のセレッソを象徴していると個人的には感じているのですが、

DFラインが相手のクサビのボールを弾き飛ばせず、相手の攻撃を引き込んでしまう

という問題ですね。

クサビのボール、相手のFWへの縦パスですよね。ここでは、このシーンの地上を転がすパスや、ロングボールでFWに当てるボールの全てを指します。

これ、シーズン最終戦:FC東京戦でも田中駿汰がコメントしてるのですが、

相手のFWに起点を作られて、そこを潰さないと、そこからカウンターでやられてしまう。取られた直後の切り替えも遅かった。自分たちの出足も相手より遅かったと思います

https://www.cerezo.jp/matches/result/2024120804/

ここの問題が、シーズンを通してずっと解決できなかったなと。

このクサビを潰す役割、それの多くはDFの仕事。つまり、

DFラインの問題

と言う感じかな?と思います。とりわけ、

CBが担う役割

という所になるかな?と。

シーズンの大まか経緯を書くと、シーズン序盤の調子が良かった頃、相手も地上戦を臨んで来てたのですね。ただ、そこを新加入:田中駿汰がことごとく潰していく。だから、シーズン序盤はDFラインが破綻することもなく・・・と言う感じ。

そこから相手チームは、田中駿汰を避けるようなボール回しをするようになったかな?と。

レビューでも書きましたが、田中駿汰の両脇に立ち位置を取って、田中駿汰のマークを絞らせなかったり、

或いは、単純にデカいFWに当てたり。パッと思いつく限りで、町田のオ・セフンとか、京都の原大智とか。特に、こういう巨漢FWと対峙した際、やはりセレッソCB陣では跳ね返すのがしんどい面が出てたかな?と思います。

結果、相手を引き込む形になり、チーム戦術が安定しなくなる・・・みたいな悪循環が生まれてたように思います。

この辺り、やはり重要ですよね。何故、そうなのか?という所を深堀していきます。テーマは、

CBのチーム戦術の下支え

という所ですね。

ベースラインを高く保つためのCBの判断の重要性

ここも超長い記事を書いたのですが、

この中で、ベースラインの高さを基にセレッソのここ数年の遍歴を振り返ったのですが、

小菊セレッソは、ベースラインが高め

という事は言えると思います。これは小菊さん就任以降、変わらずです。

ベースラインが高いという事は、その狙いは基本的に、

相手を相手陣に押し込めてサッカーをしたい

という所。

今シーズン、その狙いが上手くハマった試合が、ホームで行われた大阪ダービー。西尾-あちょ-進藤の3CBがクサビのボールを跳ね返しまくって、ガンバを自陣に押し込めまくった試合でした。覚えている人も多いと思いますが、前半はガンバのシュート0のパーフェクトゲームでしたよね。

この3人は『強さ・高さ』があるので、ボールを跳ね返してベースラインの高さを保つのに一定の効果はあったかな?と思います。(逆に、このシステムも、あちょがDFラインに下がることの弊害もあったようには思います)

でも、上のポストの鳥海のプレーを見ると、

相手を弾き飛ばせずに引き込んでしまって、ベースラインの高さを保ててない

という事が言えるかな?と思います。

鳥海をフォローしておくと、僕自身もCBの経験(レベルは低いですがw)があるので、この時の鳥海の判断も良く分かるんです。この時、鳥海はセレッソの右サイド(画面の下側)に展開された時を想定して、FWへのチェックと、右サイドのカバーリングの両睨みをしてるんです。

次の次の展開を考え、2つのシーンを想定したポジショニングなんですね。これが出来る時点で、鳥海の視野の広さ、賢さの証明なんです。

もう一つ言えば、

DFとして絶対に抜かれてはいけない

という、

DF個人としての鉄の鉄則を守ってる

んですね。

ただ、チーム戦術における狙い(ベースラインを高く保ち、相手を相手陣に押し込める)を念頭に踏まえると、

この両睨みの判断だと、チーム戦術を踏襲できなくて中途半端になったかな?

と感じます。

鳥海は視野が広いが故に、

自分が抜かれない事を優先するか?チーム戦術を優先するか?

