2022年も、残り数日という時期になりました。皆様、師走のお忙しい時期を過ごしていることと存じます。
Jリーグもストーブリーグ真っ只中。我がセレッソ大阪は、今の所、比較的静かなシーズンオフなのかな?と言う印象はあります。が、丸橋のタイ移籍には驚かされました。
丸橋については思い入れも深いものがあって、色々と感情は湧いてくるのですが、そこはひとまず置いておいて。向こうで大活躍して欲しいなと心からそう思っております。
そんなシーズンオフですが、W杯もあったせいかセレッソの2022年が少し昔のように感じます。躍進したと言える2022年シーズン、最後に総括的な記事を書いておこうと思い、キーボードを叩いております。
そんな所で、今回の記事は、
2022年の小菊セレッソ
を振り返ってみようと思います。ちなみに、2022年の最後の記事となります。
2022年の中心人物
今シーズン最初に、珍しく順位予想なんかをしてみました。その時の記事が、以下です。
ここで書いた個人的なセレッソの順位予想は、
6位
としてました。どうでしょう?良い線、行きましたね(笑)それでもまあ、
お見逸れ致しました・・・
という所ですね。予想を上回る結果、5位でフィニッシュ!!でした。
5位どころか、一時は3位を狙えてるようなポジションに付けたこともありしました。僕の予想は過小評価・・・という形でしたね。大変、失礼いたしました>セレッソ関係者の皆様。
でも、2022年の開幕前の多くの予想は、セレッソの上位予想は少数派だったと記憶してます。多くの方の予想を、良い意味で裏切ってくれたのが、2022年のセレッソだったなと思います。
そんな2022年のセレッソの中心に居たは、やはり、
監督:小菊昭雄
だったのではないかな?と思います。ちょこちょこと見かける選手のコメントからも、選手の小菊さんへの信頼は大きなものがあるな・・・というのは感じられましたよね。
そういう意味でも、今年のセレッソを語るには、
小菊さんの存在は外せない
という事になりますよね。ですので今回は、小菊さんにフォーカスを当ててみたいと思います。
監督目線と言えど、込み入った戦術論とか小難しい話は控えめで、一般的な所の話になるかと思います。
2022年セレッソが躍進した『納得』の理由
2022年のセレッソの躍進を一言で『納得できる理由』と言えば、何になると思いますでしょうか?
この問いに、僕自身の回答は、
選手が『納得』してプレーしていたから
という所です。少し章題に匂わせてみましたw 納得・・・少し曖昧な定義ですが、今年のセレッソを見ていてどの選手も『納得』してプレーしているようには感じてました。
この選手の『納得感』を持たせるのがマネージャー、つまりは監督の仕事ですよね。
一般的に、監督をタイプ分けすると、戦術家タイプとモチベータータイプに大別されると思います。こういう分類、個人的はあまり好きな表現ではないのですが、この2タイプで説明すると、
- 戦術家タイプ: この戦術で勝てると、選手に『納得させる』
- モチベーター: この人に付いて行けば勝てると、選手に『納得させる』
と言うイメージですかね。
プレーをするのは選手です。監督ではない。だから、サッカーの試合(に限らないとは思います)においては、
『これで勝てる』とプレーする選手が『納得』していることが重要
だと個人的には考えます。
2022年のセレッソに置き換えると、
小菊さんは『選手に納得させる』のが上手い
のだと思います。
この辺について、深掘りしてみて行こうと思います。
前に行く選択をさせる。
個人的な視点で、監督の選手の役割を分別してみようと思います。
監督は対戦相手によって対策を考え、そして、選手にプレーをさせるのが仕事だと思います。選手はプレーを実行するのが仕事。では、何でも良いのですが、選手が選択したプレーの最終的な決定権は誰が持っているか?という所を考えたことはありますでしょうか?
