2022 セレッソ

【セレッソ】福岡戦: ボランチの出入り。『原川・奧埜』と『原川・清武』の差。

セレッソ 0-0 福岡

2022.4.17 @ベスト電器スタジアム

うーん、勿体ないというか、仕方がなかったというか。そんなスコアレスドロー。

奧埜の怪我が・・・T_T 本当に痛いな。

色んな思いが交差してしまう試合ですが、振り返っていきます。

試合内容・雑感

●似て非なる者の対戦

今年のリーグ戦の初戦:横浜Fマリノス戦のレビューでも書いたのですが、2022年の小菊セレッソを最初に見た時、

昨年の福岡的な守り方

という書き方をしました。

ただ、ブロックの組み方は似てた印象ですが、戦い方は大きく違いました。

スピード・テクニック vs フィジカル

こんな試合でしたよね。

この試合のハーフタイムにツイートしたのが以下です。

福岡は、重量FWの2枚:ルキアン、ファンマにボールを当てることが全て。ビルドアップも、この2人にボールを当てるありきで、丁寧に繋いで前に運ぼうとする意図はほとんどなかった印象でした。

加えて、重量FWならではと言うか、敏捷性が低く、ハイプレスの鋭さは無かったです。故に、セレッソはDFラインでもボールをしっかりと握れてた印象でした。

だから、上のツイートの通り、

この2トップさえ抑えれば勝てる!

と考えてました。でも、その思い叶わず(苦笑)後半は、どちらかというと押され気味だったかな?という印象はありました。

その辺、重量FWに差し込まれた所もあったな~と感じました。次にそこを書いて行こうと思います。

●重量FWに対応する両CBの辛さ

セレッソの誇る2CB:ヨニッチ・西尾、この2人の身長と体重を書いてみますと、

  • ヨニッチ: 187cm 83kg
  • 西尾隆矢: 180cm 77kg

です。一般人からすると、大きいです。

対する福岡の重量2トップはと言いますと、

  • ファンマ: 188cm 90kg
  • ルキアン: 183cm 83kg

セレッソの2CBを、更に上回る体格の持ち主です。

ここで注目したいのが、この2vs2の平均体重

80kg(セレッソ) vs 86.5kg(福岡)

平均体重で、6.5kg差あるんですね。この体重差が、

試合終盤になるにつれて、何気に効いてきてた

印象はありました。フィジカルコンタクトのある競技では、体重差というのはバカにならないです。特に、サッカーで顕著に出てくるのが、試合の後半ですね。ヨニッチ、西尾ともに疲れが出始めた頃に、この体重差が効いてくる。

この辺、格闘技をよく見る方は、体重差と言えばピンとくる所はあると思います。ただ、格闘技を知らない方向けに、より分かり易く説明するために、身近でありふれたもので説明しようと思います。

ここでは、何故か『冷蔵庫の移動』というところを例に挙げてみます。

何らかの理由で『自分1人で冷蔵庫(4人家族用)を5メートルくらい移動させる』という作業が発生したとします。まあ、あまり経験はないと思うのですが、想像して頂きたいです(苦笑)もし、この作業を行おうとした場合、以下のいずれのタイミングで行いたいと考えますでしょうか?

  1.  元気な時
  2.  筋トレを60分した後すぐ
  3.  ランニングを60分した後すぐ

如何でしょうか?

選択できるのであれば、ほとんどの人が『1.元気な時』を選択すると思います。中には、『2.筋トレ60分後すぐ』を選ぶという筋トレ好きマッチョ・セレサポも居られるかも知れませんが(苦笑)まあ、少数ですよね。

では、何故、筋トレ/ランニング後を選ばないのか?という所。その理由としては、『しんどいから』という単純明快な回答になると思いますが、そこをもう少しだけ深く掘り下げます。

この『しんどい』の原因を具体的に言えば、運動することで疲労、つまり『乳酸が溜まる』という所ですよね。これは皆さんもご経験があると思いますが、激しい運動をして乳酸が溜まった状態だと、力を100%出すことはできないですよね。故に、

乳酸が溜まった状態で、冷蔵庫のような重い物を運べなくなるから

という所に行きつきます。だから、『1.元気な時』なんですね。

これをそのまま、この試合に置き換えてみます。

ヨニッチや西尾は、ファンマ(90kg)を弾き飛ばさないといけないのですね。前述の通り、福岡の狙いはルキアン(83kg)を含めた2トップにボールを当てる事なので、ヨニッチ・西尾の仕事は必然的に増えます。

