2022 セレッソ

【セレッソ】FC東京戦:現時点のセレッソの構造的な問題

セレッソ 0-1 FC東京

2022.3.6 @ヨドコウ桜スタジアム

うーん・・・色々と残念な敗戦でしたね。

この試合を簡単に表現するのは難しいのですが、結果と心象の悪さが最悪だけど、内容はそこまで悪くないというような印象の試合でした(苦笑)そんな試合を振り返ってみます。

試合内容・雑感

●単純にミスが多過ぎ

冒頭で書くのが、一番、最後のシーンになりますが(苦笑)アディショナルタイム7分経過後、次にプレーが切れたら恐らく試合終了になる・・と言うタイミングで、原川のトラップミスでアウトオブボール。そして、試合終了。

この最後の最後が、

この試合を象徴するシーンだった

と思います。この試合、この手の単純なミスが本当に多過ぎでした。

ハイライト動画を貼ります。

この動画の失点やピンチを含む多くのシーンが、セレッソのミス絡み。

  • 失点シーン:陸の判断ミス。
  • 松木玖生に奪われアダイウトンにシュートを打たれたシーン:原川の気のない横パス/奧埜の準備不足。
  • ジンヒョンのキックがそのまま相手に渡る。
  • 新井のシュートミスで枠を外す。

ハイライトだけでも、これだけ収められてしまってます(苦笑)

ハイライトに収められてる以外でも、

  • ジンヒョンの相手に渡すキックミスは前半にもあった。
  • 前半、良い展開で右に展開した直後に、陸のトラップミスでチャンスが潰える。
  • 新井も、投入直後に同じようにゴール前5m程の所でホームランを打つ。
  • 終盤の新井のフリーでのクロスミス。
  • 原川のトラップミスで試合終了したシーン。

パッと思いつくだけでもこれだけあります。もう、そこら中で簡単に防げるような『個人のミス』を連発させてた印象でした。新井も試合に上手く絡めていただけに、最後のミスが目立ちまくってた印象でしたね。

寒の戻りで、寒かったから体が動かんかったか(苦笑)?でも、言い訳はできませんよね。チームとしてこれだけミスが多いと、システムも戦術も成り立たせることは不可能。

ミスはミスでしかなくて、何も生み出さない

と思っているので、本当に選手には猛省してもらいたい所ですね。

ただ、後半立ち上がりの上門の2本のシュートや、新井の枠外しシュートのシーンが特徴的でしたが、良い形で攻め崩せてる所もあったと思います。冒頭で書いた『そこまで内容も悪くない』と感じたのは、この辺りですかね。でも、やはりミスが多過ぎた・・・という所かな?と。

●FC東京の強さ

セレッソの選手にミスが多かった・・と言いつつ、そのミスを生ませられたのは、FC東京の強さだったという気もしてます。小菊さんの試合後のコメントでもありましたが、前線プレスが強かった。

昨年以前より、FC東京に在籍する選手は、

フィジカルが鬼

と感じてます。ジャスト1年前(2021.3.6)もFC東京戦だったのですが、その時に書いた記事が以下です。

ディエゴオリベイラやアダイウトン、森重を筆頭に、FC東京の選手はフィジカルゴリゴリですよね(笑)スカウトの条件に、まず間違いなくフィジカル要素を入れていると思います。そして、昨年まではその武器を全面に出したショートカウンター狙いのチームでしたが、今年はアルベル監督の元、立ち位置重視のサッカーに方向転換しています。

フィジカルが鬼の選手が立ち位置を覚えると、鬼に金棒な印象ですね。また、ハーフタイムのスタッツをDAZNで見ましたが、スプリント回数はセレッソの方が多かった(チームトータルではなく選手個人のランキングで、上位1~3位がセレッソ)です。

あれだけ、ゴリゴリに押された印象だった前半ですら、スプリント回数が少ない。良い立ち位置を取れられてる・・・という所だったのかな?と感じました。

FC東京、これからもしかすると・・・という印象は持ちました。

●失点シーンのあれこれ

もう、これは陸の判断が遅かった・・・という他ないですね。相手に時間的余裕を与えない為、ボールを下げたくない・・・と言うような、陸の考えがあったものだと推測しますが、素直にボールを西尾に預けてビルドアップを立て直すべきだったんだろうなと思います。