プレーの最終的な決定権は・・・戦術を考え、選手に指示をした監督でしょうか?それとも、プレーを実行した選手でしょうか?というところ。
これ、僕の考えでは、
プレーの最終的な決定権を持っているのは『選手』
という事になります。当たり前ですが、プレーをしているのは選手だから・・・ですね。1個1個のプレーに監督にお伺いを立てられる野球とは違って、選手がその場で状況を確認して判断するのがサッカー。
監督の指示というのは、全体方向性や相手の弱点とそこをどうやって突くか?を伝えるというイメージですが、その相手の弱点が本当に試合で出てくるのか?は試合に出てる選手が判断して実行すべきですよね。
だから、プレーの最終決定権は、選手が持つべき。そのプレーが実行できるかどうか?の肌感覚は、選手にしか分からない所ですからね。
ここで何が言いたいかと言うと、プレーの最終的な決定権を持っているのが選手であるならば、
チームが前に行くのも、後ろに行くのも、選手の判断次第
という所ですかね。選手が前向きに判断できれば、チームも前に行く。
と、ここで出てくるのが、小菊さん。以下、Webメディアより引用ですが、
ちょっとミスして失敗しても『全然それはミスじゃない。トライしてるからミスじゃない』と言ってもらいました。
https://www.sankei.com/article/20221025-F3CMRSJDKBMJBNORMEKDXO2B3E/
これは高橋コーチ向けに言われた言葉だと思うのですが、コーチに向けていうのであれば、間違いなく選手にも同じことを言っていると思います。つまり、
どんどん、前向きな判断をして行け。トライしているのであれば、ミスじゃない。
小菊さんがこう選手に指示をしていたのは、恐らく間違いない所ではないかな?と思います。
2022年小菊セレッソは、前向きな推進力のあったチームだと思ってます。それは、つまりは選手が前向きな判断をしていたということ。そして、
選手の前向きな判断を、小菊さんがフォローしていた。
という所に繋がってくるかな?と思います。
マネージメントが上手ですよね。俗に言えば、優れたモチベーター・・・という所ですかね。ただ、これで終わらないのが小菊さんが優れたマネージャーたるもう一つの理由だとも思います。
戦術面との両輪
サラリーマンの方は、少し自身の環境を想像してみて下さい。例えば、人間的には本当にとても良い人であるが、仕事面がさっぱりで指示が的外れ・・・というような上司と仕事をしたことってないでしょうか?僕は、長いサラリーマン人生でいっぱいあります(苦笑)
こういう場合、この上司に付いて行こうとは、なかなか思えないのですよね。まあ、良い人だからフォローはしようか?みたいな感じで、少し気が抜ける所はあると思います。
サッカーにおいても、恐らくは同じようなことがあるのではないかな?と思います。ここでは、戦術面の指示ですかね。戦術面の指示が的外れだった場合、やはり、
この監督、良い人やけど大丈夫か?
と選手は不安を感じてしまうと思います。
この戦術面という所においても、小菊さんは優秀な所はあったのではないかな?と思います。それは、選手自身がそのまま語ってますよね。ここでは、#俺たちの為田 に登場してもらいます。ここも、Webメディアからの引用です。
「モチベーターには違いないが、それ以上に試合のポイントを毎試合はっきり示してくれるところがすごい
https://www.sanspo.com/article/20221108-NEJGKFC4KVK5DKP4S6PJQJQ2TA/
「選手が実践できる、悩まない部分を提示してくれる。いつも試合の入りのターニングポイントになっている。実行できた試合はいい結果が出ている」(為田)
プレーする選手自身がこう語ってる以上、外野は特に何も言う事はないですよね。後は、選手のプレー次第という所で。
個人的に見てても、最近のJリーグでは、どこもかしこもボール保持時に5レーンを埋めた5トップ気味に前線に張り付かせたがります。5トップ気味の相手に対して、セレッソは4-4-2。DFライン4枚で守る選択をしてます。
こういう選択を取るというのは、小菊さん、なかなか胆が据わってるな~と感じてました。ここで深くは振れませんが、5を4で守る為のそのやり方・考え方とかもとても面白いな~と。