の選択肢を持ってる感じですね。どちらも正解だと思いますし、その捉え方次第で見方は180度変わるのですが、この時の鳥海の判断は、

個人プレーでは正解だけど、チームプレーでは間違い

みたいな感覚ですね。

あくまで僕の視点ですが、鳥海、そして翔もこういう引いて守るプレーが多かったです。初夏頃からのチームが調子を落としていた時期は、顕著に。一言で言ってしまうと、

DFライン(CB)がチーム戦術の下支えが出来てなかった

というところ。厳しく言ってしまうと・・・ですね。

そして、そこから『CBが下支え出来てない』→『ボランチやインサイドハーフがCBのフォローに下がる』。こういった悪循環が生まれ、

レオセアラが孤立し、インサイドハーフが得点に絡めない

と言う事象が起こっていたなと。夏の広島遠征の試合後にポストしましたが、

このポストの時には書きませんでしたが、

出来てなかったのは『CBの下支え』に問題があったな

と個人的には思ってました。オブラートに包みながら『前まで繋げられないのは後ろの責任!』とは書いてますけど(苦笑)

毎熊が居る時は、上手く毎熊がこの辺をカバー出来てた(インサイドが下がる→毎熊が上がる・・・みたいな形)ようには思うのですが、毎熊抜けで難しい所でしたね。奥田もこのプレーは悪くなかったですけど、守備の部分で小菊さんの信用を勝ち取れなかったかな?と。

でもってCBに話を戻しますが、僕自身も経験がありますが、CBが前に出るのは本当に怖いんですよね・・・(苦笑)

CBとして自分が抜かれたら、高い確率で相手はGKと1vs1の状況になる。また、前に出た自身の裏のスペースを使われる可能性も高くなる。

前に出るCBは、それらの恐怖との闘い。少なからずそういう心理状態になるはずで、可能であるなら引いて守りたい。

でも、チーム戦術上で前に出る守備を迫られるシーンも多々ある。少なくとも、下がってはいけない。常に、

前に出る恐怖と、チーム戦術を遂行する使命感の押し引き

なんだと思います。

勿論、全部が全部、前に出ろ!と言ってる訳ではありません。時として、引いて守る必要がある場面もある。でも、引いて守るか?前に出て守るか?その時の状況に合わせた判断が重要というところですね。

また、別の角度から言えば、CBには前に出た際に、

相手FWを潰す/自由にプレーさせない能力・技術・強度が必要

という所。こういうプレーが出来るのが、超一流のCB。CBとしての見せ所の1つだとも思いますね。

前に出てチェックに行った時に、相手FWのバランスを崩してサイドに展開させない/自身が入れ替わられない・・・的な感じのプレー。こういうプレーが出来るCBは、本当に躊躇がないです。能力・技術・強度、それに基づいたメンタル・自信も必要ですね。

このような感じで、個人的に鳥海・翔に対しては、

前に出る守備をもっと積極的に見せて欲しかった

と言うのが、包み隠さず言う僕の本音。鳥海・翔の『相手FWを潰すプレー』という側面では、正直ベースでかなり不満がありました(苦笑)

鳥海は、神戸:大迫や、マリノス:アンデルソン・ロペスにはバッチバチに行ってるのを見てるので、出来ない訳ではないと思うんですけどね。

また、このCBが前に出て守る際に、小菊さんの『ファールをしない』という考え方が足枷になってる印象もありました。この辺、難しいですね(苦笑)

そして、前に出て跳ね返す!というプレーを実行できてこそ、

DFラインがチーム戦術の下支えをする

という所に繋がってくるんだと。

戦術的にCBにビルドアップ能力が求められる時代で、その上で、従来のCBとしての破壊的な強さも求められる。CBの役割過多、CB受難の時代だな・・と思います(苦笑)

この辺の話で、少し別のチームの話もしてみましょうか。前述の通り、僕自身、CB経験者なのでCB論は熱く語りたくw『CBのチーム戦術の下支え』という所をテーマに、いつも通りの与太話を1つ。

※記事を書いてる最中に、話題に挙げた鳥海の千葉への移籍発表がありました。削除したのですが、実は『来年は期待してるぞ!』とか書いてたのですけど・・・(苦笑)最後の最後でやり玉に挙げてしまって、申し訳ないです。千葉での活躍を期待してます。

