2024 セレッソ

【セレッソ】選手コメントから見る、ユン・ロ将・クルピ・小菊の監督変遷の是非。

久しぶりにセレドル以外のブログ記事でも。

大阪ダービー中止に伴い、また2週間も試合が空く我がセレッソ大阪。現状、苦しいチーム状況が続く感じですよね(苦笑)そのチーム状況に伴い、XのTLでは批判も多く目にします。

その批判の中で、未だちょくちょく目にするのが、『ロティーナの頃は・・・』というもの。そこから派生してかユンさん・ロティ―ナ(良かった)に対して、クルピ・小菊さん(悪かった/悪い)みたいな対比で語られてるように感じます。

今回はその辺の是非を、僕なりの視点で。所謂、クルピ・小菊さんへの切り替わりがどうなのか?というところですね。

ただ、ロティーナ・セレッソも既に4-5年前になります。記憶が曖昧になる所もあるので、正確性を少しでも担保する為に根拠も書こうと思います。その根拠は、

当時の選手のコメント

になります。

そんな感じで、あくまで個人の主観ですが、行ってみますか。先に言っときますが、長いですw

『ユン・ロティ―ナ』と『クルピ・小菊』の違い

TLの批判内容の中心は前述の通り、ユンさん・ロティ―ナの2時代、そしてクルピ・小菊さんの2時代の対比という事になります。

その話通り、僕もユンさんとロティ―ナのサッカー、そして、クルピと小菊さんのサッカーはそれぞれで似た思想のサッカーだと思っていて、明確な違いがあると思います。それが、

守備(ボール非保持)時のベースラインの高さ

という所になります。

ここでは、ベースライン=オフサイドラインと捉えて貰っても良いのですが、その設定の高さが違う・・・というところ。具体的には、

  • ユン・ロティ―ナ: ベースライン低めの設定
  • クルピ・小菊: ベースライン高めの設定

というところ。

ご存じの方も多いですが、ユンさんの頃は『ハードワークと守備意識の向上』というもの。ロティーナも同じように『いい守りがなければ、いい攻めも存在しない』という思想の持主。共に、

まずは良い守備から

というのが信条というところでしたよね。

故に、この2人の監督の時代のサッカーは、必然的にベースラインが低め。そこで強固なブロックを敷いて、相手がそのブロックに入ってきた所を潰す。

ユンさんは低め設定のブロックに近づいてくればプレスに行くような所でしたが、ロティーナは左MFの外切りプレスでブロック内に縦パスを誘導、ブロック内で潰す・・・みたいな守り方だったように記憶してます。

そこからボールの持ち運びは、ユンさんはFWにボールを当ててチームを押し上げる、ロティーナは極上の仕組み作りで選手に選択肢を与えてボールを持ち運ぶ・・・みたいなサッカーだと記憶してます。

細かい方法論は違えど、『ベースライン低めから展開する』という点では、似たサッカーだったなと思います。

反対にクルピ・小菊さんのサッカーは、ユンさん・ロティ―ナと比べると、明らかにベースラインが高め。ボール非保持時も、高めのベースラインの設定で、前から前から相手選手を捕まえに行くようなサッカーになってるのは周知の通りですよね。

結局、この方向性の違いで、

やってるサッカーに一貫性がない

だとか、現状で結果が出なくなると、

ユン・ロ将の頃は良かった

という批判に変わるのだろうなと思います。

この対比で『攻撃的なサッカー』『守備的なサッカー』という括りにされるのですけど、個人的には『ベースラインの高さ』という考え方で統一します。つまりは、ユン・ロ将 → クルピ・小菊で、

ベースラインは高くなった

というところ。

なので、今回の是非を問う所は、

ベースラインを高くしたのは正解なのか?

というところ。ここが最初の論点ですね。

この辺を、選手のコメントをベースに検討してみたいと思います。

ロティ―ナ時代の終焉を感じた瞬間

最初に言っておくと、僕はベースラインを上げることは正解だと思う派です。つまりは、クルピ・小菊さんへの戦術転換は肯定的に捉えてます。

でありますが、念のために言っておくと、クルピ・小菊擁護派でもないですし、ロティーナ・ユンさんを否定する気もないです。なので、どちらかを非難する・・・という思想は持ち合わせておりません(そもそも、監督目線でサッカーを見ることがほとんどない)。

サッカーのような不確定要素の強い競技を見るのに、そんなゼロか?イチか?デジタル的な思想では見られない為です。どちらにも良い要素があるし、悪い要素もある。

とは言え、時代の流れというものはサッカーの戦術にもあって、その時々で合う戦術、合わない戦術と言うものが出てくる。端的に言ってしまうと、

ロティーナの当時の戦術は、時流(主にJリーグですが)に合わなくなってきたな

というのは、ロティーナの2020年のサッカーを見ていてて個人的に感じていた事です。

少し前にXのTLで、ロティーナ2020年のリーグ後半戦の戦績(17試合 6勝3分8敗)を上げておられる方が居ました。で、ちょっとした炎上っぽい感じになってました(苦笑)で、僕自身も実は3年前に似た趣旨のことは書いてまして。