前述の通り、モチベーターとして
トライしてればミスではない
と前向きな選択をさせ、戦術面でも
選手が実践できる、悩まない部分を掲示してくれる
この両面で、選手を支えていたのですね。
こういう監督、
選手は付いて行きたいと思う
と感じますよね。上の為田のコメントを引用したWebメディアよりもう1つ引用すると、
小菊監督が上司やったら、いくらでも原稿書ける
https://www.sanspo.com/article/20221108-NEJGKFC4KVK5DKP4S6PJQJQ2TA/
と取材した記者さんも書かれてます。記者が思う位であれば、選手にもそれは伝わってますよね。
仮に監督の戦術は凄いけど、人間的に嫌な人だった場合も、ここまではならないと思います。例えば、自己顕示欲の強い監督だったりした場合、監督の意図に沿ってプレーを強制したりすれば、選手からの反発はありますよね。
選手選手自身も、将棋やチェスの駒ではなくて人間。プロとして割り切る人も居るとは思いますが、感情は必ずついてくるものだと思います。嫌な人間から指示をされて、『納得感』が出るプレーは出来ないですよね(苦笑)
モチベーターとして、戦術家として。その両輪があって、初めて選手が『納得』させる。
上でこのタイプ分けが好きではないと書いたのですが、この辺なんですね。例えば、モチベーターと書いてしまうと、その監督は戦術面が疎かな印象を持ってしまう。こういうバイアスが掛かって見てしまうので、タイプ分けはあまりしたくないと思ってます。
小菊さんはモチベーターと言われることが多いですが、戦術家としての一面も多分にある。同じくモチベーターと言われることの多いクルピ。2021年のクルピは上手く行かなかったですが(苦笑)個人的に面白い戦術を使う・・・というのは感じてました。(クルピの戦術家の一面は、近々、違う記事で触れようと思ってます。)
逆に、ロティーナがもっと評価されるべきは、人間的な部分だとも思います。清武とか、完全に心酔してましたよね。選手があそこまで心酔できるのは単に戦術が凄いからだけでなく、人間的にもとても素晴らしいから・・・だと思ってます。
世界的にも有名な、バイエルンミュンヘンのナーゲルスマン監督は、
監督の仕事の比率は、マネジメント:7 戦術:3
ということを言ったとか。戦術の比重より、マネジメントの比重の方が大きのですね。世界的な監督でも、それ位、選手の扱いに細心の注意を払うのですね。
選手も人間なら、監督も人間。人間がサッカーしている所に、もっと注目していきたいなと思います。そういう意味でも、小菊さんはセレッソにとって本当に貴重な存在だと感じますね。
2人のコーチの存在も。
モチベーター、戦術家、監督はその両輪が必要と上で書きましたが、小菊さんを支える2人のコーチの存在も見逃せないですかね。
まずはご存じ、高橋大輔コーチ。今年、陰でセレッソを支え続けた人だったのではないかな?と思います。
コーチとして長くいた小菊さんが監督に昇格。去年、コーチだったハネケンがアンダー世代代表のコーチに。その2人の後釜として入ったのが、高橋コーチ。この2人の後釜は、なかなかしんどかったんではないかな?と想像します(苦笑)
高橋コーチ、顔付きがとても真面目で好青年に見えますよね?見ようによれば、大人しそうな印象もなかったでしょうか?ただ、その印象とは真逆で、本当に明るいキャラクターだと感じてました。
個人的に経験したことですが、2017年のあのルヴァン準決勝のアウェイ:ガンバ戦。この日、僕は舞洲に行ってたのですね。身内でサッカーやってる子がどうしてもプロの練習を見たいと、連れて行きました。僕自身、ちょうど息子が生まれてもうすぐ1歳と言う状況でしたので、このガンバ戦は行く予定がなかったのもあって。
舞洲に到着した時、試合のメンバーから外れた、シャケ・茂庭・康太・丹野の4人が居たと思うのですが、この4人が練習前のウォーミングアップをしてました。でも、なかなか練習が始まらず。
まだ、練習始まらんかな~?と、ベンチでもうすぐ1歳の息子をあやしてたりしてたのですが、その時、
おうえんしにきてくれたん?かわいいねぇ~ありがとう!!!