陸からボールを奪った松木玖生、凄いですね。アダイウトンにシュートを打たれたシーンの奧埜からボールを奪った時も凄かったですが、高卒ルーキーですよね?4月を迎えてないので、まだ高校在籍でしょうし。で、あのフィジカルですか。今後、どうなっていくか?は1サッカーファンとしては楽しみですね。

それと、丸橋を非難する声も見かけましたが、あれは間に合わないですかね。DAZN解説の副島さんが言ってた通りで、奧埜と陸がボールを奪った時点で逆サイドの丸橋は外に開く動きを取るので、そこから中を締めるのは難しい。それで責められるのは、少し可哀そうと個人的には感じます。全力疾走してなさそうに見える丸橋の走り方にも、問題はあるかも知れませんが(苦笑)


そんな所で、本題に。セレッソの構造的な問題という所を深掘りして行こうかと思います。

個人的には、どうしても見逃せないエラーがあります。それが、

右利きの左CB問題

という所ですね。今回はこの試合のレビューとして、鳥海を挙げてみます

右利き左CBの弱点

個人的にここまでリーグ戦3試合ですが、セレッソをフルで観戦してみて、

歩夢が抜けたのが、やっぱり痛いな

と言うのを痛感してます。

リーグ戦3試合で左CBは、

  • 第1節 Fマリノス戦: 西尾
  • 第2節 京都戦: 鳥海
  • 第3節 FC東京戦: 鳥海

と言う形になってます。ただ、彼らのプレーっぷりが悪いと言う訳ではないですが、歩夢には程遠い(苦笑)

その程遠い理由として、歩夢と鳥海を比較すると、はっきりと鳥海には『とあるパス』がないです。それは以下のシーンで、西尾が陸に出したようなパスです。

サイドバックが高い位置を取り、そこにCBが通すパス。こういうパスが、左CB:鳥海が全く出せてないです。なぜなら、

左CBだけど、右足でパスを出しているから

という所ですかね。これが結構、致命的と言うか左サイドの攻めの選択肢を狭めてる印象が強いです。

少し説明すると、右サイドからボールが回されてきて、左CBが受けたとします。そこから、左サイドバックが高い位置を取ります。この時に、左CBが左足(L)でパスを出した場合と右足(R)でパスを出した場合を比較すると、以下のような形になります。

左CBから見る右足(R)/左足(L)のパスコースの違い

少し分かり易く鳥海に足をつけ足してますがw この図の通り、右足でパスを出す方が、

パスコースが相手に近くなる

という事が言えます。故に、左足でパスを出せないのは、左CBとして不利なんですね。

加えて、左CBの右足パスだと、高い位置の左SBにはパスを通すのが難しくなります。なぜなら、左SBが高い位置を取ればとるほどパスコースが相手に近付いて行くためです。

高い位置のパスコースは相手により近づく

上図の鳥海の位置と相手(及び相手から出る黒矢印)は、最初の図より場所を変えてません。左SBが少し前に上がるだけで、パスコースが黒矢印にかかるのが分かると思います。つまり、左SBが上がると、左CBの右足パスではそれだけパスコースが相手に近付いていく、ということになります。

こうなると、必然的に左サイドバックは高い位置を取るのが難しいという事になってきます。昨日の試合で、丸橋が生きなかったのは、

左CB:鳥海の右足パス

が問題になっている所も多分にあったようにも個人的には感じてました。

この試合、鳥海が縦へのチャレンジパスを左足で蹴ったのは、恐らく1回だけ。そのシーンは失点直後のシーンで、その左足パスは眼前の敵にカットされ、ピンチを迎えてしまいました。それ以降の鳥海は、ほとんどのパスを右足で行うを選択しています。

だから、鳥海が左サイドにボールを出す時、かなり窮屈な体勢のキックになっている印象は強かったです。相手の強プレスに対して、正確性を保つために利き足の右を選択していたからだとは思います。ただ、それだけでは、

鳥海からの効果的なパスは生まれない

という所はあったと思います。

鳥海が左サイドバックを活かせてなかった・・・という所ですかね。左サイドバックを上げきれなかったような感じでした。

セレッソはどう対応していたか?