他JチームのCBの影響

昨今の戦術の流行りは、小菊セレッソよろしく、ハイラインで相手を相手陣に押し込めるサッカーが主流ですよね。

その下支えするのに、前述の通り、

CBは前出ても守り切れる

という能力が求められる訳です。そして、それが出来るCBが居るチームは、J1でも上位に上がってきてる印象です。

例えば、神戸:マテウストゥーレルなんかは代表例かな?と思います。また、ガンバは今年、中谷進之介を補強して躍進しましたよね。

今はJに居ないですが、数年前のマリノスに居たチアゴ・マルティンス。僕の中で、チアゴ・マルティンスは近年のJリーグのCBの中でもNO.1の実力者だと思っています。

跳ね返せて、ボールを持てて、カバーも速い。セレッソで例えるなら、ヨニッチ(強さ)と鳥海(ボールを持つ、カバーの速さ)の両方の強みを持つCB。即ち、最強(笑)

ただ、逆に言うと、そのチアゴ・マルティンスが居なくなったマリノス、また、谷口彰吾が移籍した川崎、ショルツが居なくなった浦和とか。この辺のチームは、状態は上がり切らない感じでしたよね。川崎とマリノスには、最終的に順位で抜かれてしまいましたが(苦笑)

常に川崎、浦和を見続けてる訳でなく、あくまでセレッソとの対戦した時の印象でしかないですが、

10月に戦った浦和は、CBの下支えが無くなってるのが明確に分かりました。上のポストでも書いてますが、ショルツのいない浦和はイージーな相手やったなと。

(※もう少し言えば、今年の浦和と今年のセレッソは同じような問題を抱えてるな・・・と思ってました(苦笑))

このような感じで、他チームをざっと挙げてみてもお分かり頂けると思うのですが、昨今のCBと言う存在は本職の守備面以外でもチームに大きな影響を与えてるのは間違いないと思います。それだけ、チーム戦術目線で、

CBのチーム戦術の下支えが重要

と感じてます。

これをもう少し詳細を説明をするのに、一番分かり易いのが広島ですかね。顕著に、CBがチーム戦術の下支えをしていると感じます。もっと言うなら、

広島の強さは、CBの能力ありき

とすら思ってます(笑)

この辺も、もう少し掘り下げます。

広島の『CBのチーム戦術の下支え』

上でもポストしましたが、夏に広島ピースウイングスタジアムに観戦に行きました。

その時の試合を見てて思ったことは、この試合のセレッソ3トップ、

レオセアラ、ルーカス、為田が、1vs1で広島3CBに抑えらえてるな

という所でした。

普通、守備のセオリーとして、

相手の攻撃の人数に対して、同数のマーカーと+1人をカバー役として余らせて守る

というのは知られてますよね。

相手のオフェンスが3人なら3人が相手のマークについて、カバー役1人を余らせて合計4人で守る。相手オフェンスが2人なら3人。4人なら5人で守る・・・みたいな感じで、1人を余らせる守り方が一般的に知られる守備のセオリーで。

詳しく書かずとも容易に想像できると思いますが、数的同数の状態でオフェンス側がDF1人を抜いたら、DF側にカバー役がいないので、必ずどこかでフリーの選手が生まれます。

カバー役は、1人抜かれた場合の保険ですよね。そうして、守備の安定を保つ・・と。多くの戦術で共通する考え方だと思います。

ここで逆目線のオフェンス目線から、この守備のセオリーを語ると、

数的同数であれば、オフェンス側が有利

という事も言えると思います。数的同数は守備のセオリーから外れるからです。

ここ重要、テストに出しますw

スタンドから見てても、直感的に分かりますよね?攻めの体勢に入った時、相手DF陣と味方が数的同数だった場合、

行けぇ!仕掛けろ!

と思いますよね(笑)そういった状況です。

ただ、広島の3CBは、相手FW3人の数的同数でも抑え込めるんですね。『3を3で守り切れる』というところ。

でもって、この『3を3で守り切れる』は、別の所で重要な効果を生むのはお分かり頂けますでしょうか?その辺を、もう少し深堀をします。

広島と対峙しているのがセレッソだとして、セレッソFW3人が広島3CBに抑え込まれた。そうなった場合の、その裏の局面を想像してみましょう。それは、セレッソのMF-DFに対して、広島のFW-MFという所になります。

FW3人が守り切られた反対の局面では、セレッソMF-DFの人数は7人になりますよね。対して、『3CBで守り切った』裏で、広島もFW-MF:7人になります。

シンプルに引き算です。3vs3の裏は、『7 vs 7』の状況なんです。

3vs3の反対の側面は7vs7

で、ここで問題です。7人vs7人の状況は、どちらが有利になりますしょうか?