まあ、この記事を書いた時に上のXのポスト同様、エアリプとか付けられまくったので(苦笑)個人的に思い出深い記事ですし、セレサポのロティーナの人気の高さを思い知った所でもありました。

で、僕自身の主観ですが、2020年の後半(6勝3分8敗の時の試合)の試合を見ていてて、

ロティーナのサッカーでは苦しくなってきたな・・・

と感じていました。

また、その思いにより確信を持てた出来事がありました。それが、この記事の根拠として挙げると書いた通り、『選手のコメント』でした。

セレサポの中でご存じの方は少ないと思いますが、

当時セレッソに在籍していた選手も、『このやり方では・・・』という趣旨の発言をした選手が居た

のをご存じでしょうか?

それは試合後のコメントで、今もしっかりと公式記録に残っております。

では、その選手とは・・・実は、ロティーナ・サッカーの申し子とも言うべき、

奧埜博亮

おっくんでした。

奧埜の発言

その発言があったのが、2020年のホームでの川崎戦の試合後。この試合を覚えてる方も居られると思いますが、当時最強だった首位:川崎と勝ち点差:11で迎えた試合。この試合に勝てば、勝ち点差8でリーグ優勝争いにギリギリ踏み止まれる。負ければ勝ち点差14で、事実上の終戦・・・という重要な試合で。

この試合でセレッソは奮闘するものの、結局は川崎に危なげなく押し切られて、1-3の敗戦ということになりました。

この試合後のコメントで、奧埜のそれは飛び出ました。

対戦相手:川崎の攻撃の脅威を聞かれ、奧埜は、

ブロックを作ってるだけでは守れない

https://www.cerezo.jp/matches/result/2020-10-03/

と発言してるんですね。上のURLにリンクを貼ってるので、興味のある方は全文を読んでみて下さい。

この奧埜の発言、どう思いますか?奧埜の真意はどこにあるか?は分からない所がありますが、これを見た時、

とても重たい発言だな・・・

と僕は感じました。

前述の通り、ロティーナサッカーの根幹は『良い守備から』を基本に、

ベースラインが低め。そこで強固なブロックを敷いて、相手がそのブロックにボールを入れてきた所を潰す

でした。そう、

『ブロックを作って守る』ありき

なサッカーなんですよね。

ブロックありきで守るサッカー・・・なのに、

ブロックを作ってるだけでは守れない

と、奧埜はコメントした訳です。

この試合の対戦相手は、三笘も在籍していた最強時代の川崎。故に、結果に許容できる所もあるかも知れないのです。

が、ロティーナサッカーでは少なくとも、

川崎には勝てない

と言う事実は認識できました。川崎に勝てない・・つまり、

リーグ優勝も無理

というのも理解はできました。

自分が感じてた『しんどくなってきたな』と『奧埜のコメント』。僕自身、この奧埜のコメントを見てロティーナサッカーの終焉を感じた所もありました。

当時、Xを初めとしたSNSに数多くいる、試合結果に何の責任も負わない立場の素人サッカー論者(僕含むw)やプロの解説者もベタ褒めしてたロティーナ・サッカーでしたが、それらの言葉より、

試合結果の責任がある当事者で、その中心選手:奧埜の言葉は、それらの無責任な言葉よりも圧倒的に重い

と思った次第です。

今、この奧埜のコメントを見て、セレサポの皆さんがどう思うか?は分からないですが、僕自身は当時、こう思っておりました。

何故、そうなったか?

では、何故、奧埜のコメントが出たのか?という所を考察して行こうと思います。それを語る上では、サッカーは一人称ではなく二人称。対戦相手の戦術を見れば、分かるかな?と思います。

当時、しきりに言われていたワードで、『即時奪回』『ストーミング』だとかという戦術。小菊さんは『カウンタープレス』みたいな言い方をしますかね。細かいニュアンスの違いはあるのかも知れないのですが、これらのワードに共通する大目的は、

ボールを失った瞬間、相手のボールホルダーにプレスを掛ける

という戦術ですよね。

ボールを失ったタイミング、ネガティブトランジションと言う言い方もしますが、その時の対応という所ですね。以降では、『即時奪回』で表記します。

相手にその『即時奪回』狙いがあるんですね。で、ロティーナサッカーは、『ベースラインは低めのブロック形成』。

ベースライン低めのブロックでボールを奪ったとして、直後の相手の『即時奪回』を受ける・・・どう感じますか?