この構造的な問題に対して、この試合では、チームとして放っておいてる訳でもなかったと思います。その対策として、

清武を中に入れる

と言うような所を前半はしていたように思います。

清武のポジショニングについて書かれてる方も見かけましたが、個人的な視点で言えば、

右利き左CBのフォローの為

ボランチの原川がCB間に降りてきても、清武が中に入って鳥海をフォローする。そうすることで、鳥海の右足パスのコースを確保してあげる・・・という狙いがあったかな?と思います。

鳥海のフォローで清武が中に入る

鳥海からすると清武のポジション取りは、体を外に開く必要のある外より右足でボールを出し易いです。また、受け手が清武であれば、鳥海も安心して出しやすいでしょうからね。(実際、鳥海→清武のパスは多かったです。そこで清武は結構、潰されてましたが(苦笑))

ただ、こうなって割を食ったのが、左サイドバック:丸橋(苦笑)

前述の通り、丸橋は鳥海の右足パスの為に高い位置を取れない。加えて、清武が中に入ることで左サイドの前方向に誰も居なくなり、孤立(DAZN観戦ですのでFWの動きまで見えてないです)。結果、ボールを受けても前を向けない形が多かったように思います。

丸橋の末路

丸橋は、去年位からシステムに振り回されて、不調になっているような気がしますね(苦笑)基本的に孤立してて、バックパス想定のボールの受け方をしてしまっているので、前を向く回数が少なくなってる印象です。結果、消極的な姿勢になってしまってるのが、若干、可哀想だとも思います。

後半、丸橋に代わって山中が入り、颯太が左MFとしてサイドに張る形を取ります。颯太とポジションチェンジする形で清武がFWに入ったのですが、前半に清武が担ってた鳥海のフォローは原川が担当。

後半の変更

後半は悪くなかったのは、

この修正で左サイドが上手く回り始めたから

という印象はありました。特に左に張った北野、そして途中出場の新井はよく効いていて(新井はシュートを決めてれば完璧でしたがw)、彼らが前方にいたお陰で、山中がボールを持って前を向く回数が増えていたのではないかなと。山中、良かったですよね。

ただ、鳥海が左でパスを出せれば、もう少しシンプルにクリアできるところではあるのかな?とも思います。判断の難しい所ですが、個人的には歩夢の存在感を今になって改めて身に染みてます。

神は細部に宿る。ミスを減らしたいですね。

今回、『右利きの左CBの左展開のパス』というマニアックな所を挙げてみました。マニアック過ぎですかね(苦笑)?

ただ、こういう細かい所で差が出てくると思います。相手の左CBは森重だったのですが、やっぱり左足のフィードは上手かったです。そして、それこそ歩夢抜けの左CBの問題は見逃せない所だと個人的には考えます。

やっぱり、左利き(或いは歩夢のような左キックを苦にしない)CBはかなり貴重なんですよね。セレッソ在籍選手では、西尾、鳥海、進藤、ヨニッチ、山下と右利き。舩木だけが左利きですが、リーグ戦でのCB経験はなし(レンタル中にあったか?までは知りません)。ここ、かなり難しい問題のようにも思います。

今の所、進藤やヨニッチが戻れば、この試合で左足でサイドチェンジを行った西尾が左CBの第一候補という所ですかね。この試合も、セレッソの選手で唯一と言っていい程にミスは無く、素晴らしい安定感を見せてくれました。歩夢ほど、左足を武器にしている訳ではないと思いますが、その安定感、器用さでカバーできるか?と言った所ですかね。(・・と書いていたら、西尾が怪我でU-21辞退。心配ですね。。。)

ただ、後半に巻き返せたように、右利きの左CBと言えどやり方はある。その辺、本当に細部にこだわって欲しいですね。

神は細部に宿る

などと言う格言なんかもありますけど、細かくサッカーを見ていると本当にそう思います。拘り抜いて欲しいですね。

細部に拘るという視点で、この試合で多かった単純ミスも無くしてもらいたい。上で書いた通り、

ミスはミスでしかなくて、何も生み出さない

ので。

もう一つ付け加えると、良い意味でも『ミスはミスでしかないので何も生み出さない』という事もいえるかな?と思ってます。ミスした!というだけでは、選手個人のマイナス評価も生み出さないと思ってます。失点シーン、陸が絡んでしまいましたが、

この試合で陸の能力の評価が下がるものではない

とも思ってます。まあ、何試合もミスをし続けてしまえば評価は下がりますけど(苦笑)1試合おかしかったと言え、評価を下げるのも違うと考えています。

そこはもう、切り替えるしかない。気を取り直して次です、次(笑)

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