序盤(前半)は乳酸が溜まっておらず、重量2トップの圧力にも抗えていた。ただ、試合終盤(後半)は乳酸も溜まってくる。上の冷蔵庫の例でいうと、ヨニッチ・西尾は『筋トレ/ランニング後の冷蔵庫の移動』を強制的に選択させられる状態なんですね。

また、CBはFWに比べて、失敗の許されないポジションです。ダメ元でチャレンジしてくる相手に対して、失敗が許されない対応を連続で強いられるのは、メンタル面でもきつい。

そんなメンタルの悪影響は、フィジカルにも影響を及ぼしますよね。気持ちが切れたりすると、どっと疲れが出るのは、普段の生活でも経験されていると思います。それと同じようなことも、起こり得ると思います。

ここで、対戦相手:ファンマ、ルキアンも疲れてくる!という方も居られるかも知れません。ただ、それは相手云々は実はあまり関係なくて、

90kg、83kgの『単純な重さ』

が、乳酸の溜まった西尾やヨニッチに圧し掛かってくるのですね。言い換えると、

肉弾戦では『単純な重さ』は武器

というところです。

サッカー選手として明らかに大きな部類:ファンマ・デルガドの体重は、90kg。これは、セレッソ大阪プラチナパートナー:シャープ様の冷蔵庫、

SJ-MF46J

とほぼ同じなんですね。

業界最薄、奥行63cmの薄型でキッチンライフをサポート。たっぷり入るからまとめ買いも安心な『SJ-MF46J

は、仕様:91kgなんです。もう、ファンマ・デルガドは冷蔵庫ですよね。ヨニッチ・西尾は、90分も冷蔵庫とぶつかり合っていた・・という事は言えると思います。

・・・・すみません、おふざけが過ぎましたw 90kg位を身近なもので例えると、冷蔵庫位しか思いつきませんでしたw 

ここで言いたい事は、

試合の序盤と終盤では、肉弾戦における『単純な重さ』の重要度が全く違う

という所ですね。時間の経過(乳酸の溜まり具合)によって、重い相手に対応がどんどん難しくなってくるという所。

後半、差し込まれ気味だったのは、こういう所もあったのではないかな?と思います。タフな試合でしたからね。

後半のドンピシャCKとかファンマに何度かやられかけたのですけど、ゼロに抑え切ったヨニッチ・西尾は本当によく頑張ったと思います。ある意味、この試合のMVPだと思います(ジンヒョンも含めてですね)。

また、サッカー選手の体重というのはあまり重要視されないのですが、こういう

肉弾戦だと、体重は無視できない要素

だと個人的には感じてます。一度、注目してみて下さい。

●ミスマッチを突いてくる福岡:長谷部監督

忘れもしないのですが、ちょうど1年前のホーム福岡戦の試合前に、

『セレッソは技術・スピードに特徴のあるチーム。ただ、フィジカルに関してはスペシャルではない

と話したのが福岡:長谷部監督。

これ、個人的に凄くよく覚えています。その時の対戦では、その発言そのまま、進藤(74kg)がファンマ(90kg)の対応に四苦八苦。ファンマ(90kg)を止めきれずに、痛恨の同点ゴールを許した経緯があります。

今回、その時に居なかったヨニッチ(83kg)が居たので、

そうは問屋が卸さへんぞ!

と思ってましたが前述の通り、ファンマの対応は、ヨニッチですらかなり苦労させられてました。ルキアン(83kg)もそうですが、フィジカル的なミスマッチを突かれた所はあったかな?と感じます。上手いですよね、長谷部監督。

特に印象的だったのが、後半の途中で入ってきた山岸(183cm 80kg)。山岸を、セレッソ右サイド:陸(171cm 69kg)に当てられたのが、かなり苦しめられた印象が強かったです。

陸もアップダウンを繰り返して乳酸が溜まってきた試合終盤で、自分より『高さ』も『重さ』も上の選手を当てられる。そこを起点とされて、差し込まれた所はあったかな?と思いました。

僕は『選手の判断と実行』をメインにサッカーを見るのですが、昨年の対戦以降、長谷部監督は個人的に注目してる監督でもあります。今後、どういうキャリアを築かれるのか?は少し楽しみにしてます。


そんな所で本題へ。この試合におけるボランチの組み合わせの妙というか、そんな所を。

この試合のセレッソのダブルボランチは、原川と奧埜。奧埜が負傷交代後は、原川と恐らくはボランチ起用は予定になかったであろう清武。やっぱり違いましたよね?な所を。

ってか、奧埜の怪我よ・・・本当、軽傷であることを願います。

ボランチ:原川・奧埜と、ボランチ:清武の違い

周知のとおり、奧埜が負傷した後、代わりに入ったのが清武でした。

清武のポジション、どうするんだろう?と思って見ていたら、奧埜の代わりにそのままボランチに入る形に。かなり?珍しいボランチ:清武を拝見することになりました。ボランチ:清武を30分見ての試合終了後、