はい、先程、テストに出すと言いましたよね?w 

少し前に書きましたが、

数的同数であれば、オフェンス側が有利

でした。正解された方、自分で自分にご褒美を(笑)!

つまり、セレッソから見ると、

広島オフェンスの有利な状況を作られてる

ということになります。

これが、広島のオフェンス陣の異様な圧の高さの全てを物語ってると思うのですが、その理由は、

オフェンスに多く人数をかけられるから

と言う感じだと思います。

人が多さは、密度の高さに繋がる。他チームより人を多く配置するので、良い立ち位置に入れる確率が上がるのも直感的に分かって頂けると思います。人が多い分、単純に移動距離が短くなり、良い立ち位置にも素早く入り易い。

『戦術が~』とか『良い立ち位置が~』とかの論評も数多あるんですけど、広島の場合は、まず最初にシンプルにオフェンス側にかけられる人数が多いんです。

そして、広島の前線でこの状況を生んでいるのは、裏で、

広島の3CBが、相手FWを数的同数で抑え込めるから

という事になるかと思います。

こういう所ですね、僕が伝えたかった

CBのチーム戦術の下支え

というのは。サッカーで守備と攻撃は表裏一体、CBがしっかりと下支えすれば、オフェンス側にも大きく好影響を与える感じです。

加えて言えば、

それが出来る広島3CBの能力の高さ

という所に繋がりますよね。レオセアラやルーカス、為田を

1vs1で止められる能力があるからこそ、選択できる戦術

なんです。

広島3CB:塩谷、佐々木、荒木と、全て日本代表経験者、実績の裏付けもありますよね。仮にこの3CBが広島に居なければ、広島:スキッベ監督も今とは違う汎用な戦術を採らないといけなくなると思います。だから、前述の通り、

広島の強さは、CBの能力ありき

と思ってます。

ここも、以前のブログで何度となく言うてますが、

戦術の精度は、選手のプレーの精度

という所に繋がってくる感じですね。選手が持つ強みをどこでどう使っているのか?を追わないと、その戦術の本質がどこにあるか?は想像できないようには思ってます。

勿論、広島もセレッソとの試合を見てる分だけでの話にはなるので、全試合の全時間帯を3枚で抑えてるとは言えないです。恐らくは、DFラインにカバー役1人を増やして、守る時間帯もあると思います。

それでも、3CBで守り切れる時間が長いので、対戦相手としては凄い圧を感じる時間が長いかな・・・?というのが、僕の広島評です。

―――

このような感じで、『CBのチーム戦術の下支え』と言う視点で、今のJリーグ(広島)を語ってみました。

僕の目から見て、今の広島の強さは数字で表し易いのですよね。3CBの能力から単純な人数の計算(引き算)すれば、そりゃ強いよね~みたいな。でもって、広島の数字で見れば『CBのチーム戦術の下支え』の重要性も理解し易いかな?と紹介してみました。

この広島の戦術と同じ考え方なのが、2010年のレヴィ・セレッソ。当時、システム的に2トップが主流で、相手2トップを茂庭・上本大海が2人で抑え切って、前線を数的同数に持って行ってました。

あの時、セレッソ史上リーグ戦最高位だった3位のチームも『CBのチーム戦術の下支え』が効いてたシーズンでしたよね。

こんな感じで、CBは僕が経験したことがあるし大好きなポジションなので、ナンボでも話を続けられるのですけど(笑)今回はこの辺にしときますが、

DFラインが下支え出来ているか?

と言う視点でサッカーを観るのも面白いと思います。サッカーの戦術上、かなり重要な役割を果たしているのが、この『DFラインの下支え』だと感じてます。

そんな所で、セレッソに戻ります。

今年のセレッソで、DFラインで広島のような強度があったか?と言えば、やっぱり足りなかったかな?というのが個人的な印象です。その要因となったのは個人の能力とかもありますが、他にも理由があるな・・・と思っていまして。それが、

怪我人の多さ

というところ。

次にその辺を、僕なりの視点で書いてみようかと思います。すみません、、、、次ページへ続きますw

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