ここで予想される起こるロジックを順番に書くいていくと、

  1.  ベースライン低めのブロック(自陣ゴール前)でボールを奪う
  2.  相手の即時奪回を受ける
  3.  自陣ゴール前なので、リスクを負うようなプレーは選択できない
  4.  相手プレスでプレーする時間を削られ、苦し紛れのパスやクリアになる
  5.  そのパスやクリアは正確性を欠く
  6.  相手にボールを回収され再び攻撃を受ける
  7.  1.に続く

と言う流れ。

そんなもん、ロティーナが作る仕組みでどうとでもするわ!という方も居られると思いますが、実際は上手くは行かず・・・でした。あくまで僕の主観ですが、この負の無限ループとも言うべき事象はロティーナ・サッカーでも見られたのですよね。

それが、奧埜の発言が飛び出してから数試合後のホーム:広島戦。ロティーナ自身が、

私がセレッソに来てからワーストな前半でした。

https://www.cerezo.jp/matches/result/2020-11-21/

と発言しました。その前半を見ていて、はっきりと記憶に残っているのが、

ハーフウェイ・ラインも超えられへんやん(苦笑)

と言う位に上の負のループにハマってました。ずっと自陣に押し込まれる展開で、あの冷静沈着な木本がイライラして相手に突っかかってイエローを貰う始末で(苦笑)

この広島戦の前半が端的だったんですけど、何もない試合展開で終了間際のヨニッチのCKのみで勝ったH:湘南戦や、降格争い中の清水に負けたアウェイゲームでも似たような展開で苦しめられたと記憶してます。結局、何が言いたいかと言うと、

ボールを奪う位置を高くしないと、相手の『即時奪回』にハマってしまう

という所です。

高い位置でボールを奪えれば、後ろ(GK)への逃げ道があるんですよね。それであれば、ジンヒョンですしボール保持をする時間を作れる可能性が高まる。なので、出来るだけ高い位置でボールを奪う必要性があるんだと。これが正しいか?は分からないですけど、僕なりの答えでした。

僕の中で広島戦の前半を見てこう整理できたので、川崎戦の奧埜のコメント、

ブロックを作ってるだけでは守れない

https://www.cerezo.jp/matches/result/2020-10-03/

は改めて重たいなと。。。

これがロティーナ就任半年とかならまだまだこれから!とか思えるんですが、1年半経過した後ですからね。相手に研究されて抗えなくなった・・・・と見るのが正解か?と個人的には思ってました。

このような所が、僕自身のロティーナ・サッカーの集大成時に感じてた所でした。でもって、クルピの就任。クルピのサッカーは古いセレサポなら誰でも知る『前に出るサッカー』。

クルピ就任を聞いた時、だから、

セレッソは『ベースラインを高くする』サッカーに舵を切り直したんだな

と感じてました。

その舵の切り直しは、即ち

ユンさん・ロティーナの『ベースライン低め』にチームが見切りをつけた瞬間

だとも思いました。

すべては、川崎に勝ってリーグ優勝する為。川崎に勝てないサッカーを継続してもリーグ優勝はなく、投資で言う所の損切。

クルピ就任で色んなところを言われておりましたが、戦術的な面でJリーグ時流『即時奪回でハメられる』を避ける為に『ベースラインを上げる』選択。案外、悪くない選択なのかも?という所を感じたのも間違いはないです。

そして、それと同時に、

でも・・・今更、クルピなん(苦笑)?

と思ったのもまた、正直ベースで事実ですw

※実はクルピ就任に当たり、某所で怪情報を聞いたのですが・・・それは、あまりにも信憑性が乏しいのでここでは書かないですが、チームフロント陣も色々と大変だな(苦笑)と思ったことは書いておきます。

おまけ:ロティ―ナについて

こんな感じで書いてきましたので、おまけでロティーナについてももう少し。

このような思想を持っていたので、当時、ロティーナに対しては良い思いと悪い思いが共存するような形でした。実際の所、奧埜のコメントを読んで、ハマりにハマった広島戦を見て、クルピ就任を聞いて納得した部分があって尚、ロティーナ退任は65%反対、35%賛成という感じでした。

選手を変えてどうか?

という選択肢はロティーナ・サッカーに残っているように思っていた為です。

他の方々も言われてたと思いますし、当時、フォロワーさんとコメントをやり取りしたのも覚えてますが、

強力FWが居て、ロティーナサッカーがどうなるか?を見たかった

昔で言う西澤アキ、今で言うレオセアラのようなFWが居てどうなるか?という所。

僕は選手中心にサッカーを見てます。こういう強力FWが居れば、当時主力MF:清武や坂元が『このFWならボールを預けたい!』というマインドになると思うのですね。その『FWにボールを預ける』というマインドがあれば、縦の意識が強くなり、ベースラインも少しは上がるかも?という期待でしたね。

こう思っていたのですが、チアゴサンタナが居た清水、大迫勇也が居た神戸を見ていて、その答えも出たかな?と個人的には思っております。今は、だからロティーナサッカーに未練はないですね。今年の開幕戦の記事に書きましたが、

はっきりと、

戦術のトレンドは進んだな

と。今、ロティーナではないなと。

誤解なきようにもう少し具体的に言うと、

『当時の』ロティーナサッカーで今は難しいかな

であって、

『当時と全く違うサッカーをします!』とロティーナが言うなら見てみたい

と言う感じですかね。

見る人によって僕はアンチ・ロティ―ナ派に見えるかも知れないですが、好き嫌いで言えば好きですし、多くのセレサポさん同様にロティーナには感謝しております。ただ、ゼロか?イチか?でサッカーは見ないと言うだけです。

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