奧埜の怪我は痛かったな・・・

とどうしてもなってしまいました(苦笑)

清武はオフェンシブなMF。清武も器用な選手なので無難にこなしてる印象でしたが、本職のボランチとはやっぱり違う印象を受けました。その辺を書いて行こうと思います。

相手ゴールキック時のボランチの対応

上で挙げた通り、ヨニッチ・西尾 vs 重量2トップという所が、この試合の最重要ポイントでした。

他Jチームの一般的なFWであれば、ヨニッチなら大抵は勝てる強さがあります。ただ、相手は冷蔵庫:ファンマデルガド(90kg)。ヨニッチですら、競り負けるシーンも見受けました。

だからというか、福岡のゴールキックの際も、福岡GK:村上は躊躇なくファンマに向けてロングキックを選択。自チームの圧倒的なストロングポイント、使わない手はないですね。そこ起点に攻撃を展開するような単純明快な戦術だったと思います。

ただ、その辺は織り込み済みというか、しっかり準備していたのが小菊セレッソ。相手ゴールキックの際、ボールが後ろに逸らされても良いように、

ファンマに競るために、前に出たヨニッチの穴をボランチがカバーする

という対策を取っていました。

相手ゴールキック時のボランチのカバー

ヨニッチを西尾、ファンマをルキアンに置き換えても、ボランチは同じようにその穴を埋める対応をします。

図では原川を下げてますが、原川・奧埜のコンビの時は、奧埜が下がるシーンもありました。2人で交代で役割を回していたのかな?ヨニッチが前に出れば原川、西尾が出れば奧埜とかのルールがあったのかも知れませんが、その辺は深く追ってません。

相手からすると、原川が前にいるのか?奧埜が前にいるのか?はその時になってみないと分からない。だから、相手ゴールキックをヨニッチ(西尾)が競り、そこでボールを奪えた際、相手マークは迷うかな?という効果があるような気はします。また、2人がボールを持った際のリズムも違ってくると思います。

本当に些細な所ですが、そうすることでバリエーションが増えてくる印象はありますよね。ただ、奧埜の負傷交代で清武がボランチの一角を担うようになってから、この役割は原川固定になってました。守備の能力を考慮すると、やはり原川が後ろですかね。

奧埜負傷交代後

こうなると必然的に、

前(攻撃寄り):清武、後(守備寄り):原川

というボランチの関係性が構築され、そのまま固定されてしまってた印象でした。

これが悪い・・・という訳ではないのですが、原川・奧埜の流動性の良さを見てるので、少し物足りなさは感じてました。この関係性で、その良さが顕著になくなったな・・・と感じたのが、攻撃面ですかね。

奧埜・原川の5人目の動き出し

この試合で、ボランチが綺麗に崩しに参加したな~と感じさせられたのが、2シーンあります。共にシュートまで行かなかったので、ハイライトにも収められてないですが、15:10~ と 20:38~のシーンです。

この2シーン、共にボール受けた陸が、ハーフスペースを突いたボランチを使うという形でした。最初の15:10のシーンでは、相手の左サイドを中原・陸で釣り、空いた ハーフスペース を奧埜が突く

奧埜の狙い

今年のアウェイ清水戦で奧埜が得点したシーンもそうでしたが、奧埜はこのスペースを常に狙ってますよね。

そして、個人的には更に良かったな~と思うのが、20:38~。これも、先程のプレーとほぼ同じなのですが、 相手の左サイドを中原・陸で釣り、奧埜もハーフスペースに立ってたのですが、その奧埜の更に裏を今度は原川が突くという攻撃。

この時、奧埜は原川とスイッチして、中央に移動してカバーリングの構え。この辺の2人の連動、流石やな~と思って見てました。

この2シーンで言いたいのが、奧埜・原川ともに、

前線5人目の動き出し

なんですね。川崎戦のレビューに少し書きましたが、前線に5枚を張らせようとするスタイルはJでも主流ですよね。セレッソも例外なく。奧埜・原川は、中原・陸が相手ブロックを横に拡げてくれた隙を見逃さなかったのですよね。

こういうプレー、ボランチの選手ならではというか、よく見えてるし賢いプレーやな~と唸らされます。そして、2つ目の原川と奧埜のスイッチに見るよう、この2人の連携が見事。1人が出れば、1人が下がる・・みたいな動きの連動がスムーズなんですよね。

こういうプレーが鳴りを潜めてしまったのが、奧埜負傷交代後かな?と感じます。次に、清武になってどう変わったか?という所を。

『10番』清武のプレー

対して、清武が入ってからのプレーについて。Twitter でも話題になってましたが、

清武にしか見えない景色がある!