4人の練習を見る高橋コーチ自ら、こちらに歩み寄ってきてくれて息子をあやしてくれました(笑)ひらがなで書きましたが、この文字のような思いっきり『猫なで声』で(笑)
僕自身、高橋大輔という人物に対して、真面目な人物像を描いていたので、
めっちゃオモロい人やんww
とこの時に印象ががらりと変わりました。
まあ、このエピソードを書かなくても確かBACKSTAGE PASSで、このキャラは少しバレてましたね(笑)
この時の練習を見る時の、高橋コーチのテンションも凄い高かったです。4人しかいないですが、
練習の強度を保つ為に、しきりに大声を出して選手を鼓舞してた
のが印象的でした。この姿を見ていたので、今回、トップチームのコーチになった時に、この姿そのままで鼓舞してるのだろうな・・と想像してました。こういうコーチがいれば、選手のモチベーションは保てますよね。
そして、もう一人のコーチが、小杉光正コーチ。
このコーチ、僕は就任当初から期待してました。1年前にツイートしたのですが、
小菊体制で注目してたのが、ハネケンの後釜のコーチ陣でした。
— 土塔えんじ🌸オタク系セレサポ (@dotou_eng_crz) January 13, 2022
高橋大輔がフューチャーされると思いますが、もう一人の小杉光正さん(分析担当からの昇格)が面白い存在かも?です。
元・鹿島のスカウティング担当で、あのクラブW杯のレアル戦も分析された方。楽しみ。https://t.co/dXTHOhvjgp
元鹿島のスカウティング担当。鹿島がクラブW杯決勝で、レアルマドリードと延長戦までもつれ込んだ熱戦を演じた試合、事前にレアルマドリードの分析を担当もされていたとか(詳しくは、上のツイートのリンク先の記事で見て下さい)。
2022年のセレッソ、戦術面のフォローをしていたのは、間違いなく小杉コーチだろうというのは想像できますよね。上の為田が言っていた
選手が実践できる、悩まない部分を掲示してくれる
これは小杉コーチの尽力の賜物という所。
ここまで2人のコーチを書きましたが、もうお分かりですよね?
- 高橋コーチ: モチベーション
- 小杉コーチ: 戦術面
恐らくは、それぞれが得意分野を分担して、小菊さんの両輪をフォローしていたのだろうな?と想像は付きます。高橋コーチが調子のいい選手を、小杉コーチが使うべき戦術を小菊さんに助言、その上で、
小菊さんが監督の責任で、使う選手と戦術を決めていた
のだろうと。
そして、上でも紹介した通り、このコーチ陣にも、
トライしてればミスではない
と小菊さんは伝えている訳です。コーチから見ても、小菊さんの下だと思いっきりできますよね。
モチベーション、戦術面、両輪がここにもある・・という所。とてもバランスの取れた良いチームですよね。
正念場は2023年。
2022年は、タイトルは取れず、ACL出場権も取れず、ノルマ的には未達ということにはなります。ただ、そこを咎める人は多くはないのではないですかね。それだけ、良い戦いをしてくれたのだと思ってます。サポ的にも、満足度の高いシーズンだったと思います。
オフシーズンの最初の方に発表がありましたが、小菊さんは2023年も続投します。まだ、選手の陣容は固まってないですが、小菊セレッソにとっては、2023年が正念場。
2022年は、その前年2021年リーグ12位という成績を受けて、ノーマークの所からスタート出来ました。ただ、2022年5位の成績を受けて、2023年は他チームからマークを受ける立場でのスタートとなります。
そもそも、2022年もマークされたリーグ終盤は失速。ある意味、5位が限界だったという見方も出来るかも知れません。変えないといけない所は変えて行かないと、失速したまま、スタートを切ることになりかねない不安はありますよね。
ただ、小菊セレッソへの期待感もまだまだあります。サポーターは応援する事しかできないですが、しっかりと応援したいと思います。
そんな所で簡単ではございますが、今年の最後のご挨拶を。今年1年、有難うございました。今年は、このブログの他にさがっそ大阪と言う企画も始めまして、色々と楽しめた1年だったかな?という感じです。Web上で、リアルで、お世話になった皆様全てに改めて御礼を申し上げます。
リーグ最後のレビューで書きましたが、来年、ブログの更新ペースは落ちるかも知れません。が、ブログ更新を辞めてしまう予定はないので、また、しょうもない僕のサッカーのお話に付き合って頂ければ幸いです。来年も、よろしくお願い致します。
それでは、皆様、良いお年をお迎えください。