当日のDAZN実況の名言、ポエマーさんでしたね(笑)

でも、実際に、この言葉通りのプレーを連発しているように思いました。

具体的に言うと、清武がボールを持った際、

自分より前の4人に縦パスを当ててた

というように見受けました。4人とは、2トップとサイドハーフ2人の事です。そして、この4人にボールを当てた後、

清武自身もそこに侵入していくようなスタイル

でしたかね。俗に言う、パス&GOですね。

パスを出して自分も侵入

清武からすると、DAZNの名実況よろしく、

空いているのが見えるから、ボールをそこに付けられる

のだと思うのですね。そして、そのまま自分もサポートに行く。この辺、古い言い方になるとは思うのですが、

10番:トップ下の選手だな~

という事を強く思いました。

ボランチが前の4人にボールを付けるという事は、攻撃の合図ですよね。縦パスは、チャレンジングなパスになってくる。言い方を変えると、ちょっと聞こえは悪いですけど、一か八か。ただ、清武には次の絵が見えてるが、他の選手は見えてないのかな?と。そのチャレンジングな縦パスは、あまり成功したようには見えませんでした。

だから清武が悪い・・・という事を言いたいのではなく、良し悪しだと思います。そのパスからゴールを決まっていれば、清武はヒーローです。

でも、奧埜の時と比べて、攻撃のテンポが速くなってたのは明らか。そして、この試合に関しては、どちらかというと清武の縦パスはテンポとしては速過ぎて、周りと合ってない印象はありました。

加えて、もう一人のボランチ:原川との関係性。

前述の通り、清武がボランチに入ってからは、原川は常時、後ろの位置取りになってました。その上で、前の清武がどんどん縦パスを入れて、清武自身もそこに侵入していくプレーを実行。そうなると、原川と清武の距離が開く。そして、

原川の前線のフォローが間に合わなくなった

という印象は強く感じました。

清武が前に行って、原川のフォローが間に合わない

また、前述の通り、清武の縦パスはチャレンジなパスで成功率は低い。故に、原川は前に上がれず。結果、

前と後で分断が起こってた

ような印象でした。こうなると、攻撃面でなかなか上手くは行かない。後半に苦戦した所は、上で挙げたCBが乳酸+相手の重さの対応がしんどかった事と、この清武の交代という所な印象は受けてました。

ただ、試合終盤は、清武・原川のボランチの関係性も改善されてきます。こちらはハイライトに収められてましたが、試合終盤になってから颯太やブルーノのヘディングで惜しいシーンを演出していました。

この2シーン、よく見ていると、原川が清武を追い越しているのが分かります。つまり、

原川が攻撃のフォローに間に合ってる

んですね。上手く行ってるシーンは、原川がフォロー出来ていて、前と後の分断も解消。そこで攻撃に厚みが生まれてる印象でした。

プロサッカー選手は、試合中でも上手く調整してくるんだな~と感じさせられました。ただ、その調整も本来は不要なもの。奧埜負傷の影響は大きかったかな・・・と思わざるを得ない試合でした。

奧埜の早期復帰を願う。

この辺、レギュラーメンバーが怪我をすると、かなり難しくなりますよね。常にコンビを組み続けてた原川・奧埜ならではのコンビネーションがある。それを強みとすれば、負傷するとそれが失われる。チームバランスは繊細。

『誰が出ても同じサッカーが出来る』というのはよく聞く言葉ですが、正確ではないと思ってます。この試合の清武と奧埜を比較しても分かる通り、人が変われば出来る事も違うし、テンポも間合いも違う。強みも違いますよね。故に、この言葉を正しく表現するのであれば、

誰が出ても質を落とさない

が正解だと思っています。

この試合、山中が負傷で丸橋が久々にリーグ戦。テーピングがまだ痛々しいですが、復帰戦としてはまずまず。めちゃめちゃ良かったと言う訳でもないですが及第点、質は落としてなかったと思います。

次の試合、奧埜が出られなかったら誰が出るのか?どうやって、質を保つのか?そんな所を注目してみたいと思います。

そして、奧埜の早期回復を願ってます。

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